テラーノベル
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ポン酢2
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#ntjo組
俺は固唾を飲んで、そっと応答ボタンを押す。
pe「……もしもし、しにがみ? どうした、なにかあったのか?!」
sn「あ、ぺいんとさん! いやあ、いきなりすみません。あまりにぺいんとさんが帰ってこないから、心配になって電話しちゃいました。」
しにがみの拍子抜けした声を聞いて、俺はガタリと肩の荷を下ろす。
pe「あ、ああ……なんだ、それだけか……」
sn「それだけってなんですか! だって時計見てみてくださいよ、ぺいんとさんが出発してからもう四時間くらい経ってますよ?!」
そう言われ時計を見てみれば、確かに随分と時が過ぎていることが目に見えた。ただでさえ電車やらタクシーやらで二時間以上使ったのだ、四時間なんてあっという間に過ぎるに決まっている。
pe「ご、ごめん……時間かかるって伝えてなかったっけ……」
sn「全然、僕の記憶の中じゃ一言も言ってないですね。というかこんな夜遅くまで何してるんですか? 何時に帰ってくる予定で?」
pe「あー……えっと、そのー……」
俺が返す言葉に悩んでいたとき。
突然電話越しに、ガチャリと扉を開く音が聞こえた。しにがみ君は、はあ、とあからさまにため息をつくとそちらの方へ意識を向ける。
sn「ちょっと誰ですか? 人の部屋入るならノックくらい……」
そこで、しにがみ君の声が途切れた。
pe「お、おい、しにがみ……?」
俺がしにがみ君に問いかけたそのとき、しにがみ君の取り乱した声が聞こえてきた。
sn「くっ、クロノアさん?! ど、どうしたんですか、一体なにが……!!」
そんな言葉を最後に、プツリと電話は切れてしまった。その瞬間、俺はスマホを雑にポケットへ突っ込み扉の方へかけ出す。
pe「緑君! 資料全部持ち帰っていいんで、調査お願いできますか?!」
md「ワ、ワカッタ……キヲツケテ。」
緑君の返事を聞いた俺は扉を開く。すると騒ぎを聞きつけたのか、お母さんが部屋の前までやって来ていた。その顔には不安の表情が浮かんでいる。
pe母「ど、どうしたのぺんちゃん? なにか大きい声が……」
pe「母さん! お父さんの資料、勝手に持ってっていいよね?!」
pe母「え、ええ、それは構わないけど……大丈夫? なにか私に手伝えることがあれば……」
pe「……ううん、大丈夫だよ。ありがと母さん。」
pe母「…………」
お母さんは目を逸らししばらく黙り込んだのち、決意を固めた顔でこちらを見据える。
pe母「頑張ってね、ぺんちゃん。」
pe「おう!」
俺はその見送りを受け取って、外へと駆け出した。
md「…………」
pe母「はあ……ほんと、あの子ってば大物になったわねえ。」
pe母「元々行動力のある子ではあったけど、なんだかあの子に出会ってからもっとしっかりした子になっちゃって……ふふ。」
md「……アノコ?」
pe母「そうそう、ぺんちゃんが幼い頃のお友達でね。確か名前は……あれ、なんだったかしら……」
md「…………」
pe母「あ、そうだ。確かお父さんの部屋にアルバムがあったはずだから、写真は残ってるはず……」
pe母「ああほら、あったあった。この子よこの子。見た目もあんまり覚えてなかったから、懐かしいわ〜。」
md「……コレ、ハ……」
md「……クロカミ、アオイメ……ラダオノ、シャシン……」
pe「……っ、はぁ……はあ……!」
俺はタクシーを使い、電車を降り、急ぎ足で帰路についていた。一体あの電話の最中に、なにがあったと言うのだろうか。最悪の事態も頭によぎるが、顔を横に激しく振って無理やりそれを蹴散らした。
ようやく自国の門の前までやってきた。俺は入国のやり取りもすぐに済ませ、いつも見ている街の中を駆け抜けていく。はやく、はやく助けに行けなければ。
そしてようやくたどり着いた、しにがみ君の部屋の前。息を整えながら室内に聞き耳を立てるが、なにか物音や声が聞こえることはない。
まさか……最悪の考えが、再び俺の脳内をかけた。
俺はノックをすることもなく扉に手をかける。鍵はかかっていないようだ。
pe「しにがみ君っ!」
俺は名前を叫びながら勢いよく扉を開いた。そして、そこには……
