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あややん
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作者の思いつきで、胸が苦しくなるような切ない話を書いてみたくなったので挑戦してみました!
今回は🩷💛となります。
💛が一般人と付き合う様な描写がありますので、苦手な方はご注意ください。(付き合っていること自体が真実かどうかは、読んでからお確かめください)
最終的にはハッピーエンドになりますのでご安心を!
以上をふまえて大丈夫そうであれば先へとお進み下さいませ!
🩷➞勇
💛➞仁
楽屋の空気はいつも通り騒がしかった。
楽しげに過ごすメンバー達。
いつもの風景。
しかし仁人の心の中だけは、分厚い雲に覆われたように冷たい雨が降り続いていた。
勇斗と仁人は互いを想い合っている。
それは言葉にしなくても痛いほど分かっていた。
他のメンバーと話している時でも、勇斗の視線はいつも真っ直ぐに仁人を追っていたし、仁人もまた無意識に勇斗の姿を探してしまう。
いつかの夜。
遠征先のホテルにて、二人きりで遅くまでグループの将来について語り明かした時のこと。
ベッドの端に並んで座り、ふと会話が途切れた瞬間。
勇「仁人が隣にいてくれて良かった」
勇斗はそう呟いた。
あの時の勇斗の、冗談めかしながらもひどく真剣で愛おしげな眼差し。
髪に触れた優しい指先の感触。
仁人はその熱を忘れるはずがなかった。
ある時はライブのステージ裏。
極度のプレッシャーで仁人の手が冷たく震えていた時、勇斗は何も言わずにその手を力強く握りしめ、自分のポケットへと引き入れた。
そうやっていつだって見守り、支えてくれる勇斗に、仁人も深く惹かれていた。
だが二人は付き合ってはいなかった。
勇斗の視線や掌の熱から痛いほど伝わる、仁人への気持ち。
その気持ちに答えたいと何度思っただろう。
しかし仁人は知っていた。
現実はそう甘くはないことを。
自分と勇斗がこのまま一線を越えてしまえば、いつかグループを、そして互いの未来を壊してしまうかもしれない。
アイドルとして、一人の男として、勇斗にはもっと真っ直ぐで、誰もが祝福してくれるような光に満ちた幸せを掴んで欲しい。
勇斗は恐らくタイミングを見計らって告白しようとしてくれているのだろう。
どこかで予定が合えば二人でゆっくり話したいことがある、と勇斗から言われていたから。
だからこそ、仁人は決めた。
勇斗とは付き合えない。
今まで抱いてきた感情は全てただの錯覚だったのだと、自ら暗示をかけるように。
仁「俺、付き合うことになったんだ。一般の人なんだけど、凄く良い人でさ」
ある日の練習後。
仁人はメンバーの前で、鏡の前で何度も練習した歪な笑顔を作り、そう告げた。
その場が一瞬で凍りつく。
特に、隣にいた勇斗の顔からは完全に色が消え、目を見開いたまま固まっていた。
太「えっ、吉田さんマジで!? いつから? 全然そんな気配なかったやん!!」
柔「嘘、仁ちゃん初耳なんだけど?」
舜「それはめでたいなぁ!!」
メンバーたちは顔を見合せ、驚きの表情を浮かべていた。
仁人は胸を刃物で抉られるような痛みに耐えながら、必死で嘘の笑顔を浮かべ続けた。
仁「最近付き合ったから。でも本当に大切にしたいと思ってて…皆応援してくれるよな?」
勇斗は何も言わなかった。
ただ、唇が白くなるほど強く噛み締め、拳を握り締めていた。
勇斗の瞳に映る絶望に、仁人は気付かない振りをすることしかできなかった。
それからの日々は、呼吸をするのも苦しい地獄だった。
勇斗は簡単に諦めてはくれなかった。
両想いであるはずの仁人が、なぜ急に恋人が出来たなどと言い出したのか、どうしても納得がいかなかったからだ。
ある日のテレビ局の廊下。
すれ違いざまに勇斗が仁人の腕を掴んだ。
勇「仁人、待てよ。あの話、本当なのか? 俺はお前に…」
仁「っ…触んな。俺、これから彼女と連絡しなきゃいけないんだよ、忙しいからじゃあな」
冷たく言い放ち、仁人は掴まれた腕を振り払った。
