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良きすぎる…‼️ マジでどハマり。
前回の続き
慎太郎「じゃあさ」
〇〇「なに?」
慎太郎「さっきの“キュンとした人”さ」
ジェシー「それな」
樹「気になりすぎるだろ」
〇〇「だから言わないって言ってるじゃん」
笑いながらグラスを持つ。
風磨「いやヒントくらい出せよ」
きょも「確かに」
高地「このまま終われないね」
〇〇「えー…」
少し考える。
樹「じゃあ俺らで当てるわ」
〇〇「無理無理」
樹「当てたら言えよ」
〇〇「絶対やだ」
ジェシー「じゃあいくぞ」
慎太郎「まず同業ってのは確定だろ」
〇〇「……まあ」
少しだけ目を逸らす。
樹「ほらな」
ジェシー「絞れてきた」
風磨「最近共演したやつ?」
〇〇「ノーコメント」
慎太郎「それほぼイエスじゃん」
〇〇「違うって!」
笑いが起きる。
きょも「年上?」
〇〇「うーん…」
少し悩む。
〇〇「そこは秘密」
高地「じゃあ年下ではないね」
樹「今のでわかるわ」
〇〇「ちょっとやめてよ!」
ジェシー「じゃあ性格」
慎太郎「優しい系?」
〇〇「うん」
つい頷く。
樹「はい確定」
〇〇「いや違うって!」
風磨「さっき言ってたよな」
風磨「何も言わずにフォローしてくれるって」
〇〇「うん…」
きょも「で、“大丈夫?”だけ」
高地「シンプルだね」
慎太郎「それさ」
慎太郎「この中にもいそうじゃね?」
一瞬だけ。
空気が変わる。
〇〇「え?」
ジェシー「確かに」
樹「いるな」
〇〇「いやいやいや」
笑って否定する。
でも。
無意識に。
隣を見る。
北斗。
すぐに視線を戻す。
〇〇「ないない」
樹はそれを見逃さない。
樹「今見たよな」
〇〇「見てない!」
慎太郎「いや見たって」
ジェシー「完全に見てた」
〇〇「違うってば!」
少しだけ焦る。
風磨「怪しいなあ」
〇〇は笑いながらごまかす。
でも少しだけ顔が赤い。
北斗は何も言わない。
ただ。
その一瞬の視線だけで。
十分だった。
樹はグラスを持ちながら小さく笑う。
樹「…答え出てんじゃん」
小さく笑いながら言う。
〇〇「出てないってば!」
すぐに否定。
慎太郎「いや今完全に見たって」
ジェシー「隣見てたもん」
〇〇「違うって!ほんとに違う!」
少し焦りながら笑う。
風磨「じゃあ言えよ」
〇〇「やだ」
樹「じゃあ当てる」
きょも「ヒント増やそう」
高地「うん、絞ろうか」
慎太郎「最近共演してる」
ジェシー「優しい」
樹「フォローしてくるタイプ」
風磨「…あ」
一瞬止まる。
樹も気づく。
樹「もしかしてさ」
〇〇「ちょっと待って」
樹「なにわの—」
〇〇「言わないで!」
一瞬の静まり。
慎太郎「え、マジ?」
ジェシー「そっち?」
風磨「高橋?」
〇〇「……」
少しだけ間。
〇〇「……そう」
観念したように小さく言う。
空気が一気に変わる。
きょも「なるほどね」
高地「確かに優しいイメージある」
慎太郎「意外だな」
ジェシー「でもわかるかも」
樹は静かに北斗を見る。
北斗は一瞬だけ止まる。
でもすぐにグラスに口をつける。
風磨「いつの間にそんな感じになってたの」
〇〇「なってないって」
〇〇「ただちょっとキュンとしただけ」
慎太郎「でも名前出るってことはでかいぞ」
ジェシー「気になってるやつだろそれ」
〇〇「違うってば!」
でもさっきより少しだけ声が弱い。
樹「連絡は?」
〇〇「…たまに」
風磨「してんじゃん」
〇〇「仕事のやつ!」
きょも「まあでもきっかけってそういうのだよね」
高地「自然だし」
その会話の中。
北斗は何も言わない。
ただ。
“高橋恭平”
その名前だけが残る。
北斗「……」
小さく息を吐く。
慎太郎はそれを見て、何も言わずにグラスを傾ける。
〇〇はまた笑いながら話し始める。
でも。
さっきまでと違って。
