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「助かったのは俺だけ…?」
もう信じたくなかった。
誰かに救われることも
救えることも
未来があるなんてことも
ttがいない世界に、生きる意味も
価値も何も無かった
無くなってしまった
無くしてしまった。
「一緒に消えよう」って言ったのは
お互いの辛さを分け合った証だったのに。
でも、
もうここには俺だけがひとり、取り残されている
生まれてきてからずっと続いていたあの地獄に
ただ、”あの夜”が加わっただけだった。
手に残っていたはずのあたたかさは、
何一つ残っていない
朝が来た
相変わらず、世界は何も変わっていなかった
この世界のどこかで、
誰かが笑ってて
誰かが希望を、夢を語る。
なのに、俺だけが
何も持たず、何も待たずに
砂浜に座り続けていた。
風が髪を揺らし
そのたびに言葉を思い出す
「svに会えてよかったわ。ほんまに」
その言葉すら、今となっては
俺の心を強く痛みつける。
ttは、
俺の知らない場所で、もしかしたらちゃんと
眠れているのかもしれない
俺だけが救われなかったのかもしれない
あれが一区切りじゃなくて、
終わりだったはずだったのに。
𖤐 ̖́-
あの夜から、どのくらい経ったのだろう
波は優しく
空は変わらず毎日色を変えて
知らないどこかの誰かが日常を歩いていた
俺の中の時間は
あの日から止まったままだ、
俺だけがttのいない世界を
無理矢理に呼吸して、
ぎりぎりのところを歩いている
“生きてるだけ”
それだけ、それ以外何もしていない。
食べて、寝て、目覚めて、時間が過ぎていく
それだけで「生きてる」って言えるなら
生きるってなんて簡単な言葉なんだろうな
また夜がきて、俺は海を見に来る
ここにくれば痛みは強くなる気がするけれど
何も感じないで生きてるよりはマシだった。
砂浜に座って、海を見つめる
あの時と同じ場所、
なのに隣に君はいない
声だけは耳に焼き付いてるんだ。
優しい声
最後の最後までオレを包み込んでくれるような
背中を支えてくれる声だった
だからこそ苦しくて
あの声はもう、俺が生きている限り聞けないんだ
「一緒に消えよう」
そんなこと言ったから。
言わなければまだ、
ttは生きていたのかもしれない
笑ってくれたのかもしれない。
“俺のせいでttはいない”
「…くそッ!!」
何度も何度も砂を殴った
涙は出ないのに、息が詰まって苦しい
声にならない叫びが、喉で詰まって
ぐちゃぐちゃになっていた
「俺…なにしてんだよ」
「ttが居なかったらもう…生きてないのにッ」
怒りも、悲しみも、全て自分に向けていた。
俺の心は、
とっくにヒビが入っていたんだ
ボロボロで、踏ん張ったら割れそうで
いつ壊れてもおかしくなかった。
でも、ttがいたから。
笑ってくれたから。
隣で優しく、話を聞いてくれたから
それだけで壊れずに済んだのに
ttは支えなんて物じゃない
俺にとって全部だった。
光なんていらない
夢も、希望も、どうでもよかった。
ただ、ttが居てくれれば
俺はこの世にちゃんと存在できていたのに
ttが居てくれさえすれば
それでよかったのに。