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もう私は疲れたんだ。
私はただの作家の一人に過ぎません。ですが、この話を聞いて欲しい。私は特別秀でた所などはありません。なのでこの文は皆様が期待する程素晴らしいものではないでしょう。
それでは少しの間、私のお話に付き合ってもらいませんでしょうか。
私は一度も人前で笑ったことがありません。詳しく言いますと本当の自分の笑顔を他人に見せたことはないのです。
所謂道化師の様な存在でしょう。虚像で塗りたくられた自身の姿で振る舞っていたのでしょう。
ある日、私は一匹の蝶を見ました。外は雨、そんな中、その蝶はひらひらと舞っていたのです。私は感動しました。小さな蝶が、こんな天気の中で飛んでいるなんて!ええ、私は蝶を捕まえてみようと思いましたよ。ですがその蝶の羽は少し千切れていました。何と哀れなことか!そう悲観的に叫びたくなりました。その蝶は何処かへゆらゆら羽ばたいてゆきました。私はそんな蝶が憎らしく思いました。ああ、私もあの様に何処かへ消えてしまいたい、飛んでしまいたい、と。あの蝶は何処へ行ったのでしょうか、消えてしまったのでしょうか。
またある日、私の友人はこう言いました。自分の顔に自信が持てない、と。こう言った私の友人は容姿端麗、文武両道と素晴らしい人物でした。それに比べ私は何と醜いことか、もう心が折れかける寸前でした。ですが私はいつもと同じ笑みを浮かべて、大丈夫だよ、と一言。ああ、辛い。如何して私はいつも、と反省しているうちにどんどんこの世の中が憎らしくて堪らなくなりました。その時の私の姿も醜い欲望の塊と大差ない姿だったでしょう。
ええ、私は全てが恐ろしいのです。そして憎らしいのです。どれだけ努力をしても、上には上が居ますよ。そんな事、もう幼い頃から知っていますよ。今は唯、そんな世の中から飛び出したいだけなんです。ああ、如何して私は報われないのでしょうか、神よ!私が神に逆らったとでも言うのですか。
ああ、此処まで私の嘆きを読んで下さったのですね。お気になさらず、この拙い文を読んでくれた方に幸福が訪れます様に。