テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
なーさん 一週間執事
341
#なおきり
『12の奇跡を探して』
第10話「星降り祭と、ケモ耳の少年」
なお兄が仲間になってから、数日。
俺たちは次の町へ向かっていた。
すると――
jp「……あれ?」
遠くに、大きな町が見えてきた。
町の入り口には色とりどりの旗が並び、通りにはたくさんの屋台が出ている。
そして大きな看板には――
**『星降り祭 本日開催!!』**
tt「祭りやと!?」
たっつんの目が輝く。
jp「まだ何も言ってないけど……」
tt「祭りやで!? 行くしかないやろ!!」
たっつんが走り出す。
no「たっつんさん、待ってくださいー!!」
ya「……速い」
mh「祭りって聞いた瞬間だけ元気だな」
tt「なんやとー!?」
-–
町の中は大賑わいだった。
街人A 「焼きたてですよー!!」
街人B 「射的やってるよー!!」
街人C 「くじ引きはいかがー!?」
街人D 「夜には星降りが始まるぞー!!」
rn「わぁぁ!! すごいです!!」
no「るなさん、あちらにも屋台がありますよ!」
rn「行きましょう、のあさん!!」
2人は仲良く屋台へ向かっていく。
シヴァとたっつんは射的を見つけた。
tt「シヴァさん! 勝負や!!」
sh「いいよ」
えとは屋台を眺めながら歩いている。
et「……」
jp「えと、何か気になる?」
et「……あれ」
えとが指差した先には――
小さな刀のおもちゃ。
et「……ちょっと欲しい」
jp「意外と可愛いところあるんだね」
et「……悪い?(圧)」
jp「全然?コワッ(ボソッ)」
その隣では、ゆあんが――
ya「チキン……」
jp「祭りでもチキンなの!?」
ya「祭りだから」
jp「その理屈まだ使うの!?」
-–
そんな中。
少し離れた場所に、ぽつんと座っている子がいた。
白いケモ耳。
ふわふわした髪。
人混みから少し離れて、祭りを眺めている。
jp「……あの子」
no「どうしました、じゃぱぱさん?」
jp「ちょっと気になる」
俺たちはその子のところへ向かった。
jp「こんにちは!」
???「……こんにちは」
その子は少し驚いたように顔を上げた。
rn「可愛いです!!」
???「えっ……」
no「突然すみません。私たち、旅をしているんです」
???「そうなんだ……」
jp「名前は?」
dn「……どぬく」
jp「どぬく?」
dn「うん」
白い耳がピクッと動く。
rn「お耳、動きましたよ!!」
dn「……これ?」
どぬくが自分の耳に触れる。
dn「本物だよ」
tt「ほんまに!?」
たっつんが興味津々で近づく。
dn「うん」
tt「触ってええ?」
dn「……それはダメ」
tt「ですよねー」
みんなが笑う。
どぬくも少しだけ笑った。
-–
jp「どぬくは一人でお祭りに来たの?」
dn「うん……」
jp「家族は?」
dn「今日は一人」
どぬくは少しだけ目を伏せる。
俺はそれ以上聞かなかった。
代わりに――
jp「じゃあさ!」
dn「?」
jp「俺たちと一緒に祭り回らない?」
dn「……僕が?」
jp「うん!」
dn「でも……」
no「よかったら一緒に行きませんか、どぬくさん?」
rn「るなも一緒に遊びたいです!!」
hr「人数多い方が楽しいだろ」
na「私も、どぬくさんと一緒に回りたいです」
sh「もちろん歓迎するよ」
mh「……まあ、いいんじゃないか」
ya「チキンもあるよ」
jp「ゆあん、それで誘うの!?」
dn「……」
どぬくは少し迷って――
dn「……うん」
小さく頷いた。
-–
それから俺たちは、どぬくと一緒に祭りを回った。
射的。
くじ引き。
輪投げ。
屋台の食べ物。
そして――
tt「よっしゃああ!! 当たったで!!」
sh「おめでとう」
tt「見たか!? シヴァさん!!」
sh「うん。すごいすごい」
tt「もっと驚いてや!!」
たっつんが景品を掲げる。
どぬくがクスクス笑った。
dn「……面白いね」
tt「おっ! どぬく笑ったやん!!」
dn「えっ」
tt「もっと笑ってええんやで!」
dn「……うん」
どぬくはまた笑った。
-–
しばらくすると、えとがどぬくの腰にあるものを見つけた。
et「……それ」
dn「これ?」
どぬくが刀を見せる。
dn「刀だよ」
et「刀、好きなの?」
dn「うん! 大好き」
その瞬間、えとの目が変わった。
et「ちょっと待ってね!」
jp「え?」
えとは何もない場所に向かって手を伸ばした。
et「Chest」
――ドンッ!!
突然、大きなチェストが現れた。
全員「…………」
えとは何事もなかったかのようにチェストを開ける。
中から一本の刀を取り出した。
et「はい」
dn「……え!?」
et「刀、好きなんでしょ?」
dn「う、うん……」
どぬくが刀を受け取る。
dn「すごい……!」
その時。
et「……あ」
jp「どうしたの?」
et「杖……」
えとが自分の手元を見る。
et「また出すの忘れてた……」
シュン。
そして――
et「杖」
――ドンッ!!
