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ようこそ、カリモトリブレだ。
今、両小指が切れている。
なんでそうなったのか気になるだろ…?
気にならないって? 冷たいな…
まあ、そんなことはどうでもいい。
今回の話はちょっとだけ心が暖かくなるお話だ
現在、依頼人と話しているところ。
依頼人の名前は、『秋沢 唐』(アキダク トウ)
七賀谷コンビニの店長だそうだ。
「今日は、どんな依頼で?」
「はい…深夜、私のコンビニで怪異が起きるのです…」
「怪異…具体的にどういうことが?」
「商品が勝手に無くなります…」
深夜にしか起きない怪異…面白い…!
「分かりました…承りましょう」
こうして僕は深夜、コンビニに張り込むことにした。
午前0時 七賀谷コンビニ
このコンビニは、店長1人のワンオペでどうにかやってるらしい。
だからこそ、商品が無くなるのはマズいとのことだ。
僕が張り込む場所は、レジ付近。
まだかまだかと、待ち望んでいるときのこと…
『がさ がさ がさ』
何やら漁る音が聞こえる……
僕はその音の方向に向かった。
この音はお菓子売り場だ…
しゃがみ歩きで少しずつ近づいていく。
すまないが、ちょっと思ったことがある…まさか人じゃないよな?
そんな事を考えつつも、僕はお菓子売り場の棚から少しだけ顔を覗かせた。
そこに居たのは……
「……嘘だろ……」
「子供じゃないか……!」
深夜のコンビニに子供が居るとは…
僕は子供に話しかける。
「おい! 今、深夜だぞ…なんでコンビニに来てるんだ?」
だがその子供は答えることもせずに入口から逃げていった。
「随分…治安が悪い子供だな…」
「とにかく、あの子供が原因か…ほっとくことはできない…」
僕も追いかける。
夜道の中、子供を追いかける成人男性、傍から見たら不審者だろうが誰にも見られないことを望もう。
あの子供は公園へ逃げていく。
僕も、公園へと向かっていたが、途中で災難が起きた。
まさかマンホールが開いている状態だなんて…
僕はそのまま落ちてしまい、地上へ上がった頃には子供を見失っていた。
「まさかマンホールに落ちるなんて…人生で始めて味わったよ…」
体が痛いのもあって、今日の調査は終了、明日に持ち越しだ。
今日もコンビニに張り込んでいる。
また、あの子供がいたのだが、追いかけている最中に木が倒れてきて下敷きになってしまった…
何かおかしい…かれこれ10回以上追いかけているのだが、一向に捕まえられない。
僕が遅いということじゃなくて…
絶対に何かに妨害されるんだ。
印象的なのは…6回目の葉っぱが降ってきて両小指が切れた事。
あと9回目の、もう少しで追いつきそうだったけど、コンビニの近くにあった傘立てが向かって来て衝突した事。マジで痛かった……
とにかく何かがおかしい…
だが、こんなので僕が諦める訳がない。
何としてでも捕まえてやる…!
そのため、ここに行くだろうと思うところにロープの罠を仕掛けておいた。
足がロープに引っかかると反応して、ロープが足に巻き付くという罠だ。
もう僕も数え切れない程、追いかけてきた。
さあ…最後の張り込みを始めよう…
最後はトイレに隠れておこう。
お菓子を漁る音が聞こえたら、トイレから飛び出した。
あの子供はドアから逃げる……だが追いかけなくていい…罠がある。
歩いて罠がある場所へと向かった。
「…おっ!」
思わず声を上げたよ。
罠に引っかかってる。
あとは色々と取り調べをさせてもらおう。
その子供へ近づいた。
「離せ!」
子供が色々と騒いでるが…
無視して、虫眼鏡で子供を覗く。
記憶が見えた…
(ボクは座敷わらし)
(運がいい)
「ウソだろ……座敷わらし!?」
妖怪じゃないか……
一通り調べ終わったところで、座敷わらしの記憶に書き記させてもらった。
(足を怪我したので歩けない)
こうして脳を錯覚させたことによって、逃げることは出来ない…色々と話を聞かせてもらおうか。
だがここでまた怖いことが起きる…
「何ッ!」
どこからともなくハサミが飛んできて、ロープの罠をちょん切ってしまった。
だが、こういうときのための保険だ…残念だが逃げることは出来ない。
「もう逃げれないぞ! 色々と話を聞かせてもらえないか?」
動かない足を見て座敷わらしも観念したようだ。
座敷わらしは口を開く。
「オイラは座敷わらし」
「ここの近くにオイラが住んでるんだけど…動物が居なくて」
「だからここで色々美味いモンを取ってるんだ」
なるほど…妖怪も食料不足に悩んでるのか……
「分かった…ならば僕が色々と買ってやるから取るなよ…」
そうして、コンビニで1万円分のお菓子を買うと、座敷わらしの住処に置いてきた。
「アリガトな〜タンテイさ〜ん!」
座敷わらしに見送られながら、事務所へと帰っていく僕だった。
後日
「まさか…座敷わらしが?」
店長も驚いてる…そりゃそうだ。
「座敷わらしにも色々事情があるんですね…」
とりあえず怪異が解明できて良かった…
理解完了だ。
あの座敷わらし、元気にやってるかな…?
まさか妖怪と会えるなんて思いもしなかった。
奇跡の出会いもあるもんだな…