ほんの少しだけ。
北斗の中で、何かが変わり始めていた。
北斗は少しだけ視線を落とす。
北斗「…連絡来たら返すの」
〇〇「返すでしょ普通に」
北斗「自分からは?」
〇〇「えー…」
少し考える。
〇〇「たまに?」
樹が小さく息を吐く。
北斗「…そんなんでよく“違う”って言えんな」
〇〇「え、なにそれ」
北斗「いや、どう見ても気になってるやつだろ」
〇〇「違うって言ってるじゃん!」
少しだけムキになる。
北斗「はいはい」
そっけなく流す。
〇〇「その“はいはい”やめて」
北斗「事実じゃん」
〇〇「違うし」
少しだけ言い合いっぽくなる。
慎太郎「お、きた」
ジェシー「始まった」
樹「いつものやつ」
風磨「まあまあ」
軽く止めに入る。
北斗は少しだけ息を吐いて、グラスに口をつける。
北斗「…まあいいけど」
〇〇「なにそれ」
北斗「別に」
少し間。
北斗「どうでもいいし」
その一言。
樹の視線が一瞬動く。
〇〇は少しだけ止まる。
でもすぐに。
〇〇「なにそれ、感じ悪」
笑って流す。
ジェシー「北斗ちょっと拗ねてね?」
慎太郎「わかりやす」
北斗「拗ねてねえよ」
即答。
きょも「でもさ」
きょも「ちょっと意外だったかも」
高地「うん、〇〇のタイプ的に」
〇〇「でしょ?」
〇〇「自分でも意外」
北斗「…そうだな」
小さく呟く。
〇〇はまた笑いながら話し始める。
「でもさ〜」と続く声。
その隣で。
北斗は静かに座ったまま。
“どうでもいい”
自分で言った言葉が、少しだけ引っかかる。
北斗「…はあ」
小さく息を吐く。
樹が横目で見る。
樹「どうでもよくねえだろ」
小さく、聞こえるか聞こえないかの声で。
北斗は何も返さない。
さっきよりも少しだけ、余裕がなくなっていた。
ーーー
慎太郎「でさ、そのあとどうなったの?」
〇〇「だから何もないってば」
ジェシー「怪しいなあ」
風磨「まあでもキュンはしてんだろ」
〇〇「それは…ちょっとだけ」
樹「ほらな」
その頃には、〇〇の酔いも少しずつ回ってきていた。顔もほんのり赤くなって、テンションも上がっている。
きょも「〇〇大丈夫?ちょっと飲みすぎてない?」
〇〇「だいじょーぶ」
〇〇「今日楽しい」
きょも「それならいいけど」
〇〇はそのままきょもの方に体を寄せる。
〇〇「きょも優しいよね」
きょも「急だね」
〇〇「さっきもちゃんと話聞いてくれてたし」
きょも「普通に聞いてただけだよ」
〇〇は笑いながらきょもの腕を軽く掴む。
〇〇「でも優しい」
きょも「はいはい」
ジェシー「出た出た」
慎太郎「始まったな」
樹「酔うとこれだよな」
風磨「完全に甘えモード入ってる」
〇〇「だってきょも落ち着くんだもん」
きょも「そう?」
〇〇「うん」
〇〇はきょもの肩に少し寄りかかる。
北斗はその様子を横で見ている。
北斗「……」
樹が横目で見る。
ジェシー「北斗静かだな」
慎太郎「怖い怖い」
北斗「うるさい」
〇〇「きょもさ」
きょも「なに?」
〇〇「なんか安心する」
きょも「それはよかった」
〇〇「なんかいい匂いするし」
きょも「そこ?」
笑いが起きる。
風磨「おい北斗」
北斗「なに」
風磨「隣だぞお前」
北斗「見えてる」
〇〇は完全に酔いが回ってきている。
〇〇「きょもほんと優しいよね」
きょも「さっきからそれしか言ってない」
〇〇「だって本当だもん」
そのまままた肩に頭を寄せる。
慎太郎「これ完全に甘えてるな」
ジェシー「やばいな今日」
樹は北斗を見る。
北斗はグラスを持つ手が少し止まる。
北斗「……」
風磨「〇〇そのうち倒れるぞ」
〇〇「倒れないよ」
〇〇「今日はいける」
きょも「いやちょっと水飲もう」
〇〇「あとで」
〇〇はまたきょもの腕を掴む。
〇〇「きょも好きー」
きょも「それは友達のやつね」
〇〇「うん友達!!」
その言葉に少しだけ空気が揺れる。
ジェシー「今のセーフ判定?」
