テラーノベル
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明日は文化祭。雅たち3人が通う高校では、明日の準備でてんやわんや。
🍬「これこっち?」
「そっちだけど……お前持てないだろ。俺がやっとくよ」
🍬「舐めんなしー!僕の能力舐めんなしー!」
「うぉ」
重めのダンボール。確かに雅が普通に持ち上げるのはすこ難しいかもしれない。持ち上げられてとしても運ぶのに腕がパンパンになってしまう。本番は明日なのに。
だからこそ雅は能力を使ってダンボールを軽々と持ち上げる。指定された場所にスイッと持っていくと、そのまま下ろした。
「便利な能力だなw」
🍬「まぁね〜。さ、準備早く終わらせて帰ろうぜ〜」
「だな〜」
その後もひょいひょいと能力を駆使しつつ準備を終わらせていき、あとは明日やればいい所まで来た。
🍬「よしゃー終わったー!」
「この後どっか行かね?前夜祭!」
🍬「あ〜、いや、にぃにたちと帰るわ」
「相変わらず語彙が可愛いなお前」
🍬「きゅるん♡」
そんなふうに雅がクラスメイトたちとふざけ合っていれば、教室の扉の方から声が聞こえてきた。
🍄「ぬこちゃーん、帰るで〜」
⚔️「終わった〜?」
お化け屋敷をやる都合上黒く塗られたダンボールが迷路のように並べられている雅のクラス。迷路から脱出した先にいたのは雅がにぃにたちと呼んでいた2人。
🍬「終わった〜!」
⚔️「これなにやんの?」
🍬「なんだと思う?」
🍄「お化け屋敷やんw」
🍬「うぶっ」
手を顔の前でだらんと垂らし、うらめしや〜と怖そうな顔をする雅の質問に、その鼻先をツンと触りながら菜瑚芽が答える。
⚔️「お化け屋敷かぁ……ぬこちゃんってホラーいけたっけ?」
🍬「え?僕は全然よゆー」
🍄「ぬこちゃんが怖がってるん見たことないな」
🍬「怖がることなど何も無いのだー!」
元気いっぱい!といった様子で小走りに走っていく雅に兄二人は呆れたような声を出しながらついていく。そのまま3人は家に帰って行った。
――翌朝
🦔「さてと、そろそろ高校向かおっか?」
🧸「ん〜」
🐸「あえちゃんまだ寝てる?w」
翔狗に泰、千流、文悟と希那、阿英、それから蘭華も一緒に歩いて高校まで向かう。
ちなみに陽桜は学校の隣ということで臨時営業をするカフェに出勤している。
たどり着いたみんなの母校は文化祭仕様に華々しく飾られていて、開場からそこまで経っていないのにガヤガヤと楽しそうな声が聞こえてくる。
校舎の中に入ると、ぐわっと熱気が押し寄せてきた。
🦩「祭りって感じやなぁ〜!もう楽しい」
🧸「眠気一気に覚めたわ」
🦔「それ家出た時点でも言ってたよね」
🐸「誰のとこからいくー?すこぴょん?」
❄️「校舎入ったのに……?」
🦩「いや校舎内に特設もあるらしい」
🏋️「へぇー、えこれはどこに向かってんの?」
🌼「知らなーい」
行く宛もなく校舎内を彷徨っていた7人は一つの教室の前で足を止めた。
扉にかかる看板には1年2組と書いてあり、それは有兎家が誇る可愛い弟雅のクラスだった。
🧸「あれ、ぬこちゃんってここやんな、クラス」
🦩「どう見てもほのぼのかわいい出し物には見えないんですけど。」
🍬「あえちゃんの声が聞こえた気がするー!」
🌼「うるさ……w」
🏋️「お、お化け屋敷かな?」
🍬「イエッサー!入る?」
頭にボルトをつけてフランケンの姿をした雅が教室からひょっこりと顔を出すと7人をどうぞどうぞと教室の中に誘ってくる。
入った教室の中は薄暗く、いかにもな雰囲気が漂っていた。
