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その時、私の中に、突然温かくて大きな体の感覚が飛び込んできた。
「あ……」
あの時と同じだ。
その体温は毛布みたいに私の体を優しく包み、以前にも増して全てを熱くした。
とめどなく溢れ出す感情に、私は、これ以上自分を抑えることは不可能だと思った。
こんな気持ち、初めてだよ……
ただ祐誠さんに抱きしめられるだけじゃ嫌だって、そう心が言ってる。
受け身のままじゃ……嫌だって。
私は、祐誠さんの背中に腕を回して、「お願い、もっと強く抱きしめて……」って、声にならない思いを湧き上がらせていた。
そしたら……
祐誠さんはまるで全てわかってるみたいに、その腕に力を込めた。
「2度目だな。こうやって雫を抱きしめるのは」
「ええ。すごく温かい……」
祐誠さんの激しく心臓を打つ音が、私に直接伝わってくる。
「雫……」
名前を呼ぶ、その艶のある声。
「はい……」
髪に優しく指を絡めながら、あなたは……私を見た。
少し荒くなった息づかいを感じる程の距離。
美しい瞳に、私が映る。
そして、次の瞬間だった。
「好きだ。君のことを愛してる」
祐誠さんは、甘美で情熱的にそう言った。
その言葉が、私の頭の中に響いて何度も繰り返される。
「祐誠……さん、本当に……?」
「ああ、本当だ。ずっとずっと閉じ込めていた心の中の想い……やっと、言えた」
おでことおでこを合わせてそう言った祐誠さん。
すごく色っぽくて、なぜか、ちょっと切なかった。
ワインで湿った祐誠さんの唇が、私の耳元に優しく触れ……
そして、そこからゆっくりと首筋に向かって這っていった。
欲情をそそられるような、何ともいえない感覚が私を襲う。
その瞬間、私の心は全部、あなたに掴まれてしまった。
ねえ、祐誠さん……
私、わかったよ。
あなたにもらった言葉、素直に嬉しかったから。
これって……恋だよね。
祐誠さんを想う気持ち。
「好きだ」っていう、強い強い想い。
ずっとかたくなに開けなかった蕾が、まるで一気に花を咲かせたみたいな感覚。
「祐誠さん、私も……」
あなたのおかげで、私は素直になって、見つけることができたよ……
ずっと探してた……本当の「答え」を。
涙が溢れて、胸が苦しい。
でも、頑張って言わなきゃ……
「私も……あなたが……好き」
込み上げる熱い想い、ちゃんと……言えた。
「雫、嬉しいよ」
すぐ目の前にあるあなたの顔は、どうしてそんなに綺麗なの?
目と目が逢う。
恥ずかしくて目を逸らす。
また……見つめ合う。
そして、私の唇に、あなたの唇が……そっと重なった。