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突然、一人の少年が口を開いた。

その声に全員が彼の方を振り向いた。彼は背が高く、少し怯えた表情をしているが、その目は真剣だった。

「僕は昨夜、占いを使って、ユウキが人狼だと知った。」

その瞬間、皆がざわめき始めた。

ユウキという名前が挙がったことで、一気に緊張が高まった。

だが、ユウキは驚いた表情で立ち上がった。

「嘘だ!俺は村人だ!どうしてそんなことを言うんだ!」

「待て、落ち着け。」リョウが制止する。「まずは冷静になろう。誰が嘘をついているのか、慎重に判断しなければならない。」

リョウが場を収めようとしたが、カイトの心は焦りでざわついていた。

この状況では誰の言葉も簡単には信じられない。

しかし、占い師を名乗った少年の言葉が真実なら、ユウキが人狼だということになる。

一方、ユウキの必死な弁明も嘘には思えなかった。

「まずは落ち着いて議論しよう」と、リョウが強い声で全員に呼びかけた。

「感情的に動くと、人狼の思う壺だ。俺たちは冷静にならないと、このゲームを生き残れない。」

カイトはリョウの冷静さに感心しながらも、自分の立場について考え始めた。

彼は「裏占い師」だ。

普通の占い師とは違い、占った結果は逆に出る。

つまり、彼の占い結果は嘘を基にして推理しなければならない。

それがカイトにとっては最大の課題だった。

「じゃあ、どうすればいいんだ?」ユウキが声を震わせながらリョウに問うた。「俺が無実だってどうやって証明すればいいんだよ!」

「証明するのは難しい。だが、俺たちは誰を信じ、誰を疑うべきかを話し合う時間を与えられている。君が本当に村人なら、何かしらの手がかりを見つけるべきだ」とリョウは冷静に返す。

カイトはユウキの顔を観察した。

緊張と焦りの表情が彼の顔に現れていたが、それが本当に嘘をついている者の顔なのか、それとも純粋に恐怖を感じている村人の顔なのかは分からない。

「……もし、この自称占い師が嘘をついているとしたら?」突然、一人の少女が言った。

髪を肩まで切り揃えた細身の少女で、名前はナナミだったはずだ。

「人狼が占い師のフリをして、私たちを混乱させている可能性もあるんじゃない?」

その意見に場が再びざわめき始めた。

疑念が広がり始め、誰もが他の参加者に対して不信感を抱いている。

「それも考えられるが、無理に疑い合うのは危険だ」とリョウは答えた。

「だが、今日中に誰かを処刑しないと、夜になるとまた誰かが襲われる。それだけは避けたい。」

カイトはますます焦り始めた。

彼は自分の役職を公表するべきか悩んだ。

「裏占い師」という特殊な役割を公表することで、他の人々の混乱を引き起こす可能性が高いが、少なくとも彼が占う能力を持っていることを伝えれば、多少の信頼は得られるかもしれない。

「僕も……占い師なんだ。」

カイトは静かな声で言い出した。

その瞬間、全員の視線が彼に集中した。

「でも、僕の役職は『裏占い師』。つまり、占った結果が逆に出るんだ。だから、誰が村人か人狼かを正確に見極めるのは難しい。」

その言葉に皆がさらに混乱した。

ナナミが眉をひそめた。

「じゃあ、カイトが占った結果は全部嘘ってこと?」

「そう。もし僕が誰かを占って、その人が村人だと出たら、その人は人狼の可能性が高いということになる……逆もまた然り。」

「そんな役職が本当にあるのか?」別の少年が疑わしげに言った。

「裏占い師なんて聞いたことがない。」

「だが、もしそれが本当なら、彼の情報も無視はできない。カイトが誰かを占った結果、逆に考えれば真実に辿り着けるかもしれない」とリョウは落ち着いた様子で答えた。

「まだ、誰も占ってないんだ……」

カイトの告白は周囲にさらなる疑念を生んだが、リョウはそれを冷静に受け止め、場を仕切ろうとした。

彼の落ち着いた態度が、他の参加者たちを何とか沈めているようだった。

「時間が少ない。今日、誰を処刑するかを決めなければならない。俺たちは占い師の言葉を頼りにするしかないかもしれないが、慎重に決断するんだ。」

リョウの提案に、皆は少しずつ意見を述べ始めた。

ユウキの反論や、占い師を名乗る少年への疑惑、カイトの「裏占い師」発言への困惑が交錯し、議論は混迷を深めた。

最終的に、全員の票が集められ、誰を処刑するかが決まる瞬間がやってきた。

「……票は決まった。今日の処刑者は……ユウキだ。」

スピーカーから冷酷な声が響いた。

ユウキは驚愕し、必死に抵抗した。

「嘘だ!俺は村人だ!俺は違うんだ!」

だが、その言葉はもはや虚しく響くだけだった。

スピーカーの声が次の言葉を告げると同時に、ユウキの体は突然、光に包まれ、瞬く間に消え去った。

テーブルの上には、彼がいた痕跡すら残っていなかった。

「ユウキは、村人だった。」

その言葉が全員に重くのしかかる。

人狼ではなく、無実の村人を処刑してしまった。

失敗の重さが場を圧し、誰もが自分の選択を後悔し始めた。

カイトは手のひらに汗を握りしめた。

自分たちの間違いが、一つの命を奪った。

次は誰が犠牲になるのか、このゲームがどこまで続くのか、その恐怖がカイトの心を深く蝕み始めていた。

「これで一人が消えた。次は夜だ。」

再び、ゲームの進行を告げる冷たい声が響き渡る。

全員が不安と恐怖を抱えたまま、次の夜を迎えようとしていた。

誰が人狼で、誰が生き残るべきなのか。

その答えは、まだ見えてこないままだった

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