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治目線
いつからだろう。侑に対してこんな感情が芽生えたのは。
侑は昔から男女問わずにとにかくモテた。
小学生の頃は告白されるたびに自慢してきたものだから、とにかく気に食わなくて、うざったかった。
そんな侑も中学ではもっとバレーにのめり込んでいき、女子からの呼び出しには応じないようになった。本人曰く彼女はバレーを邪魔してくる、必要のない存在らしい。
でも男子からの呼び出しには毎回応えていた。気になり、なんでか聞いてみたら
「男子だと告白かそうじゃないか直前までわからんねん。」
と言っていた。
アホか。雰囲気で大体わかるやろがい。
ほんまにこん時からポンコツだった。
俺はこの家族愛という言葉では到底説明のしきれない、腹の底でぐるぐると渦巻く感情をとうの昔から理解していた。
腹の中から一緒だった唯一の血を分けた兄弟。
昔から誰にだって眩しい笑顔を向ける片割れは一体どれほどの人を堕としてきたのだろうか。
今すぐにでもこいつを自分のものにして2人だけで生きていきたいと思ったりもしたが、俺は今まで侑にこの想いを伝えたことは無かった。嫌われて、 今の関係すら壊れてしまうのが怖かったからだ。
なのに、いざ2-Aに行ってみれば、あいつは俺の気も知らないでニコニコ笑顔でメイド服に身を包んでいた。作り笑顔なのはわかるが、そんな事は関係ない。俺はあの日ありえないほど感情がドバドバと溢れる感覚さえした。
誰彼構わず愛想を振りまくあいつが気に食わない。さっきから男子生徒が可愛いだのあの子なら抱けるだのと話しているのを聞いているのも不快だ。
誰にも可愛い侑を見せたくない。誰も侑が可愛いと気づかないで欲しい。
そんな独占欲がぐるぐると脳みそを支配し続ける。
そんな事を無心で考えていると、あの愛くるしい声で名を呼ばれた。
「…サムは..なんか頼む?」
顔が、近い。
椅子の高さに合わせようと腰を曲げているため、首元から少し露出している肌。
上目遣い気味でまだ恥ずかしいのか赤く色ずいた頬。
メイド服だからなのかいつもの何倍もエロ可愛いく見える。
あまりのインパクトの強さに口が開かない。何か言おうとしても動揺からなのか知らないがメニュー表を見ることすらできない。
そうしていたらスナが何を悟ったか、俺の代わりに答えてくれた。
何でも食べる、とは、適当な扱いをされたみたいで気に食わないが、あながち間違ってはいないけど。
「オムライスだけでよかった?デザートとかもあったけど。」
「…いらん。..食う気せん。」
「治がデザート食べないなんて珍し。しかもめっちゃ機嫌悪いね。」
「……気に食わん」
「じゃあどっか違うとこ行こうか?頼んだばっかだからまだ間に合うと思うけど。」
「ええよ。オムライス食いたい。」
「まさに、食に勝るもの無しだね」(笑)
「お、お待たせしました、オムライス2つです。」
コトンと皿を置く音がして目線をやれば、湯気がもんもんと出ていて、美味しそうな匂いのオムライスがあった。
冷凍なんかな..?でもこんなふわふわ感出んよな?誰が作ってるんやろ。今度作り方教えて貰おうかな、など考えていると、すぐ隣から何やら騒がしい声が聞こえた。
目を向けてみるとスナと侑が楽しそうに話していた。
黙って話を聞いていれば、侑はなにやら可愛い事をしてるし、スナは写真を 撮ってるし。そして侑はスナに何かを指摘され、顔を真っ赤にして何かを必死に訴えている。
それを見ていた周りの人達も皆侑に釘付け状態。
えこれは、分からせなくては。
鈍感ポンコツムに自分の魅力を分からせる事が今の俺に課せられた課題だ。
恥ずかしくて絶対メイド服なんか着られなくなるまで。
投稿めっちゃ遅れちゃってごめんなさい!
1週間ぶりくらいですかね。
夏休みまで多分こんぐらいの投稿頻度で行きます!
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