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5話目です
一次創作ですが暖かい目で見てください
アルベルトの誘拐未遂から約1週間経とうとしていた時……国民は少し浮ついていた
理由は王国騎士団への入団試験が控えているためだった
『…』
王宮にいようとも城下の雰囲気は僅かであったが伝わってきていた
入団試験に向けてギリギリまで鍛錬する者の声や緊張している声、パーッと楽しむ声
色んな声がしている
王国騎士団入団試験の初日がやってきた
場所は王国騎士団の訓練場で行う為、年に一度ここは人でごった返す
そしてこの騎士団の試験は簡単だ
試験者を何個かのグループで分ける。そしてそのグループ内で戦うものだ
そのグループで勝ち残ったものを選んでいくというスタイルだ
時間はかかってしまうがグループ分けの段階で魔力量だけをほぼ同じとしたグループ分けとなる
だから魔力に頼るのもOKなのだ。そのため剣術だけを磨くだけでは簡単には勝たせてはくれない
『……ふーん…』
「アルベルト、あまり身を乗り出すと危ないですよ」
『少し乗り出さなきゃちゃんと見えねぇだろ』
「だとしてもです…」
『ルース叔父さん、あいっかわらず入団試験の時は顔怖ぇ〜!』
「まぁちゃんと見ないと行けないですもんね」
「そうだね」
この入団試験は毎年訓練場で闘うがもし悪質…気絶しているのに殺そうとする奴がいる
それを防ぐため王国騎士団総隊長のルース・グレーダスと第一隊隊長のシュバルツ・ラルクアン公爵と第二隊隊長のサモーナ・サルヴァトーレ公爵…別名”王国騎士団の三大巨頭”と大々しく言われている三人が見守っている
そしてこの入団試験、国民たちは結果がどうかをいち早く知りたいという声があった為
城下の1番でかい広場で生配信中だ
映像水晶玉から訓練場を映し、もう一つの水晶を通し空中に映し出している
なので今日は街がとても活気づいている
そして今年は特に受験者が多く、最終日は訓練場は初日よりもごった返していた
そこにはグレンの姿も居た。
『……』
「アルベルト、誰見てんだ?」
『あ?嗚呼、あの赤いくせっ毛の奴だ』
「へぇなんか強そうだな」
「…一般人にしては魔力量は悪くないですね」
『はは!!そうかそうか…ルース!!』
「「「「「!!!!?」」」」」
アルベルト以外の全員は驚き、声の主へ注目が集まった
「アルベルト!!!この時期にここに来んなって言っただろうがぁ!!!」
『あはは!!すぐ戻るよ!!
ちゃんと連絡入れてくれよ!!!見に来るから!!』
「!…嗚呼!ちゃんと連絡してやるからそれまでは大人しく兄上の仕事とかやってこい!!」
『はい!!』
2人だけにしか分からない会話をしアルベルトは元気に、すぐさま王宮へ戻って行った
「…え、…なにあれ」
「グレーダス総隊長…あれはなんですか…私たちの子までいた気がするんですが…」
「あとでのお楽しみだ」
そして日が暮れかけた時アルベルトのブレスレットが震えた
『お、』
《アルベルト、仕事はどうだ?》
『順調だよルース叔父さん
そっちは?どう?』
《お、どうやら中継を見てた訳じゃなさそうだな?》
『心外だな
やる時は俺もやるよ』
《そろそろ始めるぞアルベルト
来れそうなら来いよ、お前が見込んだ相手が闘う様をな》
『嗚呼、ちゃんと見に行くさ』
アルベルトはそういうと執務室から抜け出し訓練場へ魔法を使い1分を満たないうちに着いた
「アルベルト、王宮内ではあまり使うなと言われてるだろ」
『あはは!今回は見逃してくれ』