勇斗を諦めさせるための嘘をつくたび、仁人の胸の奥はズキズキと痛んだ。
勇斗の視線から逃げるように、小走りでその場を立ち去った。
またある日のダンスレッスン後。他のメンバーが先に着替えを終えて出ていき、更衣室に二人きりになった瞬間、勇斗が仁人の前に立ち塞がった。
勇「仁人、5分だけでいい。少しでいいから話を…」
仁「今忙しいから」
勇「今日はもう何も予定ないはずだろ?」
仁「は?なんでお前が俺の予定知ってんだよ。ていうか予定あるし、これからデート。準備してかなきゃだから邪魔すんなよ」
勇「……、俺達がホテルで話したこと覚えてるか…?」
仁「何のこと?てかしつこい、今時間ないって言ってんだろ」
自分の気持ちを殺し、勇斗に嫌われようと刃のような言葉を口にする。
勇斗の傷ついた顔を見るのが耐えられなくて、仁人は荷物を掴むと、勇斗の肩を強く押し退けて更衣室を飛び出した。
後ろから「仁人!」と呼ぶ勇斗の声が聞こえたが、仁人は振り返ることもできず、ただ涙を堪えながら車へ向かって走って逃げた。
追いかけてくる勇斗の足音から逃れるように。
そんな拒絶の日々が続いた、ある日の楽屋。
仁人が一人でソファに座ってスマホを眺めていると、すぐ近くを勇斗が通りがかる。
勇斗は意を決したように唇を動かし、何かを訴えかけるように「仁人」とその名前を呼ぼうとした。
しかし仁人がわざとらしく勇斗から視線を逸らし、あからさまにスマホに没頭する姿を見て、勇斗は言いかけた言葉を飲み込んだ。
かけても拒絶されるだけの言葉。
勇斗は差し出そうとした手を力なく下ろす。
そのままきつく唇を噛み締めて、床を見つめるように深く顔を俯かせ、仁人に背を向けた。
その背中はあまりにも小さく、酷く悲しげに震えている。
すぐ隣でその気配を感じていた仁人は胸が張り裂けそうだった。
今すぐその背に抱きついて、嘘だと伝えたかった。
仁(これはお前のためなんだ…)
そして仁人は俯く勇斗から逃げるように無言で楽屋を後にした。
誰もいない夜の非常階段。
冷たい風が吹き抜ける中、勇斗は一人、壁に頭を預けて虚空を見つめていた。
仁人にどれだけ拒絶されても、どれだけ冷たくされても、どうしても諦めることなんてできなかった。
でも、近付こうとすればするほど、仁人は傷ついた顔をして遠ざかっていく。
勇「……どうすりゃいいんだよ…」
ぽつりと溢れた呟きは誰に届くこともなく夜の闇に消えていった。
どうすれば仁人の心を取り戻せるのか分からない絶望に、勇斗は押し潰されそうになっていた。
同じ頃。
誰もいない部屋の片隅で仁人は膝を抱えて座り込んでいた。
勇斗を傷つけるたび、自分の心も同じように、いや、それ以上にズタズタに引き裂かれていた。
勇斗のあの顔が脳裏に焼き付いて離れない。
あんな顔させたくなかった。
仁「こんなに辛いなんて、思わなかったなぁ……」
ぽろぽろと大粒の涙が溢れ膝を濡らしていく。
勇斗のためを思って選んだ嘘の道なのに、待っていたのは息もできないほどの孤独だった。
声をあげて泣くことすら許されない暗闇の中で、仁人はただ一人、静かに涙を流し続けていた。
二人が完全にすれ違い、それぞれがボロボロになっていく姿を、メンバーたちはずっと見守っていた。
二人の異常なまでに重苦しい空気に、三人は深刻に頭を悩ませていた。
太「……なあ、これマジでどうすんの。誰が見ても二人ともおかしいやろ。吉田さん、あんなに突き放すことないやん」
柔「仁ちゃん、本当はあんなに冷たい人じゃないのにね。勇ちゃんの前にいるときだけ、無理して鬼の仮面を被ってるみたい」
舜「俺、見てるの辛いわ…。仁ちゃんが彼女できたって言った時、全然嬉しそうじゃなかった。勇ちゃんはあんなにボロボロやし。お互い大好きなの分かっとったはずなのに、なんであんなにすれ違うんかな…」
太「俺には分かる、吉田さん嘘ついてるわ。勇斗のために身引こうとしとるんか?そんなの勇斗が幸せになるわけないのに」
柔「俺たちから何か言ったほうがいいのかな……。でも、こればっかりは俺たちが踏み込んじゃいけない気もするんだよね」
舜「どうしたらええんやろ……。また皆で、心から笑えるようになりたいな……」
三人の大きな溜息が部屋に響いた。