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#溺愛
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「……ぶはっ! あーはははは! ひより、やっぱあんたのお父さん筋金入りの親バカね。式場見学にまで乗り込んでくるなんて、ありえないわよ」
休日のカフェ。親友の真帆は、テーブルを叩いて爆笑していた。
対照的に、私は力なくタピオカミルクティーのストローを噛んでいた。
「笑い事じゃないよ、真帆。パパったら、港区のマンションの最上階の部屋を3部屋を買うって言い出したの。真ん中に私たちが住んで、左右の部屋はパパとお兄ちゃんが防犯のために住むって。もう、やりすぎだよ……」
「新婚生活が物理的なサンドイッチ状態じゃない。もはや要塞ね……」
「それだけじゃないよ。結婚式の招待客は300人以上、ドレスはオーダーメイドだって聞かないし。私はただ、陽一さんと普通の賃貸に住んで、身内と気心の知れた人たちだけで式を挙げたい。ただ、それだけなの」
「……わかるわよ。私たちみたいな家に生まれた人間にとって、世間が言う『普通』って、手に入りにくいものね」
私は力なく机に突っ伏した。真帆はそっと、私の肩に手を置く。
「親の愛って、時として一方的な『贈り物』なのよね。中身が欲しくないものでも、高価な包装紙で包まれているから、突き返すのも罪悪感がある。でもね、ひより。あんたが守りたいのは、親のプライドじゃなくて、陽一さんとの時間でしょ? ……その気持ちだけは、誰にも譲っちゃダメよ」