「まぁいいけどよ
怒られんのは俺じゃなくお前さんだからな」
『始めるなら始めなよ』
「嗚呼、グレン・ナーサリー
この試験は従来の試験と同じルールだ
魔法攻撃ありで相手を倒す
至極簡単だろ?」
「……はい」
「ただ闘う相手が王国騎士団の総隊長の俺になっただけだ」
『はは!!やっぱルースおじさんか!』
「まじかよ…」
「はは、アルベルト!今は下降りてきていいぞ!」
『お!まじか!!』
「ただしそいつらの近くにいろよ」
『はーい』
ルースはサルヴァトーレ公爵とラルクアン公爵を目で見てアルベルトは橋から訓練場へ降りた
「アルベルト殿下、お守りさせていただきます」
『嗚呼、頼む』
「さぁ始めよう…グレン」
「…よろしくお願いします」
「始め!!」
サルヴァトーレ公爵の声と共に両者は動いた
グレンは素手…テーピングのようなものを巻いて身体強化魔法を自身にさせている
あの巨体に強化なんかしたら民間人は殴られたら一溜りもないが一溜りにもならないのがこの王国騎士団団長だ
グレンはルースを殴っているがルースは剣を使うまでもなく華麗に避けていた
そしてルースが剣で攻撃しようとするもグレンはその巨体から想像できない体の柔らかさを見せつけた
「ほう、これは驚いた」
「ッ…!」
『…』
「アル坊、そんなつまんねぇ顔すんなよ〜つーかあんなんどこで拾ってきたんだ?」
『街』
「へぇ〜」
『少し面白そうだったからなふっかけてみた』
「はは!!確かにおもろそうだ!!」
『嗚呼、今回の受験者の中でも魔力量は遜色ない
でも、技術がない
学べる環境がなかったんだろう…あいつが魔導書を読んだりしたら更に強くなるだろうなぁ』
「にしても良くもまぁ素手のやつをふっかけたなぁ?しかもルースに」
『はは!ルース叔父さんだからふっかけたんだ』
「なるほど!」
「ラルクアン公爵、ちゃんと集中しろ」
「えいえい」
『…ふふ、多分あいつの面白いところは死を直感した時だろうなぁ?』
アルベルトは不敵な笑みを浮かべた
「なぁーに言ってんだよ
死を直感することなんてこの試験にもないだろう」
『はは、そんなことないよ』
「は?」
その瞬間ドォン…ととてつもない爆発音が起こった
起こした犯人はルースだった
「……少しやりすぎたな」
「おいおい、こりゃあちょっとやりすぎじゃねぇかい?」
『死んだらどうしてくれるルース叔父さん』
「はは、悪ぃ悪ぃ」
土煙が晴れた時そこにグレンの姿はなかった
「「「!!!?」」」
その瞬間ルースの背後から大きい何かが覆い被さるように影ができた
「「ルース!!!」」
パチンっと乾いた音が鳴るとルースと…覆い被さるようにしていたのはグレンの間に魔法障壁ができていた
「「「!!?」」」
『グレン・ナーサリー』
アルベルトがグレンの名を呼ぶとグレンは正気に戻ったように戸惑っていた
「…ある、べると…?」
『なんだ覚えてねぇのか』
「??」
『まぁいいや、ルース叔父さん大丈夫?』
「あ、嗚呼…」
『こいつどうする?合否』
「あ、嗚呼…合格だ
油断していたとはいえ私の背後を取ったのだからな」
『良かったなぁ!!グレン!』
「!嗚呼!アルベルトのおかげだ!!この恩は忘れない!!」
『はは!!大袈裟だなあ!』
「とりあえず試験は以上だ
アルベルトは部屋に戻ってグレンも家へ帰りなさい」
『「はい」』
『じゃあグレンを門まで送ってきますね』
「嗚呼、もう門の外に出るんじゃないぞ」
『わかってますよ
ほらグレン、行くぞ』
「嗚呼…」
アルベルトとグレンが訓練場を去った
