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[だから准君も諦めないで、好きな人と一緒にいてよ]


軽いが、明るい響き。暖かくて、優しい言葉。

自分が思ってる以上に、自分は周りに支えられている。

「ありがと。ていうかお前もな、……玲那。若いからって夜遊びすんなよ。やけ酒は絶対家でして、仕事中に余計なこと考えないで、そろそろやんちゃキャラは卒業して」

[はいはい。分かったよ。お父さんみたい]

不満の声が飛んだ直後、通話終了の電子音が流れた。ちょっと言い過ぎたか、と反省しながらあることを思い出す。本当はずっと玲那に訊きたいことがあった。


創の言うことが本当なら、彼女も恐らく同性愛者だろう。これから、本当に好きなパートナーと生きていくつもりなのかもしれない。

二人だけで、決して優しくない人生を始めることになる。

スマホを額の上に翳し、誰にも聞こえない声で呟く。


「……頑張れよ」


彼らがこれからどんな道を選ぶのか。そんな想像をいくら巡らせても仕方がない。独りじゃないなら……もう、それ以上に恵まれた話はないんだ。

まだ不安なことは山ほどある。というか、これから続々追加予定だ。

アレとかコレとかソレとか……うん、やばい。

けど生きてく。独りじゃないから。



「ただいま」

「あっ! おかえりなさい、准さん!」



家に帰れば、笑顔で出迎えてくれる大事な存在がいるから。心が張り裂けそうなことがあっても、何とか上を向いてやっていられた。


「准さん、今日はちょっとお高い肉ですき焼きですよ! ヘッドハンティングなら良かったけど、地方に飛ばされちゃうから景気づけにね!」

「言い方悪すぎ……別に厄介払いされるわけじゃないからな? 大体、お前も一緒に行くだろ!」


即座に突っ込むと、彼は上着を受け取って嬉しそうに笑った。

「はい。准さんがいるなら海外だって行きますけどね。……まさか俺の故郷に行ってくれるなんて、本当にありがとうございます」

「ったく……」

互いに笑って、手を取り合う。


こんなちっちゃなもんが幸せだったなんて。気付かなかったらずいぶん不幸だ。

涼も運良く、向こうにある会社に異動届を出したら通ったらしい。だから、来週は二人で視察に行く予定だ。

年甲斐もなくはしゃいだ。夕食も済んで、二人で寛ぐ。この時間がまた安らぐ。

窓の外の闇を眺めて、准は涼の柔らかい髪に手を伸ばした。


「あはは、准さん、くすぐったいです」

「はは、悪い」


何度かそうしてじゃれあった後、顔が近付いて────唇が、重なった。

手と手が触れ合って、息が当たって、熱を感じ合った。夜、部屋の明かりを消して。未だ一つしかないベッドの上に倒れ込んだ。

服が、床下に散乱する。


「准さん……っ」

「ん?」


白いシーツに沈んでいた涼は、宙に向かって手を伸ばした。



ファナティック・フレンド

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