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季節はすぎ、日差しが強く、蝉の鳴く声が響く。もう、夏のはじまりを告げていた。
「・・・すまないさん、最近とても暑いですね。」
エウリは、毎日欠かさずすまない先生の病室へとやってくる。
だが、すまない先生の瞳は固く閉ざされていた。
すると、
「エウリさん」
ふと、声が聞こえ、顔をあげた。そこには、すまないスクールの生徒のブラックが立っていた。
「ブラックさん、こんにちは」
「こんにちは」
最初会った時、仮面を被ってるブラックにびっくりしたのが懐かしかった。
「どうですか、すまない先生の様子は」
ブラックの言葉にエウリは首を横に振る。
「・・・暗黒神に近づき過ぎたのか、すまない先生の体には毒素が溜まっており、それが抜けるのにとても時間がかかります。特に、利き腕はヤマタノオロチが大好物としている“負のエネルギー”を直に受けてしまったのでしょう。」
そうブラックは説明した。
「・・・すまない先生は、起きるでしょうか」
目を覚ますのは、本当に運だ。もしかしたらこのまま目が覚めないかもしれない。
ブラックは覚えていた。
三種の神器を揃える為に、すまない先生は最後の八尺瓊勾玉を探し、ブラックたちはその間、ヤマタノオロチの足止めをした。
だが、やはり暗黒神と呼ばれるだけであり、皆倒れた。
やられかけた際に、すまない先生が空から降ってきて、草薙剣や八尺瓊勾玉、八咫鏡を持ってヤマタノオロチに突っ込んでいく姿を。
「・・・結局、私は、私たちは何の役にも立ちませんでしたけどね」
そう吐き捨てるように言うと、エウリは優しく笑い、ブラックの頭を撫でた。
「そんなこと言わないで?きっと、すまないさんはそんなこと思っていないわ。だって、すまないさんですもの!」
そう言うと、ブラックは思わずふっと笑いこぼし、
「そうですね」
と、答えた。
その後は、他の生徒もやって来て、話した。
どうやら、卒業後の進路の話があったようで、皆それぞれ進路を選んでいた。
だが、それを1番喜んで、叶うために力を貸してくれるすまない先生は、目を覚まさなかった。