「……サモーナ…さっきの魔法障壁は君か?」
「…いえ、私ではありません…」
「コイツは俺と一緒で焦って何も出来なかった」
「言われなくともわかってますよ
そんなこと」
「だからそう言ってんだろ!」
「…じゃあサモーナでもないととするなら…」
「…アルベルト第一皇太子殿下で間違えないかと……」
「つうかアル坊、無詠唱だったよな?」
王国では詠唱をしなければ魔法を発動できないものも多い
例えだが”雷鳴よ 恐れおののけ 我に力を”一文を読めないといけないのだ
それを簡略化させたものが”雷鳴”だ
そして先程のアルベルトの詠唱を必要としない動作一つで魔法を発動できる…無詠唱者はこの国にはまだまだ少ない
王宮ではアルベルトとサルヴァトーレ公爵、そして国王のサタハの三名である。
「…サモーナ、無詠唱にできたのはいつ頃だ」
「記憶が正しいのであれば今のアルベルト殿下よりももう少し後だったと思います」
「……流石は兄上の子だ」
「…15、6で無詠唱で魔法を発動させるとは……」
「それにアル坊、最近剣術も腕が上がってきてると感じる…
多分同年代の子はあの子に敵わないでしょうね」
「…ラルクアン子息もか?」
「さぁどうでしょうね
ここ暫くは入団試験の準備なので忙しかったもので息子たちと時間が取れてないんです」
「済まん」
「いえ、仲間が増えることは大歓迎ですが……」
「サモーナ、お前無詠唱であの精度の高い魔法障壁咄嗟に出せるか?」
「…痛いところをつくなシュバルツ」
「剣術バカは認めたくはないが俺でもわかった
あの魔法障壁の精度…精密さといえばいいのか…」
「…アルベルト第一皇太子殿下は将来…近い未来化けるかも知れません……」
「…あ、そういえばもうすぐか」
「何がですか」
「アカデミー入学だよ」
「「……なるほど」」
三人はアカデミーを入学するにあたって通過儀礼のようなものがあったのを思い出していた
春が来て少し暖かく過ごしやすい気温となった
まぁ魔法障壁で別に年中過ごしやすいのだが気分的に過ごしやすい、春の陽気のようだ
アルベルトとシエル、マラは高等部一年生となる。
初等部から居たものたちは変わらないがアルベルト達は周りから見たら異質だろう
そして初等部にはアルベルトたちの弟もいる
『まっ、初等部だしそこまで関わりはねぇか…』
「というか、なんで突然アカデミーなんですか?」
『うーん?父上が王宮だけじゃなくて学校にもいけって言うから
ちょうどアカデミーの編入の知らせの時期だったからやってみた』
「ノリが軽い…」
「…まぁいいんじゃねぇか?3年間しかねぇんだし」
『そーそー』
「アルベルト・グレーダス様、マラ・ラルクアン様、シエル・サルヴァトーレ様、入学式が終わり次第、礼拝堂でそのままお待ちください」
アルベルト達は突然声をかけられ警戒するが
もっと警戒することになった
『何故』
「入学するにあたって御三方にはやってもらうことがあります」
「へぇ?」
「ここでは言えないのですか?」
『…まっ、いいだろ
行ってやろうぜ』
「……はいはい主人がそう言ってしまえば私たちは何も言えませんね」
『主人クジは大ハズレだな?シエル』
「そう思ってるなら行動を改めなさい」
『へぇへぇ!』
「とりあえず式に向かうぞ
遅刻はさすがにまずい」
『げっ走んのかよ』
「魔法は基本的には原則禁止だ」
『魔法の方が断然楽なのになぁ!』
「そう言うなアルベルト」
三人は式が行われている礼拝堂へ向かった
初等部からいる人間はつまらなそうな顔をしているが学園長が編入生がいると紹介しようとするとザワついた
