テラーノベル
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スマホに映る写真。
幼い私の隣にいる、もう一人の子。
顔も、目も、口元も。
全部、私とそっくりだった。
「……誰なの?」
声が震えた。
律先輩は、何も答えない。
「先輩! この子、誰なの!?」
「……琴音」
「名前じゃなくて、説明してよ!」
そのとき。
屋上のドアが、勢いよく開いた。
「琴音!!」
息を切らして立っていたのは、親友の莉子だった。
「……莉子?」
莉子は私のスマホを見ると、顔を真っ青にした。
「なんで、それを持ってるの……?」
「知ってるの?」
沈黙。
それだけで、十分だった。
「……知ってるんだね」
莉子は唇をかんだ。
「ごめん」
「また、それ?」
私は笑った。
「みんな、ごめんって言うだけじゃん」
「琴音、違うの!」
「何が違うの!?」
気づけば、涙があふれていた。
「私だけ何も知らない。私のことなのに、私だけ何も知らないじゃん!」
莉子は、うつむいた。
そして、小さな声で言った。
「……あの子は、琴音のお姉ちゃん」
「…………え?」
時間が止まった。
「私、一人っ子だけど」
「戸籍上はね」
莉子は震える手で、別の写真を取り出した。
そこには、幼い私と、同じ顔の女の子。
そして、二人の後ろに立つ若い女性が写っていた。
写真の裏には、こう書かれていた。
『琴音と美琴。ずっと一緒にいようね』
美琴。
知らない名前なのに。
その文字を見た瞬間、頭の中に声が響いた。
『琴音、約束だよ』
『大きくなったら、二人で同じ人を好きになろうね』
……何、それ。
何で、そんな約束を?
私は頭を抱えた。
すると、律先輩が突然、莉子の腕をつかんだ。
「お前、どこまで話すつもりだ」
「全部」
莉子は、先輩をまっすぐ見た。
「もう、隠すのは無理だよ」
そして、私に向き直った。
「琴音。美琴ちゃんは、十年前にいなくなったの」
「……いなくなった?」
「その日、琴音も一緒にいた」
息ができなかった。
「でも、琴音だけが帰ってきた」
――その瞬間。
屋上のドアの向こうから、声がした。
「……そこまでにしろ」
湊だった。
顔色が悪い。
まるで、何かを恐れているみたいに。
私は湊に近づいた。
「ねえ、湊」
「……」
「美琴って、誰?」
湊は答えなかった。
代わりに、私の手を握った。
「帰ろう」
「嫌。答えて」
「琴音」
「答えてよ!!」
初めて、湊が私の前で目を伏せた。
「……美琴は」
そのとき、私のスマホに着信が入った。
登録されていない番号。
全員が画面を見つめた。
私は、電話に出た。
『もしもし』
聞こえてきたのは、女の子の声だった。
私と、まったく同じ声。
『……琴音?』
全身が凍りついた。
「……誰?」
電話の向こうで、その子が笑った。
『やっと見つけた』
『十年間、ずっと待ってたんだよ』
そして。
『ねえ、琴音』
『私の彼氏、まだ湊のまま?』
――プツッ。
電話が切れた。
私は、ゆっくり湊を見た。
「……彼氏?」
湊は、何も言わなかった。
ただ、強く握っていた私の手を離した。
そして、震える声で言った。
「……ごめん」
「俺、ずっとお前に嘘をついてた」
「美琴は――」
湊が続きを言おうとした、その瞬間。
スマホに、新しいメッセージが届いた。
送信者は。
神崎湊。
目の前にいる湊じゃない。
メッセージの内容は、たった一行。
『そいつは、俺の偽物だ』
……は?
目の前の湊が、ゆっくり顔を上げた。
そして、笑った。
「……バレちゃったか」
コメント
1件
読み終わった……心臓バクバクしてる!! 「私と同じ声の電話」からの「今の湊は偽物」って、畳みかけ方がエグすぎるでしょ!!湊の「ごめん」と手を離す仕草、そして最後の笑顔……何重にも仕掛けられた罠みたいな展開に鳥肌立った。これは続きを待ってる読者の胃が痛くなるやつだわ~🔥 琴乃まりんさんの構成力、マジで尊敬する!!