「え……?」
四季は口をぽかんとあけた。
「な、なんで、保健室のベッドの上に…?資料室にいたはずのに …?それに、冬服の制服になってる…」
すると、ベッドのカーテンが開けられた。
「気づいたか?お前、倒れて保健室に運ばれたんだぞ。」
低い声に、四季は顔をあげた。そこには、無表情な顔をしたまま、四季を見る男子生徒がいた。
「あ、あの…誰ですか?」
「無陀野無人。お前と同じクラスなんだが…」
「えっ!」
(私のクラスにこんな人いたっけ?それに、保健室ってこんな感じじゃなかったはずじゃ… )
「じゃあ、俺は教室に戻る。」
「あっ!そ、その、ありがとね。倒れてたみたいで…」
「別に助けたわけじゃない。保健室に運んだのは先生で、ここにいるのは用事があったからだ。」
「で、でもありがとう…」
「…あぁ」
そう言うと、無陀野さんは保健室を出ていった。
(無陀野無人さん…いい人、なのかな)
四季はその後、保健室から出て、自分のクラスに戻った。たが、驚いた。机の落書きも、あの冷たい視線も、何もなかった。クラスメイト達も笑顔で四季を迎え入れた。
「大丈夫だった?四季ちゃん倒れてたんだよ?」
「痛いとことかない?」
「え、うん、大丈夫…」
「なら、よかったー!」
まるで世界が変わったみたいだ。
(嘘みたいだ…しかも、 資料室で見てた写真と同じ人達がいるじゃん!もしかして、虐められてたのを神様が助けてくれて、違う世界にしてくれたのかな…)
けれど、教室の隅では、1人の生徒が無言で座っていた。背中を向け、机の上にくしゃくしゃのプリントを置いたまま本を読んでいた。クラスメイトたちはそれを『見えていない』かのように振る舞っている。
(え、なにあのくしゃくしゃのプリント?)
四季はその顔を見てさらに息をのんだ。その人が、 無陀野無人だったからだ。
(無陀野さん?)
廊下ですれ違うたび、生徒に肩をぶつけられても、謝ることなく通り過ぎてゆく。机の中には、ゴミや画鋲が入っている。それでも無陀野さんは顔を変えず、静かに本を読んでいた。
四季は虐められることがなく過ごせたが、無陀野さんは虐められながら過ごしていた。
あっという間に時間が流れ、四季は放課後、無陀野さんに声をかけた。
「ねぇ…無陀野さん」
四季愛され要素を、あんまいれられなくて、本当にごめんなさい!あ、 ハートとコメント嬉しかったです!次回もまた見てくれるとありがたいです!では、また次回!
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