「気になるね、紹介してしまおうか
三人いるんだよ
前へおいで」
『ファ〜……』
「アルベルト、呼ばれてますよ」
『あ?』
「はい、社交界の笑顔」
『……』
「流石ですアルベルト」
マラとシエルはアルベルトの手を引いて前へ出る
「この3人が高等部から編入してくる子達です」
編入生がまさかの皇太子と第二公爵だとは思っていなかったらしく、周りは更にザワついた
「シエル・サルヴァトーレです」
「マラ・ラルクアンです」
『アルベルト・グレーダスです
皆さんと仲良くできたらいいなと思っています』
アルベルトは社交界での態度が中々酷かった為、みんなで社交界用の顔を用意することにしたのだ
そしてその社交界用の微笑みが女子生徒には効いたらしくアルベルトには黄色い歓声が飛んだ
『…もうやめていい?』
「もう少し保ってください…」
「今度父上に剣術勝負挑んでいいので頑張ってください」
『ぜってぇだからな』
三人は学園長の目の前で小声で会話しており学園長は何も言わず、何も聞かずら何も見てないフリをした
そしてアルベルトたちの紹介が終わった後、式は終了した
終わったあと三人は変わらず礼拝度に残った
何故か他の生徒たちは依然残っている様子だった
『…で?何するんですか学園長殿』
「特別なことはしません
本来、初等部入学時にやることですので」
『…さっさと終わらせてくれ
こんな注目されちゃ敵わん』
「すぐ終わるかどうかはあなた方次第です」
『……シエル、マラ、喧嘩は買うしかねぇなぁ?』
「「言うと思った」」
『で?何すんだ?』
「あなた方には魔力測定と使い魔を呼んでいただきます」
『「「は?」」』
「魔力測定はわかりましたが使い魔…?」
「ええ、使い魔です
人によっては呼ぶものが違うので使い魔と呼んでいます
人によっては精霊や妖精を呼んだりドラゴンなどを呼んだりした人もいます」
「……」
『流石に無詠唱はきついか……使い魔を呼ぶ詠唱の魔導書は?』
「ここに全て揃っています」
『そ、…魔力測定はマラ、シエル、先にやっとけ
俺は使い魔を探す』
「ただ悪魔などはおやめ下さい
禁術に手を出すことになりますゆえ」
『誰が悪魔なんか呼ぶか』
「ではサルヴァトーレ令息、ラルクアン子息は魔力測定を終わらせましょう」
「「はい」」
マラとシエルは心配していたアルベルトが何を呼ぶか分からないからだ
アルベルトは礼拝堂の外へ出た、それに着いていくように残っていた生徒の少しが出てきた
『………』(学園長の言い草的には使い魔は1人に1人だ……)
アルベルトは悩んでいた
『……とりあえず呼んでみるか…
“紅蓮の炎を吐き 辺りを炎で埋めつくさん火竜”召喚』
アルベルト召喚詠唱を読むと周りはザワついた
アルベルトが詠唱し召喚させたのはドラゴンの中でも最も気象の荒い火竜だったからだ
周りは礼拝堂の中へ入り礼拝堂の窓からアルベルトを見守っている
そしてドンっと魔法陣から召喚された火竜はとても機嫌が悪そうだった
【この火竜ルーカスフィルムを召喚したのはどいつだ】
『俺だ』
【俺は今冬眠から明けて腹が減っているんだ…!ここら一帯焼け野原にしてやろうか?】
『はは!それは困るなぁ〜そうなると召喚したのにお前を殺さなきゃ行けないからね』
【はっ、たかが人間の小僧ごときにこの火竜が殺せるとでも?笑わせるな】
『殺すは言いすぎたね
懲らしめないといけなくなる』
【一緒だ、この火竜が食ってやる】
火竜が前足でアルベルトを掴みあげた
【なぜ抵抗しない】
『うーん?火竜ってのは口から炎を吐くだろ?
