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✦ ─────── ✦
「今のままでいい」
そう思っていた。
思い込もうとしていた。
だけど。
恋は。
そんなに優しくなかった。
✦ ─────── ✦
大学生活が始まって二週間。
いるまに彼女ができてから一週間。
こさめは変わらないように振る舞っていた。
いつも通り。
幼馴染として。
友達として。
隣にいる。
それだけでいい。
そう言い聞かせながら。
「月城くーん!」
講義終わり。
女の子の声が響く。
💜「おう」
💜の隣へ駆け寄る女の子。
彼女だった。
🩵「……」
胸が少し痛む。
見慣れているはずなのに。
慣れない。
一度も。
❤️「こさ」
🩵「ん?」
❤️「無理すんなよ」
🩵「してないよ?」
❤️「嘘つけ」
🩵「あはは」
笑う。
また。
笑って誤魔化した。
◌ ───── ◌
その日の帰り――
◌ ───── ◌
💜「悪い」
🩵「?」
💜「今日も彼女と帰る」
🩵「うん」
💜「じゃあな」
🩵「また明日!」
💜「おう」
軽く手を振る。
💜は彼女の元へ向かう。
自然に並ぶ二人。
楽しそうな横顔。
その姿が見えなくなるまで。
こさめは立ち尽くしていた。
🩷「行ったね」
後ろから声がした。
🩵「らんくん」
🩷「見送りすぎじゃない?」
🩵「そんなことないよ」
🩷「あるでしょ」
即答だった。
🩵は苦笑する。
🩷は時々。
怖いくらい鋭い。
🩷「好きだねぇ」
🩵「っ!」
心臓が跳ねた。
🩷「図星?」
🩵「違う!」
🩷「ほんとに?」
🩵「ほんと!」
🩷「ふーん」
全然信じていない顔だった。
しばらく歩く。
沈黙。
そして。
🩷「こさ」
🩵「?」
🩷「幸せになってほしいな」
🩵「え?」
🩷「なんとなく」
それだけ言って。
らんは笑った。
優しい笑顔だった。
だから余計に。
泣きそうになった。
◌
幸せ。
◌
その言葉が。
胸に引っかかった。
こさめにとっての幸せは。
きっと。
とても簡単だった。
いるまが隣にいてくれること。
ただ。
それだけ。
◌ ───── ◌
その頃――
◌ ───── ◌
💜「へぇ」
💜「映画好きなんだ」
彼女とカフェ。
向かい合って座る。
話を聞く。
笑う。
普通の恋人同士。
でも。
どこか他人事だった。
💜「……」
ふと思う。
今頃。
こさめは何してるんだろう。
💜「あ」
💄「?」
💜「いや」
なんでもない。
そう言って話を戻す。
だけど。
頭の片隅には。
何故かこさめの顔が浮かんでいた。
◌ ───── ◌
その夜――
◌ ───── ◌
🩵『おやすみ!』
いつものメッセージ。
💜『おう』
短い返信。
それだけ。
それだけなのに。
こさめは少しだけ嬉しかった。
🩵(馬鹿だなぁ)
たった一言で。
嬉しくなるなんて。
期待してしまうなんて。
叶わないのに。
窓の外を見る。
夜空。
静かな部屋。
そして。
誰にも聞こえない声で呟いた。
🩵「好き」
今日も。
明日も。
きっと。
変わらない。
✦
近くにいるのに。
誰よりも遠かった。
✦
莉音
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コメント
1件
第6話、読み終わりました……。こさめが「無理すんなよ」って言われて笑ってごまかすところ、胸がぎゅっと詰まりました。幼馴染として隣にいるだけでいいって思おうとするほど、その距離が切なく映るんですよね。らんくんの「幸せになってほしいな」も優しすぎて、余計に泣きそうになるこさめの気持ちが伝わってきました。近くにいるのに遠い、このもどかしさが丁寧に描かれていて、じんわりくる回でした。