🧸「うわぁ〜、本格的すぎん……?」
🐸「何あえちゃん怖いの?w」
🧸「はぁ?そんなわけないやろw」
🍬「それでは、行ってらっしゃーい!」
🦩「ディ○ニーかよ」
流石に7人で一気に入るとぎゅうぎゅう詰めになって大変なので4人3人に分かれて入ることになった。
先に入ることになったのは泰、千流、文悟、阿英の4人。
狭い教室の中のはずなのに段ボールが黒く塗られていることによってあたりに溶け込んで途方もなく広い空間に4人だけで投げ出されたような感覚に陥る。思った以上のクオリティに4人で身を寄せ合いながらゴールを目指していく。
雅は受付担当なので、中に来て脅かすことはせず、外で待機している蘭華、翔狗、希那と一緒に中から聞こえてくる悲鳴を楽しんでいた。
❄️「そんな怖いの?」
🍬「それはなんとも言えませんねぇ……」
🏋️「まぁ文鳥入ってるしオーバーリアクションは少しはありそうだけどね」
🌼「確かに、文鳥さんホラー弱いしリアクションいつもオーバーだしね」
🍬「怖いかどうかは個人差あるからなんとも言えないけど、クオリティは高いと思うよ」
🌼「まじかぁ」
🧸「うわぁびっくりしたぁ!」
🦩「なになになになに?!」
🦔「音の再現度高すぎじゃない?」
🐸「高校の文化祭のクオリティじゃねぇだろこれはぁ」
阿鼻叫喚の嵐になっている会場内。クラスメイトたちはもちろん満足げな表情をしている。
やっとのことで外に出てきたと思ったら、目の前にフランケンが飛び出してくる。
🧸「あー!もうほんまやめてくれよそれは」
🍬「お疲れ様でしたー!楽しんでもらえましたか?」
🐸「クオリティやばいわ」
🍬「それは嬉しいなぁ〜!今希那にぃたち入ってったよ、結構反応聞こえるからおもろい」
🦩「まじかほんまやってんな」
絶対最初に来るべきじゃなかった、と後悔している4人をよそに、教室の中から蘭華の叫び声が聞こえてくる。
🦔「うるさww」
🐸「すーごい叫ぶなぁ」
🦩「カンマうるさ」
🍬「文鳥にぃもうるさかったよ」
🧸「言われてるで」
🦩「え???」
数分後教室から出てきた3人と合流し、雅とは分かれて次は3年のフロアに向かっていく。
手前にある菜瑚芽のクラスの方に顔を出すと、菜瑚芽がいち早く気づいて手を振ってきた。
🍄「おーい」
🧸「何これ握手会?」
🍄「そんなわけないやろ。謎解きやで謎解き」
🦩「うわ、ここ先来るべきやったなw」
🍄「えどこからいったん」
🧸「ぬこちゃんとこ」
🍄「怖かった?」
🦩「ま、まぁ、そこそこ?」
阿英の言った通りアイドルの握手会かと思うくらいの列をなす菜瑚芽の元に後ろから阿英と文悟が話しに行く。
横で菜瑚芽の接客を見届けていれば、千流たちの番が回ってきた。
🐸「ちゃんと並びなさいよあんたたち」
🍄「チルにぃ俺より先にぬこちゃんとこいったん?」
🐸「まぁ、一階だったしねぇ」
🍄「ふーん……えっと、この校舎の中に謎がたくさん散りばめられているのでそれぞれ解いて最後の答えを導き出してください。答えがわかったらここに戻ってきてください。景品は3年1組みんなで作った特製キーホルダーです。」
🌼「うわーなめこくんの作ったや人気ありそうだねぇ」
🍄「どれが誰の作ったやつかはわからんよ」
🧸「ばと連れてきて選ばせたらええんちゃう?」
🍄「俺の選ぼうとすなよ。はいはいいってらっしゃーい」
半ば強引に追い払われたことに阿英は少し不満そうにしながらも、隣のクラスに足を進めた。
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