体は熱いのかと思ってたがそこまでなんだな』
【抵抗しないのであれば貴様は冬眠明けの初めの食料だ】
『王にはなりたくないけどまだ死にたくはないねぇな?』
ドラゴンはお構いなく口を開けた
【そうか、ならこの火竜を召喚した愚かな自分を憎むんだな】
『はは、』
アルベルトを口へ含むと生徒たちは絶叫したが突然ドラゴンの口は勝手に開いた
よく見るとアルベルトが魔法障壁を自身の周りに張っていて球体のようになっていた
【貴様っ…!!】
ドラゴンの歯はとても固く頑丈と言われているためドラゴンを打ち倒した時には歯を武器もある
それを15、6の子供が魔法障壁だけで防いでいるのだ
『さて、火竜
お前にひとつ聞きたい
精霊王を呼ぶにはどうすればいい』
【せ、精霊王…だと…!?小僧が呼べるお方じゃないぞ!】
『はは!!そんなのわかってる
試したいだけさ
とりあえずお前を呼んでみたが欲が出た
精霊王を呼ぶ、詠唱を教えろ
1000年以上の寿命を持つドラゴンなら知ってると思いお前を召喚したんだが……どうやらミスったらしい』
【な、なんだと貴様…!】
『うーん……お前より年上のドラゴンはいるのか』
【俺より年上のドラゴンなどいっぱいいる!
それこそ水竜殿なんか!】
『そうか、水竜か…確か詠唱は…』
【待て待て待て】
『なんだ』
【火竜を呼んでおいて更に水竜まで呼ぶ気か】
『嗚呼、話がわかるやつが来るまで呼ぶぞ』
【人間の魔力量でいったら精々ドラゴン一体が限界だ】
『そうか…
“水を操り 水難を起こし国を沈めん”召喚水竜』
【阿呆!!せめて俺を解呪してから兄者を呼べ!!】
『へぇ兄弟なのか?』
【違う!!よく世話になったからそう呼んでいるだけだ!!】
『あと、魔法陣から離れた方がいいぞ』
【え?】
ドォンと火竜は吹っ飛ばされた
【ぎゃっ!!!】
『言っただろ?』
【兄者!!酷いです!!】
【…お前はここで何をしている】
【俺はこの浮いてる人間に召喚させられて来たんです!】
【は?同じ人間がドラゴンを二体など呼べるわけがないだろ
戯言もいい加減に】
【本当なんですよ!】
【…人間本当か】
『えぇ、本当ですよ
俺が火竜ルーカスフィルムと水竜エルリアル殿を呼びましたよ』
【なんで火竜の俺には殿がないんだ人間】
『だって気性が荒くて敬うに敬えん』
【この人間…!!】
【やめんか
人の子、して竜二体呼んだ理由はなんだ】
『精霊王を召喚させる詠唱を知りたい』
【…ふざけているのか】
『ふざけていないさ』
【精霊王をお呼びするには詠唱だけではダメだ
親和力が高くなければ呼べぬ
我々が召喚できたとは言えどただの人の子には無理だ
それに精霊王を一国のいち皇太子が呼んだら戦争になりかねんぞ】
『まじか〜』
【人の子、潔く諦めるんだな】
『あ、父上?』
二体の竜はズコーッとコケる
【この人の子話を聞いていないのか…!】
《アルベルトか、どうした》
『精霊王を召喚できたらしてもいいですか?』
《………うーーーーん…まぁしてみなさい》
【【嘘だろ】】
『はは!ドラゴン二体召喚して聞こうとしたら戦争になると言われたので父上に確認しましたよ』
《そうことか
ちなみに竜の名前は?》
『火竜ルーカスフィルムと水竜エルリアル殿です』
《はは!!お前はやはり私の子供だ!》
『どういうことですか?』
《私も昔ドラゴンを召喚した》
『はは!!』
【…まさかお前の父とは】
『?』
『《サタハ・ユージュ・グレーダス》』
【…サタハか…】
『?知り合いか?』
《久しいなエルリアル》
