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サイド タエ
キノの家に戻ると、青い帽子を受け取った女の人がいた。
「ひっ……!ぁ、う………」
「あ、すまんタエ。こいつが……」
マオの話が終わる前に、私は条件反射で玄関の扉を閉めた。だ、団員が入るなんて、聞いてないよう……。
「アミに反応してるってことは、本物のタエだな」
ガチャリと扉を開けてマオが顔を出す。その後ろには……アミ、さん?が少し困った表情で「よるしく」とぶっきらぼうに言う。
……って、あれ?
「キノたちは?もしかして、いない?」
「呼んだか?」
リビングからキノの声がして、すぐ後に玄関に顔を出した。
「キリとレン、ユメは二階で寝てる。トキは自宅で、馬鹿はどっかほっつき歩いている」
馬鹿=ルネのことだとすぐに理解した私は、思い切って口を開いた。
「み、みんなに紹介したい人がいるの……!」
そう言って、私は後ろにいた黄緑色のタンクトップを着た高校生を手招きした。
「うっす。うち、小山石 理央(コヤマイシ リオ)っていうっす」
「なぁ、マオ。……こいつ、誰?」
見知らぬ人の登場に、物事をすぐ忘れてしまうキノがマオに説明を求めた。
「いや、俺も知らない」
その言葉を待っていたかの様に、リオさんはニヤリと口角を上げた。
「あれぇ……?ずっと一緒だったのに、それはなくない、かな?」
私の声色で、リオさんは言う。途端にキノとマオの顔色が変わった。
「んなっ……!おま、タエに化けてた!!」
「おい、タエ!どういうつもりなんだ?!」
「か、勝手なことして、ごめんなさい!でも、リオさんも“訳あり”で……!」
「分かった、許す!!」
……っえ、い、いいの?マオのほうも向くと「またこいつは勝手に……」と呟いていたけど、駄目とは言わなかった。アミさんは何も知らないのだろう、キョトンとしている。
「あ、ありがとう……!」
「じゃあ、うちも今日から団員っすね。アミが9番だとすると……うちの番号は10番っすか?」
「あ……」
そっか。今は初代モンダイジ団を知らない人のほうが、多いんだ……。
「実はね、この土地以外にも二人、初期メンバーがいるの」
「それが団員番号0番と、10番だ。だから、リオは11番になる」
「了解っす」
これは、三年前からこの団にいた人しか知らないからしょうがない。けれど……そろそろ二人のことも、みんなに話しておかないと。
あまり、楽しい話しじゃないから、なるべく話したくないんだけどなぁ。
「そういえば、マオ。あんたさ、なんで犯人分かったの?手掛かり何も無かったんでしょ?」
重い雰囲気を感じ取ったのか、アミさんが話題を変えてくれた。
「ああ、手掛かりがないことが手掛かりになってんだ」
マオはふっと目を細めて種明かしを始めた。
この事故の犯人の見つけ方を。