テラーノベル
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「やっぱり、阿部ちゃんのカレーは美味いなぁ〜」
満足そうな顔をして、頬をリスの様に膨らませながら咀嚼する
「ほら、そんなに慌てなくても誰も取ったりしないよ?」
育ち盛りの男子の様な食べっぷりに
作った方としては、悪い気はしない
「だって、本当に美味しいから」
「それは、ありがとう」
和やかな雰囲気の中、進んでいく時間…
「ほら、大介…服に付くとカレーは取れないんだから…溢さないでよ」
普段、SnowManとして活動している時には【佐久間】
今の様に、プライベートで恋人として接する時には【大介】と
俺は呼び方を変えている…
そうする事で、オンオフをより意識する事も出来たし
呼ばれる本人も、仕事の時と違う親密な名前呼びに
今は、もうなれてしまった様だが
呼び始めた頃は…毎回初々しい可愛らしい反応を見せてくれたモノだった…
「ねぇ、阿部ちゃん?」
「………」
「阿部ちゃんってば!聞いてる?」
「ん?あぁ…ごめん」
カレーのスプーンを持ったまま、過去の思い出に浸り始めてしまった俺に
佐久間は、何度も声をかけてくれていた様だった
「阿部ちゃん、やっと戻って来た〜もう…何考えてたの?」
「えっとね…内緒」
そう言って、あざとく笑って見せると
「何それ〜阿部ちゃんのケチ〜」
可笑しそうに笑って、もう一度カレーを頬張った
「………」
佐久間が阿部を呼ぶ際の【阿部ちゃん】という呼び方…
これは、仕事中でもプライベートでもいつも同じ
それでも、仕事中とは違い…
プライベートで俺の名前を呼んでくれる時は、その声の響きに甘さを感じる…
今までは、それだけで充分満足していたはずだった…でも
『そろそろ、名前で呼んでほしいかも…』
俺は少しだけ、佐久間に対して以前よりも欲張りになったのかも知れない…
それは、世にいう独占欲?
今夜、ベットの中で頼んでみたら…彼はどんな反応を見せてくれるのだろうか…
『可愛い反応が、見れると良いな〜』
そんな、企みを胸に秘め…
阿部は何も知らない恋人に、そっと笑顔を向けるのだった
完
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