慎太郎「ギリセーフ」
北斗は小さく息を吐く。
北斗「…楽しそうだな」
樹「嫉妬してんの?」
北斗「してねえよ」
でも視線は完全に〇〇ときょもに向いている。
〇〇は全く気づかないまま、さらにきょもに寄っていく。
〇〇「きょもほんと落ち着く」
きょも「はいはい」
風磨が小さく笑う。
風磨「今日荒れるなこれ」
〇〇「きょも〜」
きょも「なに」
〇〇「なんかさ、眠くなってきた」
きょも「ほらやっぱり」
〇〇「でも帰りたくない」
きょもが少し困ったように笑う。
きょも「じゃあもうちょいだけね」
〇〇「うん」
〇〇はそのままきょもの肩に完全に寄りかかる。
ジェシー「完全に預けてるじゃん」
慎太郎「これは重いぞ〜」
きょも「ちょっと重いね」
〇〇「ひど!!」
笑いながらも、離れない。
北斗はその様子をずっと見てる。
北斗「……」
グラスを置く音が少し強くなる。
カタン、と小さく響く。
樹がそれに気づく。
樹「お前さ」
北斗「なに」
樹「顔出てる」
北斗「出てねえよ」
即答。
でも視線は外さない。
〇〇「きょも優しい〜」
きょも「それさっきから何回目」
〇〇「だってほんと」
〇〇はきょもの腕にさらに寄る。
その距離。
北斗の眉がわずかに動く。
風磨「おい〇〇」
〇〇「なに〜」
風磨「そろそろ戻れ」
〇〇「やだ」
即答。
ジェシー「拒否った」
慎太郎「強いな」
きょも「いや戻ろうか一応」
〇〇「なんで〜」
きょも「いや一応ね」
〇〇は少しだけ不満そうにしながらも、動こうとしない。
その時。
北斗「…いい加減にしろよ」
低い声。
一瞬で空気が止まる。
〇〇「え?」
初めて北斗の方を見る。
北斗「酔ってるのはわかるけどさ」
少し間。
北斗「距離感おかしいだろ」
静かに言う。
でも声は明らかにいつもと違う。
慎太郎「お、おい…」
ジェシー「北斗?」
〇〇は少しだけぽかんとする。
〇〇「…ごめん?」
よくわかってないまま謝る。
きょも「いや俺は別に大丈夫だけど」
空気を和らげようとする。
風磨が北斗を見る。
風磨「どうした急に」
北斗「別に」
でも視線は外さない。
北斗「見てて普通に危ないし」
少し言い訳っぽく。
樹が小さく息を吐く。
樹「…ほんとかよ」
ぼそっと。
〇〇は少しだけ姿勢を戻す。
でもまだぼんやりしてる。
〇〇「なんか怒られたんだけど」
小さく呟く。
ジェシー「まあまあ」
慎太郎「北斗今日ピリついてるな」
きょも「水飲もっか」
〇〇「うん…」
コップを渡されて、少し飲む。
その間も。
北斗は黙ったまま。
自分でもわかってる。
言いすぎたこと。
でも。
止められなかった。
樹「…ついに出たな」
小さく呟く。
風磨は少しだけ笑う。
風磨「わかりやす」
〇〇はまだ状況を理解してない。
ただ少しだけ静かになっただけ。
でもこの一言で。
空気は確実に変わり始めていた。
〇〇「なんか怒られたんだけど」
小さく呟く。
きょも「大丈夫だよ」
きょも「ちょっと強く言っただけだから」
〇〇「んー…」
少しだけしょんぼりする。
慎太郎「北斗さすがに強いって」
ジェシー「びっくりしたわ今」
北斗「……」
何も言わない。
樹「お前」
北斗「なに」
樹「それ、自分でもわかってるだろ」
北斗は答えない。
〇〇「ごめんって言ったのに…」
きょも「いや俺はほんとに大丈夫だから」
〇〇「うん…」
風磨「〇〇、こっち来い」
〇〇「やだ」
風磨「いや来いって」
〇〇「なんで」
風磨「いいから」
〇〇は渋々きょもから離れる。
その時、少しふらつく。
北斗「危ねえって」
咄嗟に腕を掴む。
〇〇「…あ」
一瞬、顔が近づく。
ジェシー「おい」
慎太郎「ちょっと待って」
北斗も一瞬固まるが、すぐに手を離す。
北斗「ちゃんと座れ」
〇〇はそのまま座る。
少し静かになる。
きょも「ほんと大丈夫?」
〇〇「…うん」
風磨「今のは優しいな」
北斗「別に」