『知ってんの父上』
【…この阿呆は、初等部の頃俺を呼んだ】
『はは!!』
【まぁ悪ガキだったな】
《あの頃は学生だったんでな
盛大に悪ガキというのになっていたね》
【なるほど、お前の息子か…】
《嗚呼、昔のよしみで使い魔になってやってくれよ》
【断る】
《あいっかわらずだなぁ?エルリアル》
【当たり前だ】
『で、精霊王の詠唱は?』
【貴様の血筋はイカれてるのか】
《酷いなぁ
探究心があると言ってくれよエルリアル》
【はぁ…教えてやってもいいが呼ぶには中々根気がいるぞ】
『いいよ
簡単に呼べるとも思ってない』
《頑張れよー》
アルベルトはブレスレットを隠した
【まず………】
アルベルトはエルリアルの説明を受けた
【ちなみに聞いていなかったが、どの精霊王を呼ぶんだ?】
『ん?相性的には水の精霊王だね』
【そうか】
「アルベルト、魔力測定…っておいおいドラゴン二体は聞いてねぇよ」
『もうちょい待たせろ
今から精霊王を呼んでみる』
「ハァ……まぁいいか」
『止めねぇんだな?』
「やめとけってもお前聞かねぇからもう何も言わねぇ」
『はは!さっすがマラちゃん♡』
「陛下には了承済みか?」
『嗚呼、まぁやってみたらいいんじゃないかって言われた』
「…陛下は止めてくれると信じていたが…」
『はは!俺の父だぞ?』
「そこに関してはノーコメントで
侮辱罪に問われかねん」
『問わねえよ』
【…さぁ準備できたな】
『嗚呼、』
アルベルトは地面にチョークでデカイ魔法陣を描いた
そして魔法陣の真ん中の円にアルベルトの血で精霊王の名前を書いた
【本来精霊王の名を書くなどあってはならぬが召喚ならまぁここら一帯無くなるくらいだろ】
「ダメだろ」
「…また何してるんですかアルベルト」
『お!シエル!!今から精霊王呼び出すんだよ!!』
「ハァ…父上に怒られないか不安です…」
『はは!!』
【コイツ以外の人の子は下がっていろ】
「いえ、俺らはアルベルトと共にいますよ」
「嗚呼、主が死ぬ時は我らも死ぬ時です」
【…いい部下だ】
『だろ』
【精霊王を召喚する時、詠唱が載っていないのは召喚者の頭の中にしか流れないからだ
親和力が高く精霊王が気に入った奴にしか詠唱は出てこん
だが親和力だけではダメだ…もちろん魔力量も多いに越したことはない
精霊王を召喚するのは根気との勝負だ
どのくらいで来るかもわからん
一生来ないかもしれん】
『…そうか…、俺は精霊王と会って精霊王を使い魔にして魔法のことをもっと色々知りたい…だから精霊王と話もしたい
俺はどんな感じな人でも必ず友達になる
だからどんなに来なくても待ってやる』
【……気長に待つことだ】
「…シエル、アカデミー入学早々授業ボイコットだ」
「まぁ元々アカデミー入学は見聞を広げるためですから
授業はほとんどならい終わってることですから
正直いいです」
「はは!!それもそうだな!!」
『…”水の精霊王 アルベルト・グレーダスにお力をお借り申し上げる
貴方の水を操り敵を制圧する そのお力お貸しください”
召喚水の精霊王』
「「!!?」」
【!】
アルベルトが召喚詠唱を口に出すと魔法陣とアルベルトは水に囲われる
「「アルベルト!!!!」」
【騒ぐな…静かにしていろ
精霊王の中でも水の精霊王は少し難しい】
「…ッ…」
『………』
【…貴様か、この俺を呼ぼうとしてとんでもない魔力を魔法陣はつぎ込んでいたのは】
『…初めまして水の精霊王ミエルココン様』
【この精霊王と口を交わすなど本来畏れ多いこと