sn「あれ、ぺいんとさん?」
tr「ぺいんとじゃん。どしたの、そんな慌てた顔して。というかおかえり〜。」
kr「…………」
そこには、俺以外の幹部三人が集結していた。三人は床に腰掛け話し合っていたようだ。
緊張の糸がほぐれた俺は、その場に崩れるようにして座り込んだ。
pe「あ、あぁ……よかった……無事で……」
sn「え、ちょ、ぺいんとさん?! どうしたんですか、急にへたりこんで……!!」
tr「ほら、言ったじゃんしにがみさん。やっぱあのぶつ切りはぺいんとのこと心配させちゃうって。」
sn「で、でも、あのときは僕も焦ってたんですよ……あ、かけ直しはした方がよかったかな……?」
pe「あ、焦ってたって……なにが、あったんだ……?」
俺が神妙な面持ちで聞くと、先程まで黙り込んでいたクロノアさんが反応した。
kr「ごめん、驚かせちゃって。実は……これ。」
そう言ってクロノアさんは自身の右腕を俺に見せる。そこには、そこそこ大きくて痛々しい引っ掻き傷のようなものがあった。もう既に塞がりかけてはいるが……そこには、『紫色の血』がほんのり滲んでいた。
pe「……これ、まさか……」
kr「どうやら、血の色の変化には時間がかかるみたいで……さっき猫に引っかかれたときに、色が変わってることに気がついたんだ。」
kr「それで、慌ててしにがみ君とトラゾーを呼んだんだけど……」
tr「いやーほんと、最初はめちゃくちゃビックリしましたよ。でも食人衝動があったりとか、能力が発現したりとかはしなかったんですよね?」
kr「うん。……ただ、これを見て欲しい。」
そう言ってクロノアさんは、自身の腕にグッと力を入れる。すると、またたく間にその腕が膨張し、太い血管が表面に浮き出て脈動する、紫色の巨腕へと変貌した。
pe「……す、すごい……」
kr「猫を腕から離そうとして、力んだらこうなった。腕力も強くなってるみたいで……ただ、こんな腕を見たというのにさっきから妙に頭が冷静だ。もう制御もできる。」
そう言ってクロノアさんが腕をじっと見つめると、その腕はシュルシュルと音を立てて元の形へと戻っていく。
pe「そ、その、腕以外は? ほんとに、食人衝動も、能力も無いんですか……?」
kr「能力に関しては、俺が自覚していないだけかもしれないけど……食人衝動は、うん、無いね。」
pe「そ、っか……よかったぁ……」
俺はその場で肩の荷を降ろして安心する。そこでしにがみ君が、俺の話題に話を切り替えた。
sn「しっかしぺいんとさん、ほんとどこ行ってたんですか? 僕が電話を掛けてからも、二時間は帰ってこなかったじゃないですか。」
pe「ああ、いや……俺も俺で、色々調べ物してて…… 」
そう言い訳をすると、しにがみ君は俺にずずいと顔を近づける。
sn「ふーん……話してくれないんですか?」
pe「いやいや、話す、話すから! 一度落ち着かせてくれ……!!」
俺はそれを押し返しながら、深呼吸をして、みんなの目を見つめながら話しを始めた。俺と一緒に調べ物をしてくれた緑君のことや、俺の父親のこと、その部屋で見つけたこと、二人で考察したことなど、ダーペのこと以外を洗いざらい話していく。説明を聞き終えた三人は、訝しげな顔をして俺を見つめていた。
tr「なるほどなぁ……まさか、ぺいんとの親父まで関わってくるとは……とりあえず電話で緑君に進捗聞いてみるか。」
sn「でも、見つけたのは全部20年以上前の資料だったんですよね? 僕、後であのサイトをもっと調べてみますよ。もしかしたら最新のが見れるかもしれないので。」
kr「『記憶を復元する能力』……確かに一理あるな。俺も試してみるよ、能力で他のことも思い出せないか。」
pe「み、みんな……ありがとう、三人とも!」
三人はすぐに状況を飲み込んで、今できる何かを探そうとしてくれている。それが、仲間としてとても頼もしかった。
tr「ただ……今日はもう夜も更けてきてるし、色々やるのは明日にしません?」
kr「うん、そうしよう。体調第一だから、みんなも早く寝るんだよ?」
sn「分かりました……ふあぁ、安心したらようやく眠気が来ましたよ……」
pe「俺も自室に戻ります。おやすみ、みんな。」
俺が別れの挨拶を告げると、三人もそれぞれ「おやすみ」と声をかけ合い自身の部屋に戻っていった。
そうして俺も、少し早足で自分の部屋に帰っていく。そして中に入って、バタンと扉を閉めたのち、俺は意を決して虚空に話しかけた。
