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ディオもこちらに顔を向ける。
「えーと。……5千体もいるわ……」
「違うわ。5千5百体よ」
青い顔の呉林の言葉を霧画が訂正する。
「5千5百……。こちらはどう見積もっても……約百人」
ディオは唸る。
「あ。そうじゃ、この村だけじゃない。他の村も協力するとして。して、何人じゃ?」
長老は静かに言う。
「大きい西の村と斜めの東の村、北の谷の村ならば、協力するじゃろう。全部で2千3百人くらいにはなるじゃろう」
「こちらのだいたい二倍か。それと赤羽くん。さっきの力はかなり遠くても出来るのかな」
「ええと。恐らく」
私が自信が無いように言うと、呉林姉妹が当然、可能だと太鼓判を押した。
「何とかなるか」
ディオはニンマリした。
それから、ディオは西の村と東の村、北の村へと使者を送り、説得と協力を要請をした。それと、穴掘りが得意な者を4十名余り、そして何をするのか解らい者を数名連れ、森の広場を目指す。
穴掘りの作業は一夜漬けとなり、私には、
「赤羽くんは戦いで眠らされると困るから、しっかり寝ていてくれ」
と言った。
私は長老のテントで休ませてもらった。カルダは襲ってこないだろうと頭では安心しているが、心は最大限の緊張はしている。
「これが本当の最後の戦いね」
呉林は長老のテントの中でそう言った。私たちは周囲のテントと長老のテントを借りて、その中で眠ることになった。
長老のテントにいる私の隣には呉林と霧画が横になっている。何かカルダの魔術的なことが起きた際に、シグナルを発してくれるだろう事である。
安浦は食糧がたくさんあるテントを独り占めして眠り、村のテントの消火作業や救出作業を終えた渡部と角田は周囲のテントで自由に寝たいと言った。周囲のテントは焼け落ちたところが多いが、無傷のところも幾つかあった。村の住民も死者がでたが落ち着いていた。
「ああ、俺がしっかりしていれば……何とか勝てるさ。無事にみんなで家に帰ろう」
私は悪夢のような恐怖よりも生きていたというしっかりとした気持ちを持っていた。この平和な日本で、生まれて初めて戦をしなければならない自分の人生に、今の私は打ち勝つ程の力と能力がある。もう悪夢は終わりだ。