「仁ちゃん、俺さ、はやちゃんのこと好きなんだよね」
柔太朗にそう言われたのはYJゲーミングの生放送前の楽屋だった。
「え?え?まぁじで??」
「うん。まじ」
「恋愛的に?」
「うん」
「へー…あーうん、いいんじゃなぁい…?」
「吉田さんならそう言ってくれると思ってた」
びっくりはしたけど否定なんてしないよ。
そっか…って思っただけ。うん。
「勇斗に言ったりすんの?」
「言うつもりはないかな~?わかんない」
「……そっか。ま、なんかあったら言ってや」
「ありがとう」
そっか……柔太朗、勇斗のこと…そっか。
いままで気にしたことなかったけど、柔太朗から出てくる勇斗の話はなんか俺の知ってる勇斗と全然違うくて、「へー勇斗ってそんな感じだったけ?」って思ったり柔太朗と勇斗が一緒にいると目で追ってしまったり。
勇斗の行動で柔太朗が傷ついてないかなとか…親心みたいなもんだ。うん。
二人を見てれば見てるほど「お似合いだなぁ……」って思う。それに勇斗が柔太朗のこと大事に扱ってるのも伝わってくる。
いや、勇斗はメンバーみんなのこと大事にしてるけど、扱いだけで順位をつけるとしたら柔太朗が1位で俺が最下位って感じ。
別に気にしてたわけじゃないけど自然と乾いた笑いがこぼれる…
「仁人、どした?元気なくね?」
「え?あ?いや、大丈夫!」
「そっ」
勇斗と車の移動中、気づいたらついていたため息。
「勇斗ってさ、柔太朗のことどう思ってんの?」
勇斗と二人っきりの車内。眠る体勢の勇斗に気づいたら聞いていた。
「んぁ?なん?いきなり」
「…いや、やっぱなんもない!忘れろ!」
俺が勝手に踏み込んでいいもんじゃない。
「忘れろって暴君かよ。別に普通じゃね?大事なメンバーだろ」
「うんうん。そうだよな。うんうん」
「仁人マジで変だろ」
「寝るわ!!」
「なんなん?まじ変なの」
ぶつくさと文句を垂れてる勇斗から顔を逸らし目を閉じる。
そうだよな。うん。
勇斗の口からすぐに出てこなかった2文字に安堵したことに気づかないふりをして…
「そういえば、最近勇斗とどんな感じ?」
1か月ぶりのYJゲーミングの楽屋で柔太朗に聞いてみた。
「え?なにが?普通だよ」
「普通って…なんかないの?こうさ!進展的なこと」
「え?なに?なんの話しんてんの?」
「え?なに?こわいこわいこわい!」
「いや、それ、こっちのセリフね?」
ちょっと怒り顔の柔太朗に頭に???がいっぱいの俺。
「え?山中さん、あなた、1か月前くらいに、わたしに、俺勇斗のこと好きなんだよねって言いましたよね?!?!」
「え?あ、あー言ったね」
「でしょ!!!」
「え?あれ、信じたの?」
「へ?」
僕、開いた口も目も閉じれないよ。
「冗談に決まってんじゃん。吉田さん信じてたの?」
馬鹿にしたように右の口角を上げ、ふっと笑われる。
「メンバーだよ?佐野さんだよ?好きになるわけないじゃん。信じるってことは吉田さんにその気があったんじゃないの~」
「え?いや、ないないない。俺が?勇斗を?いやいやいや………」
楽しそうにけらけら笑いながら撮影準備に行く柔太朗を頭を抱えながら独り言ちながら追いかける俺。
「 」
前を歩く柔太朗がなにか呟いたが頭を抱えた俺には聞こえない。
END
コメント
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え〜出だしで心がキュッて切なくなって佐野さん、柔ちゃん、仁人くん三角関係かと思いきや😯 でた柔ちゃんの憎めない可愛いイタズラ❓それとも柔ちゃんは仁人くんが好き❓ えっでも仁人くんは佐野さん❓柔ちゃん❓いや〜続編があるなら見たい 色んな角度から見ると また違うストーリーになってるような素敵なお話しです😁
タイトルの「早く気づきなよ」は仁↪︎勇に対する「柔の気持ちに気づきなよ」なのか柔↪︎仁に対する「仁が勇に恋してるの気づきなよ」なのか勇の「俺の気持ちに気づきなよ」なのか......続き気になりすぎて夜しか眠れません🥲🥲
あらららららららこれは吉田さん無意識片想いしちゃってますね?!続編とか期待してもよろしいやつですか?!