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第二十三章
代償
―失われゆくもの―
神殿に重い静寂が流れる。
誰も言葉を発することはなかった。
やがて神父は静かに口を開く。
「皆さまが失われたもの……それは、四神の力が求める代償です」
煉華が小さく息を呑む。
「やっぱり……本当だったんですね」
神父は静かに頷いた。
「四神の力は、本来、人が扱えるものではありません。
その強大な力を、その身に宿し、振るう代わりに、皆さまは五感を代償として支払います。」
「五感……」
蒼紫が小さく呟く。
「はい。
視ること。聞くこと。味わうこと。触れること。そして、香ること。
それらは人が世界を感じるために欠かせないものです。
四神の力は、その『世界を感じる力』を代償として求めるのです。」
神殿が静まり返る。
誰一人として言葉を発せない。
「では……力を使うたびに……」
煉華が震える声で問い掛ける。
「私たちは、五感を失っていくんですか……?」
神父は目を閉じ、小さく頷いた。
「……はい。
力を使えば使うほど、代償は積み重なっていきます。」
「そう、なんだ…っ」
琥珀が思わず拳を握る。
神父は続けた。
「ですが、それだけではございません。」
四人の視線が神父へ集まる。
「皆さまが戦いの中で詠まれた祝詞。
あれは四神の力をさらに引き出す『応用能力』です。」
「応用能力……?」
「はい。」
「通常の力とは比べものにならないほど強力です。しかし、その分、身体へ掛かる負担も、代償も大きくなります。」
詞葉はそっと自分の手を見つめた。
もう、温もりは感じない。
それでも、この力で大切な人を護れた。
その想いだけは、決して消えなかった。
神父は四人を静かに見渡す。
「この先も戦うのであれば、皆さまは幾度となく選択を迫られるでしょう。
大切なものを護るために、力を使うのか。
…それとも、自らの未来を守るために、その力を手放すのか。」
神殿は再び静寂に包まれた。
誰も答えられない。
その問いに答えを出せる者は、この場にはまだ誰もいなかった。
コメント
1件
第23話「代償」、めっちゃ重くて胸にきたよ…!💦 四神の力を使うたびに五感が失われていくって、代償がエグすぎるけど、だからこそその選択と覚悟が尊く見えるんだよね…。特に詞葉の「もう、温もりは感じない」ってとこ、切なすぎて涙腺やばかった😭💔 「大切なものを護るか、未来を守るか」の問いかけ、めちゃくちゃ深いよ…この先どう選んでいくのか、もう続きが気になって仕方ない!!✨