樹「どっちなんだよ」
〇〇はさっき掴まれた手を見る。
少しだけぼーっとしている。
〇〇「……」
一瞬の距離が頭に残る。
〇〇「…なんでもない」
慎太郎「水もう一杯飲め」
〇〇「うん」
ジェシー「ちょっと休憩だな」
きょも「だね」
少し空気が落ち着く。
北斗は黙ったまま。
さっきの自分の行動を思い返している。
樹「…やばいなこれ」
風磨は小さく笑う。
風磨「だな」
〇〇はまだ気づいていない。
でも確実に。
何かが変わり始めていた。
ジェシー「ちょっと落ち着いた?」
〇〇「うん…たぶん」
慎太郎「絶対たぶんじゃん」
樹「顔まだ赤いしな」
〇〇「もう大丈夫だって」
グラスを持とうとする。
北斗「やめとけ」
被せるように言う。
〇〇「え?」
北斗「それ以上飲むな」
少し低い声。
〇〇「なんで」
北斗「見てればわかるだろ」
〇〇「大丈夫だし」
北斗「大丈夫じゃねえよ」
空気がまた少し張る。
風磨「まあまあ」
きょも「水にしとこ」
〇〇「…はいはい」
少し不満そうにしながら水を持つ。
〇〇「なんか今日厳しくない?」
北斗「普通」
〇〇「普通じゃないって」
ジェシー「確かにちょっと強め」
慎太郎「珍しいな」
北斗「別に」
短く返す。
〇〇は少しだけ北斗を見る。
でもすぐに視線を逸らす。
〇〇「…さっきもだけどさ」
ぽつっと言う。
樹が少しだけ反応する。
〇〇「そんな怒んなくてもよくない?」
静かに言う。
空気が止まる。
北斗「怒ってねえし」
〇〇「怒ってたじゃん」
北斗「怒ってねえって」
〇〇「怒ってた」
少し意地になる。
慎太郎「おいおい」
ジェシー「きたなこれ」
風磨「〇〇、今それやめとけ」
〇〇「なんで」
北斗「……」
少し黙る。
北斗「普通に危ないから言っただけ」
〇〇「でもさ」
止まらない。
〇〇「きょもは何も言ってないじゃん」
その一言。
空気が一気に変わる。
樹「…あー」
小さく呟く。
北斗の表情が変わる。
ほんの少しだけ。
北斗「だから?」
低い声。
〇〇「いや、だからさ」
〇〇「別にいいじゃんって思って」
北斗「よくねえだろ」
即答。
〇〇「なんで」
北斗「…」
一瞬詰まる。
言葉を選ぶ。
でも。
北斗「見ててイラつくんだよ」
空気が止まる。
ジェシー「おい」
慎太郎「それは…」
風磨が小さく笑う。
風磨「出たな」
〇〇「え?」
完全に止まる。
北斗も自分で言ったことに気づく。
でももう遅い。
〇〇「…なんで?」
静かな声。
北斗「……別に」
視線を逸らす。
〇〇「別にじゃないじゃん」
少しだけ、さっきより酔いが抜けた声。
樹は何も言わず見てる。
北斗は答えない。
〇〇「…意味わかんない」
小さく呟く。
きょも「まあまあ、一回落ち着こ」
高地「そうだね」
慎太郎「話変えよ話変えよ」
ジェシー「そうそう」
無理やり空気を戻そうとする。
でも。
さっきの一言は消えない。
北斗は黙ったまま。
〇〇も静かになる。
樹「…やばいなこれ」
小さく呟く。
風磨はグラスを揺らしながら、少しだけ笑う。
風磨「やっとか」
空気は戻ったようで戻っていない。
そして。
ここから、完全に流れが変わり始める。
ーーーー
〇〇「…意味わかんない」
静かに言う。
北斗は何も返さない。
〇〇「なんでイラつくの?」
北斗「……」
〇〇「言ってよ」
少し強くなる。
慎太郎「おい〇〇…」
ジェシー「やめとけって」
〇〇「だって意味わかんないもん!」
北斗「別にって言ってるだろ」
〇〇「別にじゃないじゃん!」
声が少し大きくなる。
空気が一気に張り詰める。
風磨「〇〇、落ち着け」
〇〇「なんで北斗だけあんな言い方すんの?」
北斗「…は?」
〇〇「きょもには何も言わないのに」
北斗「関係ねえだろそれ」
〇〇「関係あるでしょ!」
きょも「〇〇、ほんと大丈夫だから」
〇〇「きょもはいいって言ってるじゃん!」
北斗「だからっていいわけねえだろ」
