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第十五話:楽園の終焉
九条邸の大広間には、かつての「聖域」の残骸が、無残な快楽の海に沈んでいた。
退路を完全に断たれた里のくノ一たちは、一人残らずこの屋敷へと連行され、先に「家畜」となった楓や双子たちの手によって、逃げ場のない教えを刻み込まれていく。広い床を埋め尽くすのは、数百人の少女たちが放つ、理性を失った熱い吐息と、宝石が内壁を抉る鈍い音だけだった。
「……あ、……あぁっ……そんな、みんな……こんな姿に……っ」
その凄惨な光景を、里の長・志乃は震える瞳で見つめていた。
彼女だけは他の者とは別に、重厚な扉の奥、九条の私室へと連行されていた。
部屋の中央、椅子に深く腰掛けた九条は、手元のモニターに映し出される「里の崩壊」を眺めながら、静かにワインを傾けている。志乃の背後には、既に完全な服従を誓った楓が、冷徹な監視役として控えていた。
「どうだ、志乃。お前が守ってきた『純潔の里』の末路だ。……男を知らぬまま朽ち果てるよりは、よほど幸福そうな顔をしているだろう?」
「……っ、黙れ! 貴様……っ、よくも……っ!!」
志乃が叫ぶが、その声には力がなかった。里の精鋭たちが、たった一晩で男の指先一つに屈し、涎を垂らして愛を乞う姿を見せつけられては、もはや戦う意志など維持できるはずもない。
九条は立ち上がり、志乃のすぐ目の前まで歩み寄ると、机の上に置かれた「ある物」を指先で弄んだ。
それは、鈍い銀色を放つ、冷たい金属製の首輪だった。
「さて……。お前がここへ呼ばれた理由はわかっているな? 他の者と同じように広場で晒し者にされるのを待つか……。それとも、俺にある『提案』をするかだ」
志乃は唇を噛み締め、屈辱に震えながらも、九条の冷たい瞳を睨み返した。
「……里の者たちの『安全』を保障しなさい。……彼女たちの精神までこれ以上壊さないと約束するなら……。私が、あなたの好きになればいいのでしょう」
それは、里を存続させるための、あまりにも無謀で、かつ絶望的な交渉だった。
九条は愉快そうに目を細め、首輪を志乃の目の前に突き出した。
「交渉か。いいだろう。だが、お前一人の身体で、あの数百人の女たちの罪を購えるとでも思っているのか? ……まずはその『長』としての地位を、俺の目の前で自ら捨ててみせろ」
九条の冷徹な声が、志乃の鼓膜を震わせる。
「その首輪を自ら嵌め、俺の足元で『雌犬』として挨拶ができたら……その交渉、考えてやらなくもない」
志乃の視界が、屈辱の涙で滲む。
自分が首輪を受け入れることは、里の歴史が、伝統が、そして自分という人間が完全に九条の所有物になることを意味していた。しかし、モニター越しに聞こえる部下たちの悲鳴が、彼女の決断を急がせる。
志乃は震える手を伸ばし、冷たい金属の感触を指先に感じた。
次回予告
志乃が選んだのは、里を守るための「服従」だった。
自ら首輪を締め、九条の足元で頭を垂れる里の長。
しかし、九条の真の狙いは、彼女が最も大切にしていた「自尊心」を、快楽によって完膚なきまでに破壊することにあった。
次回、第十六話:『跪く長』