幼馴染の恋が始まっているのを感じた。
雨の降る帰路を軽い足取りで俺は通っていった。
「母ちゃん!ただいま!」
「おかえり〜…って!朔!びしょ濡れじゃない!傘はどうしたの!?」
俺は事情を母ちゃんの恋センサーに盛大に引っかかるように話した。
「あらぁ〜そうなの〜、良いわね青春してるわ〜朔と違って〜…」
「一言多いっての!」
母ちゃんはシャワーを浴びるよう俺に言った。取り敢えず母ちゃんがこれ以上は怒るのは回避できたはずだ。
紅の恋を応援できるなら、してやりたい。
これでも幼馴染なんだからな。
「にしても、朔から紅君の話を聞くなんて久々だねぇ…初めてあった時はお互い人見知りしてたの懐かしいわ〜」
「紅とクラスも部活も違うからな〜…家も凄く近いわけじゃないし、忙しいしな」
そんな会話を交わしつつ、俺は風呂場に向かって歩き始めた。
紅と出会いは、記憶が正しければ幼稚園生ぐらいだったと思う。ちょうどこのくらいの時期に母ちゃんと紫陽花がとても綺麗な公園に行ったのが初対面だった。
「母ちゃん!早く!早く!」
「朔〜!そんなに急いだら転ぶわよ〜!」
お気に入りの遊具に向かって俺は全力疾走していた。遊具には既に同じくらいの年頃の少年とそのお母さんらしき人がいた。
「あっ!千日さんじゃないですか〜こんにちわ〜」
「葉々小さん!朔君も!こんにちは〜」
母ちゃんと少年の母ちゃんらしき人が急に話しだしたので、俺と少年は驚いた。多分、同じ顔していたと思う。
「朔と同じ幼稚園の子よ。組は一緒になった事ないけど…せっかくだから、名前言いな」
「紅、この公園の近くに住んでいる葉々小さんの家の子よ…お名前教えてあげて?」
俺達はそれぞれの母ちゃんに促されて恥ずかしがりながら挨拶した。
「俺は…葉々小朔、です。よろしく…」
「ぼっ、僕は…!千日紅、です…よろし、く…」
俺達は互いに名前を言った後、恥ずかしくなって母ちゃんの裏に隠れた。
その後、母ちゃん達が話し始めて俺達は遊具で一緒に遊んでいた。遊ぶ内に仲良くなって、今では互いにかけがいのない親友だ。そう考えるとなんだか感慨深くなってきた。
昔の事を思い出しながら俺はシャワーを浴び終え、自分の部屋に小走りで戻った。
部屋に入り、棚の奥に仕舞っていた少し色褪せたアルバムを取り出した。
「懐かしいな…ん?これ…」
小6の頃の写真を見た時、俺は紅があの時起こした事件を思い出した。
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こんにちは!作者のゆゆです! 皆さんのおかげで第2章の2話を投稿する事が出来ました! こんな小説を読んでもらえて、作者はめちゃくちゃ喜んでいます! これからも頑張って投稿するのでよろしくお願いします!