〇〇「なんで?」
北斗「危ないって言ってんだろ」
〇〇「それだけじゃないでしょ」
北斗「は?」
〇〇「絶対それだけじゃないじゃん!」
一歩引かずに言う。
樹「…やめとけって」
〇〇「絶対それだけじゃないじゃん!」
北斗「…は?」
〇〇「さっきからずっと変だし」
北斗「変なのはお前だろ」
〇〇「は?」
空気が一気に冷える。
慎太郎「おい…」
ジェシー「ちょっと待てって」
〇〇「なにそれ」
北斗「自分でわかってねえの?」
〇〇「何が」
北斗「距離感」
〇〇「だからさっき謝ったじゃん!」
北斗「謝えばいい問題じゃねえだろ」
〇〇「じゃあ何なの?」
北斗「…」
一瞬詰まる。
でも止まらない。
北斗「誰にでもああいうことすんのかよ」
一気に空気が凍る。
〇〇「は?」
ジェシー「北斗それは…」
慎太郎「言い過ぎ」
〇〇「なにそれ」
声のトーンが変わる。
〇〇「そういう風に見てたんだ」
北斗「違えよ」
〇〇「じゃあ何?」
北斗「…」
言葉が詰まる。
〇〇「言えないじゃん」
北斗「言う必要ねえだろ」
〇〇「逃げてるだけじゃん!」
声が一気に強くなる。
慎太郎「おい〇〇…」
ジェシー「やばいってこれ」
〇〇「なんでそんな言い方すんの?」
北斗「事実言ってるだけだろ」
〇〇「どこが事実なの!」
北斗「見ててそう思ったから言ってんだよ」
〇〇「最低」
一瞬で場が静まる。
北斗の表情が止まる。
北斗「は?」
〇〇「人のこと勝手に決めつけて」
〇〇「そんな言い方する人だったんだ」
北斗「…お前がそういうことしてるからだろ」
〇〇「してないし!」
北斗「してるだろ!」
〇〇「してないって言ってるじゃん!」
完全にぶつかる。
樹「もうやめろって」
風磨は何も言わず見てる。
〇〇「ほんと無理」
ぽつっと落ちる言葉。
北斗「…は?」
〇〇「そういうとこ」
〇〇「なんか上からで、決めつけて」
〇〇「嫌い」
その一言。
空気が完全に止まる。
ジェシー「…おい」
慎太郎「さすがにそれは」
北斗は何も言わない。
一瞬だけ、目が揺れる。
北斗「…そっか」
小さく言う。
〇〇も止まる。
言い過ぎたのはわかる。
でも引けない。
北斗「じゃあもういいわ」
立ち上がる。
樹「北斗」
北斗「帰る」
高地「逃げるの?」
北斗「うるせえ」
北斗はそのまま歩き出す。
〇〇「…なにそれ」
小さく呟く。
止めたいのに。
言葉が出ない。
ドアが開く音。
閉まる音。
静まり返る部屋。
慎太郎「…最悪だなこれ」
ジェシー「やりすぎだって」
きょも「〇〇…」
〇〇は動かない。
さっき言った言葉が頭に残る。
「嫌い」
自分で言ったのに。
胸の奥が、少し痛む。
風磨が小さく息を吐く。
風磨「…終わったな一回」
誰も否定しない。
でもこれは終わりじゃない。
ここからが、一番やばい。
ドアが閉まったあともしばらく誰も動かない。
〇〇「……」
下を向いたまま。
きょも「〇〇、大丈夫?」
〇〇「…大丈夫」
声が全然大丈夫じゃない。
慎太郎「いや大丈夫じゃないだろ」
ジェシー「言い過ぎたって」
〇〇「……わかってる」
小さく返す。
樹がソファに深く座り直す。
樹「でも北斗も北斗だろ」
風磨「まあな」
きょも「うん、あれはちょっと強かった」
高地「どっちもどっちかな…」
空気は重いまま。
〇〇は手をぎゅっと握る。
〇〇「…なんであんな言い方すんの」
ぽつっと。
〇〇「意味わかんない」
でも。
頭の中にはさっきの北斗の顔。
一瞬だけ揺れた目。
ジェシー「追いかける?」
慎太郎「いや今は無理だろ」
樹「火に油」
風磨「だな」
〇〇は何も言わない。
ただ立ち上がる。
きょも「〇〇?」
〇〇「帰る」
慎太郎「一人で大丈夫か?」
〇〇「大丈夫」
ジェシー「送るよ」
〇〇「いい」
短く返す。
風磨「待て」
少し強めに呼ぶ。
〇〇「なに」
風磨「そのまま帰ったら絶対後悔するぞ」
