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土曜日の日、初めて葬儀に参加した。故人は親戚の両親。あまり関わりがなく、会った記憶さえ曖昧だ。別に人はいつか亡くなるものだし、そこまで惜しみはないのだが、その両親には子供がいたらしい、この子とも会った記憶は曖昧で、なんとなくこんな子居たな、ぐらいの関係。年は2つ上で現在中3。もうすぐで高校生というところで両親が亡くなってしまったのだから、悲しいのは当然だろう。涙で顔が歪んでいる。
その後、中3の子はどの家に引き取られるかの話し合いになった。もう中3だとしても、後数ヶ月経てば高校生。働くにしても、高校に行くにしてもお金はかかるし、誰も引き取りたくはない感じだ。元々思っていたけれど、どこまでも薄情な奴ら。まあこちらとしても引き取る気はないけれど。
ふとその子の方を見ると、静かに深く俯き、目には光が無い、まるで漆黒の海の様な目。
………………可愛い。
本当はこんなこと思ってはいけないと分かってはいるけど、彼の絶望したような、痛々しい顔はとても可愛らしい。さっきまで引き取るのが嫌だったのが嘘みたい。チョコラテのような甘い髪に、雪の結晶のように美しい瑠璃色の瞳。全てが好みだった。
「うちは?」
気づけばそう口が勝手に動いていた。うちは経済的にも問題はないし、余っている部屋がある。俺には兄が出来るし、得が多い。
親戚達は自分が引き取りたくないからと、「なら水野さんが引き取ってくれる?」と次々に言い出す。今まで嫌な奴らだと思っていたけれど、少しは感謝しようと思った。
「これからよろしく、えっと…」
「あ、雨音でいいです…」
「よろしく、雨音兄さん」
「あ、ありがとうございます… 」
控えめな性格なのか、全く会っていないから敬語なのかは分からないが、なんにせよ可愛い。
これからよろしくね、お兄ちゃん♡
人物紹介
主人公
水野 始音
みずの しおん
13歳/中1
義理の兄
春風(水野) 雨音
はるかぜ あまね
15歳/中3