侑視点
客足も時間が経つにつれてだんだんと減ってきた。そろそろ4時になるがもうすぐ終わるだろうか。
「侑ー、あとこのお客さんだけやから終わってええよ!この後予定あるんやろ?」
「え、なんで知っとんの?」
「たまたま聞こえてきたんや。すまんな。あの3年生と仲ええんか?」
「それが知らん人やねん。連絡先欲しい言われてなぁ。」
「そうなんや。気ぃつけるんやで。あの人結構チャラくて有名やから。」
「ありがとぉ!きいつけるわ!じゃ、お言葉に甘えてお先させてもらうわ」
「明日も頑張ろな!」
「おん!」
あの先輩が来る前に早く着替えなければ。
空き教室までまあまあ距離があるので走っていかなければならない。
北さん、今だけは走るのを許してください。お願いします。
途中生徒に声をかけられることもあったが、急いでいるから言ってと足を止めずに走っていく。
まあ、メイド姿で廊下をダッシュしていたら誰でも驚くし、声もかけるだろう。
でも今はやめて欲しい。まじで。
「はぁ..はぁ..やっとついた…」
途中大量の女子に囲まれたり、メイド喫茶に来ていた男子に絡まれたりと色々と災難だった。
とりあえず着替えてしまおう。少し汗もかいたし、このままこのまま先輩に会うのはしゃくな気がする。
確か着替えが入った袋に治に貰った汗ふきシートが入っている。それで体の汗を拭ってゆく。柑橘系の爽やかないい匂いがするので結構お気に入りだ。
体が爽やかな香りで包まれたところで袖に腕を通そうとしたとき、ガラガラと教室の扉が開けられる。
「ここにおったんか。探したで、侑くん♡」
「え…ぁ、あの、まだ着替えとるんで外出て貰ってええですか、?」
上裸のままなのは抵抗があるので服を着ようとしたとき、その手を止められる。
はっとした時にはもう既に先輩が目の前まで来ていた。
「このままでええよ。やっぱ綺麗な体しとんなあ。」
そう言って腹や首、腰辺りなどを撫でるように触ってくる。
「ッさ、触らんでくださいッ..」
とっさに先輩の手をはらってしまったが、まずいと思った頃にはもう遅かったようだ。
「そんなにピリピリせんでやぁ。侑くん、俺はなあんたと仲良おしたいだけやねん。」
そういいながら距離を詰めてくる。もう体が密着しそうな距離だ。
侑は男子の中では大きい方なのだが、その先輩は少し見上げるほどの身長がある。
絶対190cmは超えているだろう。
そんな事を考えていたら急に顔が近くなる。
「なぁ、俺と付き合ってや。」
「えッ..!?..ぇ、えっと..今日会ったばかりの人とは、付き合えません..お互いの事何も知らないし、」
「そんなこと言わんでや。それに付き合ってから知っても遅くないと思うで。 」
「俺、バレーやめるまで恋人作らんって決めてるので..その..バレーが第一優先になっちゃうし..遊びにも多分行けんし…」
「ええよええよ、第一優先じゃなくても。遊び行く時は2人でスケジュール合わせて行けばええやん。1度も合わない、なんてことないやろ。」
う”〜、しつこい。しつこすぎる。断っているのに諦めてくれない。もう言い訳が思い浮かばない。
頼む、諦めてくれ。
「………….」
「黙るって事はいいって事やんな?」
はぁ?なに都合のいい解釈してんねん。 頭ん中お花畑なんか?
どう考えてもNOやろ。こんな全力で断っとんに。
「ほ、ほんま無理です。もうでてってください。」
胸辺りをグッと押す。でもフラつくどころか手を拘束されてしまう。
やらかした。もう抵抗出来ない。
「なぁ、1回キスしてみぃひん?気が変わるかもしれへんで。」
付き合ってもないのにキス..?
もしかしてこいつは俺の身体目的なんか?
そうだとしたらますます付き合ったらいけない。
「ほんまにッやめてくださいッ..!俺ファーストキスの人は決めてるんですッ!」
「そんな怖がらんでもすぐ気持ちよぉさせたるから。」
先輩の顔が目の前にきた。これの事をゼロ距離というのだろうか。
怖さで目をつぶってしまう。
ほんま最悪。
ファーストキスも全部、全部治の為にとっておいたのに。
治のハジメテじゃなくても俺のハジメテは全部治がよかった。
のに..
「おい、何してんねん」
今最も聞きたくて、でも聞きたくなかった声が教室に響いた。
遅くなってごめんなさい🙏
でもそのおかげで宿題全部終わりました!
明日から学校が始まるので投稿頻度落ちると思います。😭
次は治目線やります!
NEXT♡400
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