〇〇「……」
風磨「言い過ぎたのもわかってるだろ」
〇〇「…でもあっちもでしょ」
風磨「だから両方だって言ってんの」
少し間。
〇〇「…今会ってもまた言い合いになる」
樹が頷く。
樹「それはある」
きょも「少し時間置いた方がいいかもね」
〇〇は黙る。
でも。
さっきの言葉。
「嫌い」
頭から離れない。
〇〇「……最悪」
小さく呟く。
その頃。
外。
北斗は一人で歩いてる。
夜の空気。
少し冷たい。
北斗「…はあ」
深く息を吐く。
ポケットに手を入れる。
さっきのやり取りが全部よみがえる。
「嫌い」
北斗「……」
一瞬だけ足が止まる。
北斗「…言いすぎだろ」
小さく呟く。
でも。
自分も同じ。
北斗「……クソ」
壁に軽く拳を当てる。
イラつきと、後悔と。
全部混ざってる。
北斗「…なんなんだよ」
答えは出ない。
でも一つだけ。
はっきりしてる。
もう。
“どうでもいい”では済まないところまで来てる。
そして。
同じ夜。
別々の場所で。
2人とも、全く寝れない夜が始まる。
〇〇「…帰る」
静かに言って、カバンを持つ。
きょも「送るよ」
〇〇「いい」
慎太郎「いや無理だろ一人は」
ジェシー「さすがにダメ」
〇〇「大丈夫だって」
風磨「大丈夫じゃねえよ」
〇〇「ほんとに平気」
少し強がる。
でも足元はまだ少しふらついてる。
樹「ほら見ろ」
樹「その状態で一人は無理」
〇〇「……」
言い返そうとして、言葉が出ない。
きょも「タクシー呼ぶから」
〇〇「いいってば」
その時。
急に力が抜けるみたいに、ソファに座り込む。
〇〇「…もうやだ」
声が震える。
ジェシー「え」
慎太郎「おい」
〇〇「なんであんな言い方されなきゃいけないの」
ぽろっと涙が落ちる。
〇〇「意味わかんない…」
止まらなくなる。
きょも「〇〇、大丈夫だから」
隣に座って背中をさする。
〇〇「ごめんって言ったのに」
〇〇「なんであんな…」
涙がどんどん出てくる。
風磨が少しだけ顔をしかめる。
風磨「ほら、だから言っただろ」
小さく呟く。
樹「今はそれ言うな」
〇〇は顔を隠する。
〇〇「…最悪」
〇〇「ほんとに最悪…」
きょも「大丈夫、大丈夫」
慎太郎「水もう一回持ってくるわ」
ジェシー「ティッシュ」
バタバタしながらも、みんな少し焦ってる。
〇〇「…帰りたい」
小さく言う。
きょも「うん、帰ろう」
きょも「ちゃんと送るから」
〇〇「一人でいい…」
風磨「ダメ」
即答。
〇〇「なんで…」
風磨「今のお前無理だから」
〇〇「……」
涙を拭きながらも、止まらない。
樹「タクシーで送る」
樹「誰か一緒に乗る」
ジェシー「俺行く?」
慎太郎「俺でもいいけど」
きょも「俺行くよ」
〇〇「…きょもがいい」
小さく言う。
風磨がそれを聞いて、少しだけ視線を逸らす。
樹も何も言わない。
きょも「わかった」
〇〇は立ち上がろうとして、また少しふらつく。
きょも「危ない」
支える。
〇〇「…ごめん」
きょも「いいよ」
そのままゆっくり外へ向かう。
部屋に残ったメンバー。
慎太郎「…これやばくね」
ジェシー「完全にこじれた」
樹「北斗にも言っといた方がいいな」
風磨はスマホを見ながら小さく息を吐く。
風磨「…あいつも今ぐちゃぐちゃだろうな」
誰も否定しない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その頃。
外に出た〇〇はまだ涙が止まらないまま。
夜の空気に当たっても、全然落ち着かない。
〇〇「…なんで…」
小さく呟く声。
そのままタクシーへ向かう。
でも心は。
さっきの場所に置いたまま。
ぐちゃぐちゃのまま、夜が続いていく。
ーーーーーーーー
残ったメンバー達。
慎太郎「…やばくね、これ」
ジェシー「やばいどころじゃないだろ」
樹「完全にいったな」
高地「うん…結構きつかったね今の」
