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事の発端はわずか数分前。
「やばっ!練習遅刻しちゃう!!」
黒髪の綺麗な髪を靡かせ、バタバタと移動する少女ーーーーーー星乃一歌。
一歌は幼馴染4人でやっているバンド、Leo/needの練習へと急いでいた。
いつもの彼女ならばもっと余裕を持って行動しているため、このように慌てて移動することもなかった。
が、今日は放課後に先生の手伝いをしていたため、向かうのが遅くなってしまった。
練習場所はセカイーーーーーー想いから生まれた曲、need/Leを再生するといくことができる、不思議な場所ーーーーーーが練習場所なのだが、セカイへ行くところを他の人間に見られると厄介だ。
なにせ曲を再生すると別世界へと飛べるのだ。何も知らない他人からすれば不可解で理解不能な現象。
目の当たりにすればどんな反応をされるかわからない。
まぁ、セカイに出入りしている一歌たちもセカイという存在がどういう理屈で存在しているのか、なぜ曲を再生すると行けるのかはわからない。
そういうものなのだと、受け入れている。
まぁ、そういうわけで人気のない場所へと急ぐ。
「ここで、いいかな…」
一歌はあたりを見回す。
いつもならもっとしっかりと行う”人がいないか”という確認も今日は怠った。あまりにも焦っていたから。
が、今日はそれが命取りとなった。
「あった、need/Le!」
プレイリストをスワイプし、need/Leを見つけるなりすぐにタップ、再生した。
シャラララララ
セカイ特有の音が流れる。たくさんの色とりどりな三角形に包まれる。
「あれ、星乃さん?!」
「えっ、◯◯◯さん?!」
驚いた同級生の声を聞きながら一歌はセカイへと入っていった。