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冬の空気に光が射し込む。ゆっくり、だけど確実に変化していく。


「おーい、准君! ちょっとちょっと!」

「あ、加東さん。お疲れ様です」


それは仕事もプライベートも、やはり両方だろう。日を重ね、抱えるものも自ずと増える。ある日の仕事終わり、准は加東と顔を合わせた。

「聞いたよ。九州支社に異動するんだって!?」

「あはは……急にすみません。他を見るのも良い経験かなって思いまして」

「それなら関東でも良いじゃない。昇進の話はどうなっちゃうの?」

「そんな話初めからありませんよ!」

准は笑いながら返して、彼と社内を歩き出した。


「そこがいいんです。行きたい所があるので」


加東は未だ驚いていたが、やがて負けたと言わんばかりに笑った。ポケットから袋入りの飴を取り出し、准に手渡す。

「意志は固そうだね。分かった、頑張って。でも苛められたらすぐこっちに戻ってきな?」

「ははっ、ありがとうございます。……また、たまに会ってもらえますか?」

「もちろん。准君が俺より出世したら、今度は奢ってもらうんだから」

それは気が早すぎる。准は笑いを堪えられなかった。

やはり、彼の隣は心地いい。安心してしまう。

会社を出てから、駐車場へ行って互いの車の方へ向かった。


「いいかい、上手くやるんだよ。……って言うのは、上手いさぼり方を覚えなって意味ね。君は頑張りすぎたら倒れるから」

「大丈夫ですよ、もう倒れません! 加東さんも、お元気で」


慌てて言うと、彼は笑顔で手を振った。心の中でお礼を言い、車に乗り込む。

本当に良い人だ。


……好きだったな。


その想いは大事に、心の底に仕舞っておこう。

浮き立つ気持ちを何とか抑えながら、住み慣れたマンションの中へと入る。最中、准は片耳にスマホを当てていた。エレベーターも降りて後少しだというのに、またまた厄介な人物から電話が掛かってきてしまったのだ。


『えっ! 准君異動するの!? ……えっ? そうなんだ。……えっ!?』

「予想以上にアホな反応だな、霧山」


准が冷たく返したことで、電話の相手は激怒している。准が家に着いた直後に電話を掛けてきたのは、創の婚約者、玲那だった。

彼女はもう本社での勤務を終え、自分の支社に戻ってしまった為、報告事は電話でするしかない。


『はぁ……そうかぁ。じゃあ准君とは離れ離れになっちゃうね』

「ははっ、俺と会えなくて悲しいなんてことないだろ?」

ファナティック・フレンド

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