急に笑い声が聞こえてきて、思考が引き戻される。
「な、なんや?」
えとさんはひとしきり笑い終えたあと、
「たっつんくん、真剣だね、w」と笑った。
「っえ、そりゃそうやろ、!」
「別に真剣に選ばなくてもいいんだよ、笑」
どういうことや。えとさんが選べって言ったから、えとさんが期待を込めて見つめてきたから、やのに。
えとさんは、並べられているアクセサリーの中からチェーンのブレスレットと金のネックレスを手に取って身につけた。それは、適当に選んだのかと思うくらい早かった。それなのに、セットになっているんじゃないかと思うほど調和していた。
「これ、どー?」
「めっちゃ似合っとる、!」
「ありがと」
えとさんはにいっと笑って呟いた。
「たっつんくんもさ、適当でもいいから選んでみてよ」
「そ、そんなこと言われても…」
この並べられたキラキラしたアクセサリーは、俺には絶対に見合わないし、似合わない。
「なんで?」
「似合ってないかもしらんやん」
「似合ってないとダメなんて、誰が決めたの、?笑」
確かにと思った。似合わなければつけちゃいけないなんて、誰にも決められていない。それに、今ここにいるのは俺とえとさん、えとさんのお兄さんとお母さんだけだ。もっとも、2人は他人に近いわけだが…こんなに優しいえとさんの親族なら、似合っていないからといって笑ったりしないだろう。
「…じゃーあ、これつけてみて!」
えとさんの手を見ると、銀のパールがついたイヤリングが握られていた。
意を決してそのイヤリングを耳につける。すると、えとさんがまるで用意していたかのように鏡を取り出した。鏡の中には、いつも通りの俺と、いつも通りではないイヤリングがあった。
「こ、これ、似合っとるんか、?」
「似合ってるかよりたっつんくんがどう思うかの方が大事でしょ」
「どう?何か感じる?」
うーんと考え込む。
「…いつもと違うもんやなぁ、みたいな」
えとさんはそれを聞くと満足したかのように、
「じゃあ、次これつけて!!」
「ぇ、またやるんかぁッ!?」
そうしてえとさんがつけて、と言ったものをつけて、感想を言っていくのを繰り返した。こんなんで本当に好きなものが見つかるんかなぁ、と思ったけど、まあ、えとさんが楽しそうだからええかぁ、という変な結論に至った。
そして、ふと時計を見ると、12時だ。…12時!?
コメント
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はに。さんいろんなジャンルの描写できて尊敬です〜.ᐟ.ᐟ