風磨「まあなるべくしてなった感じだけどな」
慎太郎「いやでも“嫌い”はきついって」
ジェシー「北斗あれ食らうタイプだろ」
樹「100%食らってる」
高地「しかもあの状態で言われたらね…」
少し沈黙が流れる。
慎太郎「でも北斗もさ」
慎太郎「あれは言いすぎだろ」
ジェシー「“誰にでもああいうことすんのかよ”はアウト」
樹「完全に嫉妬だろあれ」
風磨「まあな」
さらっと言う。
高地「本人は認めないだろうけどね」
樹「いやもうバレバレだろ」
ジェシー「見てて分かるレベルだった」
慎太郎「むしろなんで今まで言わなかったんだよ」
風磨「溜めすぎ」
樹「それな」
少しだけ苦笑いが起きる。
高地「〇〇も全然気づいてなかったしね」
ジェシー「むしろ煽ってたまである」
慎太郎「無自覚が一番怖い」
樹「しかも酔ってあれだろ」
風磨「最悪のタイミングな」
また少し静かになる。
ジェシー「…で、どうすんのこれ」
慎太郎「放置はやばいだろ」
樹「でも今は無理」
高地「うん、今会わせたらまたぶつかる」
風磨「確実に悪化する」
ジェシー「じゃあ時間置く?」
樹「置くしかない」
慎太郎「でも北斗一人にしといて大丈夫か?」
樹「…大丈夫じゃないな」
風磨がスマホを軽く見ながら言う。
風磨「あいつ今絶対一人で考え込んでる」
ジェシー「それが一番良くない」
高地「誰か連絡する?」
樹「俺する」
慎太郎「頼むわ」
樹はスマホを手に取る。
少し考えてから画面を開く。
ジェシー「なんて送るの」
樹「普通にだよ」
慎太郎「絶対普通じゃ済まないだろ」
風磨「まあ既読つけばいいだろ」
高地「〇〇はきょもいるしね」
ジェシー「そっちは一応安心か」
慎太郎「いやメンタルは安心じゃないだろ」
樹「どっちも終わってる今」
ぽつっと言う。
風磨「まあでも」
全員が少しだけ風磨を見る。
風磨「これで終わる2人じゃないだろ」
静かに言う。
樹「…まあな」
ジェシー「むしろここからだろ」
慎太郎「めんどくさくなりそうだな〜」
高地「でもちゃんと向き合うタイミングではあるよね」
風磨「強制的にな」
樹がスマホを見ながら小さく息を吐く。
樹「…既読つかねえ」
ジェシー「まじか」
慎太郎「余計心配だわ」
風磨「まあほっとけ」
樹「は?」
風磨「今は無理に触ると悪化する」
少し間。
風磨「自分で整理する時間も必要だろ」
高地「確かに」
ジェシー「〇〇も今ぐちゃぐちゃだしな」
慎太郎「今日カオスすぎだろ」
樹「ほんとそれ」
全員が小さく息を吐く。
誰も笑っていない。
でもどこかでわかってる。
これはただの喧嘩じゃない。
ずっと溜まってたものが出ただけ。
風磨「…まあ」
最後に一言。
風磨「面白くなってきたな」
樹「お前だけな」
少しだけ空気が緩む。
でも重さは消えないまま。
夜はまだ続いていく。
ーーーーーーーーー
北斗side
外に出た瞬間、空気が一気に冷たく感じる。
北斗「…はあ」
深く息を吐く。
そのまま歩き出す。
足は止まらないのに、頭の中はさっきのことでいっぱい。
北斗「……」
ポケットに手を突っ込む。
「誰にでもああいうことすんのかよ」
自分の言葉がよぎる。
北斗「…最低だろ」
小さく呟く。
でもそのあとすぐ。
「嫌い」
北斗「……っ」
一瞬だけ呼吸が止まる。
北斗「はは…」
乾いた笑いが出る。
北斗「ちゃんと返ってきてんじゃん」
壁に軽く手をつく。
北斗「…何やってんだよ」
わかってる。
言いすぎたのは自分。
でも。
北斗「…無理だろ」
きょもに寄りかかってる〇〇。
笑ってる顔。
“好きー”って軽く言う声。
北斗「…あれ見て何も思わない方が無理だろ」
思い出して、またイラつく。
北斗「…はあ」
スマホが震える。
樹からの通知。
画面を見る。
でも開かない。
北斗「今は無理」
小さく言って、画面を閉じる。
そのまま歩き続ける。
〇〇の顔が浮かぶ。
泣きそうな顔。