pe「ダーペ、いる?」
dp「ああ、いるけど……どうした? お前から呼び出すなんて珍しい。」
pe「なんで父さんの部屋のパスワード知ってたの?」
dp「…………」
ダーペはただ沈黙を返す。俺も辛抱強くダーペが話すのを待って、数分経ったとき、ダーペは「はあ」と大きなため息をついた。
dp「そんなに知りたいか? 」
pe「知りたい。そもそもお前が俺にわだかまり残していったんじゃん。」
dp「……それも、そうか。」
ダーペはしくじったと言わんばかりの呟きをもらす。そして数秒考えたのちにこう答えた。
do「俺はお前が覚えていない過去の記憶を知っている。」
pe「……は?」
dp「俺はお前の幼少期にあった過去の出来事、幼馴染であるらっだぁとの出会いや過ごした日々、そして……らっだぁとお前の間に起こった事件も、お前が幼少期の記憶を持っていない理由も知っている。」
dp「まあ、その過程であのパスワードも知っていたと思ってくれればいい。」
ダーペの突然の告白に動揺した俺は、思わずダーペの言葉を遮り疑問をぶつける。
pe「ちょ、ちょっと待って、ダーペ。お前、全部知ってたの? というか、やっぱ俺とらっだぁって、幼馴染なの……?」
dp「ああ。ここまで来たら予測もつくだろうから言うが、お前が幼少期の記憶を持ち合わせていないのは、らっだぁが能力を使ってお前の記憶を消したからだ。ただ記憶を消しても、幼馴染だっていう漠然とした感覚はお前に残ったみたいだけどな。」
dp「それに、らっだぁが消したのは『ぺいんとの記憶』だけ。俺もその頃にはお前の中にいたが、『ダークぺいんとの記憶』は消されなかったんだ。だから覚えてる。」
pe「お前、そんな昔からいたかよ……」
俺は自身の部屋の椅子に腰掛けて、リラックスした体勢でダーペの話を聞く。
dp「だが……ら っだぁが消したお前の過去の内容は、今のお前にはだいぶ重すぎる。俺もお前に全て教えるべきなんだろうが、そう一度に伝えることもできなくてな。」
pe「だから何も教えなかったと?」
dp「いや、少しは教えたさ。夢の中で見せただろ、お前とらっだぁの出会いは。」
pe「あー……って、あれダーペが見せてたの?!」
俺が驚きの声を上げると、ダーペは愉快な笑い声を上げる。こういうところは趣味が悪い。
dp「前に言ったよな。俺はお前の記憶を見ることができるが、お前は俺の記憶を見れない。」
do「けど俺の意思があれば、俺の記憶をお前に見せることもできるって。」
do「お前が見たあの夢は……俺が見たお前の過去を、夢としてお前に共有した結果見れたものだ。どうだ、納得いったか?」
pe「いや……はぁ、なんだよそれ……もうわけわかんねぇ……!」
俺は急な真実に、思わずうずくまって頭を抱える。しかしそこで、ふと思い当たることがあった。俺はすぐに顔を上げてダーペに聞く。
pe「俺の過去知ってるってことは、もしかしてお前、らっだぁが電話で言ってた『約束の場所』も知ってんじゃねぇの?」
dp「……ああ、知ってる。」
その返答に、俺は思わずその場に立ち上がって声をあげる。
pe「まじで?! ダーペそれ早く教えろよ! らっだぁの居場所が分かるかもしんないのに……!」
dp「おい落ち着け落ち着け。分かった、教えるから。」
ダーペの言質を取った俺は、一度深呼吸で落ち着いてからダーペに聞く。
pe「で? どこなんだよ、その場所は。」
dp「……今から、お前とらっだぁが『約束の場所』を作ったときの記憶をお前に見せる。それでいいか?」
pe「分かった、それでいい。」
dp「よし、それじゃあ始めるぞ。目を瞑れ、ご主人様。」
俺は言われた通りにして目を瞑る。そうすればだんだんと瞼の裏に、過去の映像が映し出された──。
コメント
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うわっ、今回めっちゃ情報量多くて読み応えありました!クロノアさんの腕が紫色に変貌するシーン、すごく印象的でした。でもそれ以上に、最後のダーペとの会話が衝撃的すぎます…。らっだぁが記憶を消したって本当なの?しかも「約束の場所」の記憶を見せてくれるって、続きが気になりすぎます!仲間たちがそれぞれぺいんとさんのために動いてくれるのが本当に頼もしくて、チームの結束力が伝わってきました。次回が待ち遠しいです🤍