杖まで出現した。
et「常備しとけって言われたのに……」
しょんぼりするえと。
全員が固まる。
dn「…………」
tt「…………」
sh「…………」
rn「…………」
no「…………」
mh「…………」
hr「…………」
ya「…………」
na「…………」
jp「…………」
数秒の沈黙。
tt「……えとさん」
et「なに?」
tt「凄すぎるやろ……」
et「……」
rn「また凄すぎます!!」
no「えとさん、やっぱり凄いです……」
hr「チェストまで出せるのか……」
mh「もう何でもありだね」
na「私も驚きました……」
sh「本当にすごいね」
ya「……すごい」
どぬくも唖然としている。
dn「…………」
et「……そんなに見ないで」
jp「いや、これは見るよ……」
みんなが笑う。
どぬくも笑った。
-–
けれど――
しばらくすると、どぬくの笑顔が少しずつ消えていった。
祭りを楽しんでいる人たち。
その中には、どぬくを見ている人もいた。
街人F「……あの子、ケモ耳だ」
街人N「ちょっと怖いな」
街人L「魔物みたい……」
どぬくの耳が下がる。
dn「……」
jp「どぬく?」
dn「……ごめん」
jp「え?」
dn「僕、もう帰るね」
no「どぬくさん……?」
dn「楽しかったよ」
dn「でも……僕がいると、みんなが嫌な気持ちになるから」
どぬくは立ち上がった。
dn「昔からそうなんだ」
dn「この耳を見て、怖がられて……」
dn「だから、本当はお祭りにも来ないつもりだった」
どぬくが自分の耳を押さえる。
dn「でも……みんなが誘ってくれたから」
dn「少しだけ、楽しかった」
そう言って、どぬくは歩き出そうとした。
その時――
jp「待って!!」
俺はどぬくの前に立った。
jp「どぬくが帰る必要なんてないよ」
dn「でも……」
jp「俺たちは、どぬくのこと怖いなんて思ってない」
tt「せやで!」
tt「そもそも、ケモ耳なんてめっちゃええやん!!」
dn「……」
rn「るなも、どぬくさんのお耳好きです!!」
no「私もです」
hr「俺も」
sh「俺もだよ」
mh「別に気にしない」
ya「俺も」
na「どぬくさんがどぬくさんであることに、何も問題ありませんよ」
どぬくは目を見開く。
dn「……本当に?」
jp「本当だよ」
jp「だからさ――」
俺は手を差し出す。
jp「最後まで一緒に祭りを楽しもうよ」
どぬくはしばらく黙っていた。
そして――
dn「……うん」
手を握った。
-–
夜。
祭りの最後を飾る時間がやってきた。
「もうすぐ星降りだぞー!!」
町中の明かりが消えていく。
空が真っ暗になる。
どぬくは俺たちの隣に立っていた。
dn「……綺麗だね」
jp「うん」
その瞬間――
キラッ。
空から一つの光が落ちてきた。
そして二つ。
三つ。
無数の星が夜空を流れていく。
rn「わぁぁぁ……!!」
no「綺麗です……」
どぬくは空を見上げている。
dn「……」
そして――
笑った。
dn「……僕、今日来てよかった」
jp「うん」
dn「こんなに楽しいの、初めてかも」
どぬくの目から、一粒の涙がこぼれる。
dn「ありがとう」
その瞬間。
どぬくの胸元から光が生まれた。
jp「……!?」
光がゆっくりと空へ浮かんでいく。
そして――
一つの星の欠片へ変わった。
俺が手を伸ばす。
触れた瞬間――
**『第八の奇跡――笑顔』**
jp「……笑顔」
どぬくが笑う。
dn「これが……僕の奇跡?」
jp「うん」
dn「……そっか」
どぬくは星の欠片を見つめる。
dn「じゃあ、これからも笑っていたいな」
tt「おう! いっぱい笑おうや!!」
rn「はい!!」
no「そうですね、どぬくさん!」
na「これからは、一緒に笑える仲間もいますから」
どぬくの白い耳が、嬉しそうにピンと立つ。
dn「……仲間」
jp「そう」
jp「俺たちと一緒に旅しよう」
どぬくは驚いた顔をして――
すぐに笑った。
dn「……うん!!」
-–
こうして――
**8人目の仲間、どぬくが加わった。**
そして手に入れた第八の奇跡は――
**『笑顔』**
夜空には、8つの星が輝いている。
**勇気。**
**信頼。**
**癒し。**
**希望。**
**絆。**
**可能性。**
**繋がり。**
**笑顔。**
残りの奇跡は――4つ。
仲間は――あと3人。
jp「よし! 明日からまた冒険だ!!」
tt「おう!!」
ya「……その前にチキン」
jp「ゆあん、まだ食べるの!?」
みんなが笑う。
その笑い声と一緒に――
星が夜空を流れていった。
――第10話「星降り祭と、ケモ耳の少年」完――
今回から♡の数で! 次回♡50
コメント
1件
いやあ、今回も素敵な話でしたね。まず「星降り祭」の賑わいと、どぬくくんの孤独な佇まいの対比が印象的で、そこから仲間たちが自然に溶け込ませていく流れがすごく温かかったです。えとさんのチェスト召喚には笑いましたけど(笑)。どぬくくんが「笑顔」の奇跡を灯すシーンは、この作品のテーマ「誰かの何かが奇跡になる」を体現していて、じんわり来ました。残り4つの奇跡、どういう形で現れるのか楽しみです。