渡辺side
めめはいつも俺を気にかけてくれる
なんでわかるのかなって思うくらいに、弱ってる時には必ずといっていいほど声をかけてくれる
ご飯を作ってくれて、話を聞いてくれる
何かあったことは分かってて、でも余計な詮索はしてこなくって、ただおれがその時に言えることだけを静かに聞いてくれる
だから、めめの傍は居心地がよかった
それに甘えている自覚はあった
瞳に悲しみの色が浮かぶのを見て、傷つけてしまったな、と思った
この前のめめは、いつになく念押しして大丈夫かと聞いてきた
多分だけど、おれがあべちゃんを好きなことも、めめにはバレてて
だから、失恋して落ち込んでいるのもわかってて、それで夜ご飯を作ってくれて元気付けようとしてくれてて
優しいめめの心遣いにおれはちゃんと気付いてて
それなのに、大丈夫という言葉で線を引いてしまった
もう誰かに弱みを見せることも、甘えることも、分からなくなってしまった
いや、正確に言えば、傷つくことを恐れているだけだ
これを言って、離れていってしまわないか、嫌われてしまわないか
そんな風に臆病に周りと距離を取り続ける限り、おれの隣にいてくれる人など現れないと分かっているのに
でも、めめに嫌われるかもしれないと考えると、背筋が凍るような思いがする
頑なに、大丈夫と言い続けるおれに、めめは、そっかと一言、寂しそうに笑って言って、それ以上は詮索せずにいてくれた
なんだかちょっと気まずくって、その日はいつもよりも早く帰った
それからというもの、めめの寂しい笑顔がずっと頭にチラついている
なんだか、めめをまっすぐに見て話ができなくって、つい、いつもよりも距離をとってしまう
そしてまた、寂しい顔をさせてしまう悪循環にハマっていった








