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サイド アミ
自宅前。街灯に照らされたとある四人の影を見つけ、私は足を止めた。
「全部知っていたんでしょ?」
「何がだ?」
あくまでもしらをきるつもりみたいね。別にどうでもいいけれど。
モンダイジ団。
ただの子供の遊びみたいなふざけた集まりだと思っていたけど、意外にもしっかりした団だった。
こうして警察より早く事故の犯人を見つけたり、それぞれが活動してるのを今日だけでもたくさん見てきた。何か目的があって、活動してるのも本当なのかも。
私は俯いたまま静かに問う。
「私が復讐したらどうするつもりだった訳?」
「アミはそんなことしないと信じてた」
「ですが、腕を上げたときは流石にヒヤッとしましたわよ!」
見られていた?!どこから?!!
「ああ……烏、なんだよね」
「烏?!」
何言ってんの?!
「キリさんは動物を操ることが出来ますの!」
「心を読めるユメほどじゃないよ」
動物を操る?心を読む?
「お、オレもこいつのこと知りたいです!」
そう言ってレンがポケットから出したのは……。
「蛇?!」
しっかりした団だと思ったけど、訂正するわ!何よ、このぶっ飛んだ集まりは!!
「あー……あいつらのことはほっといていいぞ」
それしか選択肢がないじゃない。もう三人は動物談義に花が咲いている。さすがにあそこに混ざる気力は無い。
「……私、本当は犯人に復讐するつもりだった。けど、出来なかった」
あんたは知っているかもしれないけど。
「私に言ったわよね。『復讐は何も生み出さない』って」
「ああ」
それは、間違いだと私は思う。
「復讐は復讐しか生み出さないの。誰かが聖人でもない限り一生続く負の連鎖なのよ」
「……なら、それに気づいて復讐しなかったアミは、すごいな」
違う、違うの。
「私はっ……あんたの言葉とあの子のおかげで踏み留まっただけ!あんたがいうような人じゃないの!!」
あのとき、犯人の子どもを痛い目に合わせるということを考えたとき、私は自分で自分が恐ろしくなった。
人は、その気になれば、どこまでも冷酷で残酷になれる。私は、それがすごく怖い!!
「……人は、誰だっていつでも正解を選べるほど器用なやつばかりじゃないさ。それがすごく大事で後戻り出来ないようなときに不正解を選ぶ」
本当にそうね。幸せは失った後に幸せだと気付くもの。
「此処は、モンダイジ団はそういうやつの集まりだ」
─────ああ。
一人で、強くならなきゃいけないと思っていた。けれど、それが一人だと感じるほど辛くて、怖かった。
不意に、涙が溢れ落ちた。それはアスファルトの上に黒いしみを作る。
「っ…………!」
お願い、もう少しだけこの腕の中にいさせて。あなたが驚いてることも分かってる。だって、私自身も驚いてるから。でも、もう少しだけ。
“マオ”の優しさに溺れていたい。