「ごめん」って言った声。
北斗「……」
北斗「…あの顔で言うなよ」
余計に離れなくなる。
北斗「…くそ」
足を止める。
北斗「なんで俺がこんな」
答えは出てるのに、言葉にしたくない。
北斗「……好きとか」
小さく呟いて、すぐに顔をしかめる。
北斗「今さらかよ」
ずっと前からなのに。
でも今日、完全に突きつけられた。
北斗「…他のやつでキュンとしてんのも」
北斗「笑ってんのも」
北斗「全部無理だわ」
自嘲気味に笑う。
北斗「余裕なさすぎだろ」
スマホをもう一度見る。
樹の通知。
今度は少しだけ迷う。
でも結局開かない。
北斗「…今話したら絶対余計なこと言う」
ポケットに戻す。
夜の道を見ながら。
北斗「……」
頭の中で、最後の言葉が何度も流れる。
「嫌い」
北斗「…あーあ」
そのままベンチに座る。
北斗「…きつ」
小さく呟く。
でも一番きついのは。
あの言葉じゃない。
北斗「…少し泣いてたし」
あの顔。
北斗「…やらかしたな」
完全に。
北斗「…どうすんだよこれ」
答えは出ない。
ただ一つだけ。
もう前みたいには戻れないってことだけ、はっきりしていた。
ーーーーーーーーー
〇〇side
タクシーのドアが閉まる。
静かな空間。
エンジンの音だけが響く。
〇〇は窓の外をぼーっと見てる。
きょも「大丈夫?」
〇〇「……うん」
小さく返す。
でも全然大丈夫じゃない。
少し間が空く。
きょも「水、持ってる?」
〇〇「ある」
バッグから取り出して、少し飲む。
手が少し震えてる。
きょも「無理しなくていいよ」
〇〇「…してない」
強がる。
でも。
〇〇「…最悪」
ぽつっと漏れる。
きょもは何も言わずに聞く。
〇〇「なんであんな言い方されるの」
〇〇「意味わかんない…」
声が少し震える。
きょも「うん」
否定しない。
〇〇「ごめんって言ったのに」
〇〇「なのにさ…」
また少し涙が出てくる。
きょも「〇〇」
優しく名前を呼ぶ。
〇〇「…私そんな変なことした?」
きょも「酔ってはいたけど」
きょも「変ではないよ」
〇〇「じゃあなんで」
答えを求める声。
きょもは少しだけ考える。
きょも「…北斗も余裕なかったんだと思う」
〇〇「なんで?」
きょも「それは…」
少しだけ言葉を選ぶ。
きょも「〇〇が思ってるより、気にしてること多いから」
〇〇「…なにそれ」
〇〇「わかんない」
正直な声。
きょも「うん、今はわからなくていいと思う」
〇〇は少しだけ黙る。
〇〇「…でも」
〇〇「嫌いって言っちゃった」
その一言で、自分で少しだけ表情が歪む。
きょも「うん」
〇〇「…言いすぎたよね」
きょも「うん」
優しく肯定する。
〇〇「…はあ」
力が抜けて、シートに寄りかかる。
〇〇「なんかもう全部やだ」
きょも「今日はそう思う日だね」
〇〇「なんであんなイラついてたのあの人」
少しだけ拗ねたような言い方。
きょもは少しだけ笑う。
きょも「〇〇に対してだけだよ」
〇〇「え?」
きょも「他にはあんな言い方しない」
〇〇「…そうなの?」
きょも「うん」
少し間。
〇〇はまた外を見る。
頭の中に浮かぶのは。
さっきの北斗の顔。
近かった距離。
掴まれた腕。
〇〇「……」
胸の奥が少しざわつく。
でもすぐに。
〇〇「でも無理」
小さく呟く。
きょも「なにが?」
〇〇「わかんないけど」
〇〇「なんか…むかつく」
きょも「そっか」
否定しない。
〇〇「でもさ」
〇〇「…ちょっとだけ」
言いかけて、止まる。
きょも「なに?」
〇〇「…なんでもない」
言えない。
でも心のどこかで。
“なんであんなに気になるんだろう”
答えはまだ出ない。
タクシーは静かに進んでいく。
2人の間には、優しい空気と。
まだ整理できてない感情が、混ざったまま流れていた。
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