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大学生活が始まって一週間。
講義にも少し慣れてきた。
学食でみんなとご飯を食べて。
講義を受けて。
帰りにいるまくんと一緒に帰る。
そんな毎日。
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🩵(幸せだなぁ)
ふと思う。
大学に入っても。
何も変わらなかった。
幼稚園から一緒だったいるまくんがいて。
高校から仲良くなったなっちゃんとらんくんがいて。
毎日笑って。
毎日楽しくて。
🩵(このままずっと続けばいいのに)
そう思った。
本気で。
心から。
💜「あー、そうだ」
昼休み。
学食でご飯を食べていた時だった。
🩵「?」
💜「俺、彼女できた」
時間が止まった気がした。
❤️「は?」
🩷「早くない?」
💜「そうか?」
❤️「入学してまだ一週間だぞ」
💜「昨日告られた」
🩷「で?」
💜「付き合った」
❤️「軽っ」
💜「別によくね?」
❤️「よくねぇだろ」
💜「なんで」
🩷「好きなの?」
💜「分からん」
❤️「じゃあ付き合うなよ」
💜「難しいこと言うなぁ」
けらけらと笑う。
本当に。
何も考えていない顔だった。
こさめは知っている。
いるまくんがモテることを。
高校の頃からずっと。
彼女が途切れたことなんてほとんどない。
告白される。
付き合う。
別れる。
また告白される。
付き合う。
その繰り返し。
◌
💜「嫌いじゃねぇし」
💜「付き合ってみればよくね?」
高校二年の夏。
そう言ったいるまくんに、
❤️「お前絶対いつか痛い目見るぞ」
杏
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と、なっちゃんが呆れていた。
💜「なんで?」
❤️「なんでも」
🩷「ほんと馬鹿」
◌
そんな会話を何度聞いたか分からない。
だけど。
慣れることはなかった。
一度も。
🩵「おめでとう」
笑う。
いつも通り。
何でもないみたいに。
💜「おう」
🩵「優しい人?」
💜「多分」
🩵「そっかぁ」
💜「なんだよ」
🩵「別に?」
笑う。
笑う。
笑う。
そうしないと。
泣きそうだった。
講義が終わった帰り道。
今日は一人だった。
いるまくんは彼女と帰るらしい。
なっちゃんとらんくんもデートだと言っていた。
夕焼けに染まる道を。
一人で歩く。
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🩵(慣れてるはずなのになぁ)
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高校の頃から。
何度も見てきた。
いるまくんの隣にいる女の子。
楽しそうに笑う顔。
幸せそうな姿。
全部。
全部見てきた。
なのに。
胸は痛いままだった。
🩵(好きなのに)
🩵(こさの方がずっと先なのに)
そんなこと。
思ったって仕方ない。
だって。
🩵(幼馴染だから)
その立場を失う方が怖かった。
家に帰る。
誰もいない部屋。
静かな空間。
鞄を置いて。
ベッドに腰を下ろす。
それだけで。
張り詰めていたものが切れた。
🩵「……好きだなぁ」
ぽつり。
誰にも聞こえない声。
🩵「いるまくん」
🩵「好き」
高校の頃から。
ずっと。
ずっと。
好きだった。
🩵「大好きなのに……」
最後の言葉は。
少しだけ震えていた。
◌ ───── ◌
その頃――
◌ ───── ◌
大学近くのコンビニ。
❤️「なぁ」
🩷「ん?」
❤️「気付いてる?」
🩷「気付いてる」
❤️「だよな」
🩷「完全に好きじゃん」
❤️「な」
二人は顔を見合わせる。
🩷「いるまは?」
❤️「気付いてるわけない」
🩷「だよねぇ」
❤️「気付いてたらこんなことになってねぇよ」
🩷「違いない」
小さなため息。
❤️「こさ、また泣いてそう」
🩷「絶対泣いてる」
❤️「だろうな」
🩷「でも言えないんだろうね」
❤️「幼馴染だからな」
🩷「壊したくないんでしょ」
❤️「……だろうな」
二人だけが知っていた。
こさの気持ちを。
そして。
いるまが何も知らないことも。
◌ ───── ◌
一方、その頃――
◌ ───── ◌
いるまは何も知らない。
こさめの気持ちも。
らんとなつが気付いていることも。
何も。
知らないまま。
彼女から届いたメッセージを眺めていた。
『今日はありがとう♡』
短い文章。
💜「……」
少し考えて。
💜『こちらこそ』
とだけ返す。
それ以上は思い浮かばなかった。
恋人。
好きな人。
特別な存在。
そう言われても。
やっぱりよく分からない。
昔からずっと。
分からなかった。
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🩵(この恋は)
叶わない。
分かっている。
最初から。
ずっと。
それでも。
好きになることだけは。
やめられなかった。
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コメント
1件
あいさん、第5話読みました〜! もうね、こさめの胸の内が痛いくらい伝わってきて切なかったっす……。「おめでとう」って笑って言える強さと、一人で「好きだなぁ」って呟く弱さのギャップが刺さりました。六花となっちゃんが気づいてるのに何も言えないもどかしさも良い。いるまくんが「よく分からない」ってぼんやりしてるのが、また余計にこさめを苦しくしてそうで…。幼馴染の立場を失うのが怖くて言えない、その気持ち分かりすぎて泣ける。続き気になる!