自覚しているか】
『はい、とっても自覚しています』
【していないな】
『してますよ
何故俺に答えて下さったのですか?』
【お前が魔法陣を通して俺にとてつもない魔力を流し込んだからだ
なんだあの魔力量はすぐに底を尽きると思っていたが全然尽きん
だからそれを知りたくてきたが…なるほど……貴様、サタハの息子か】
『?父を知っているのですか?』
【下界は鏡を通して知っているのと知人から危険人物として聞いている人間だ】
『…うん、なんかその知人にごめんって謝っといて』
【嗚呼今伝えよう】
『?』
【なんだ、まだ分からないのか
知人とはそこのドラゴンだ】
『ああそういう事ね』
【して、貴様俺を呼んだ】
『俺と使い魔の契約を結んでくれ』
【断る】
『えー!』
【えー!じゃない
何故脆く弱い人間に召喚され使い魔の契約までしなければならないんだ】
『いいじゃん
鏡を通してじゃなくて俺と一緒に人間世界を知ろうぜ』
【…何故そこまでしてこだわる】
『?友達になりたいから』
【は?】
『精霊王とか関係なく妖精とか種族関係なく俺はお前と友達になりたいんだ
それに火竜と水竜とも友達になりたい
俺の魔力量的にこれ以上の種族は呼び出せない
だからいつかこの王都をִֶ人間だけじゃなく種族関係なく暮らせる国にしたい
だからまずは俺とアンタで友達になりたいんだ
使い魔という形にはなってしまうけど』
【ははははは!!!こんな馬鹿な理想を描いている人の子は久々に見たぞ!】
『俺は人の子って名前じゃない
俺の名前はアルベルトだ
アルベルト・グレーダス!』
【そうか、アルベルト
貴様が気に入った
お前の使い魔になってやる】
『!!本当か!!?』
【嗚呼】
『はは!!よっしゃぁ……』
【おっ、と……】
『あ、れ……体に力…はぃ、らね…』
【急激に魔力を消費したから、体がついていけていないんだ】
『ッ……』
【やはり人間は脆いな……少し寝ろ
人間の魔力は精霊よりも回復するのが遅い
空気に滞留するマナを受け入れるのが遅い】
『…で、も…今…ねた、ら…おま、え…きぇ、るだ、ろ…』
【お前は一体何を呼び出したと思っている】
『…せい、れぃお、う…だ…』
【その通りだ
人間の魔力が消えようが俺の意思で居座ることは出来る
使い魔になる精霊を信用しろ人の子】
『…そ、…だな…』
【!…】
アルベルトは気絶するように眠った
【…まだ、苦しそうだな】
ミエルココンはアルベルトをいわゆるお姫様抱っこで魔法陣の外へ出る
「「!…」」
【人の子、そう警戒するな】
「…アルベルトをお返しください…水の精霊王…」
【どうやら分を弁えているらしいな】
「俺らはアルベルトの様に振る舞えませんので」
【ははは!!それは悪い事をした
この子はまだ返す訳には行かん
茶髪のお前ならこの子の体がどうなっているか分かるだろう?】
「…はい…」
「?どういうことだシエル」
「…ついさっきまでのアルベルトの周りには魔力に変換される前のマナが大量に浮いていた…でも今はマナも少なく、魔力も弱々しい」
「!」
「魔力欠陥…人間の生命維持に必要な魔力しか今残ってない
あのまま気づかず使っていたら最悪アルベルトは死んでいる」
「!…」
【だからこの子は今ただ寝るより俺と一緒にいた方が安全だ
なんて言ったって精霊はマナに愛されている】
「…嗚呼、そうですね
ですがアルベルトもマナに愛されています」
【そのようだ
なんて言ったってこの俺を呼び出し、使い魔にさせると頷かせたのだからなぁ?】
「「!!」」
「…」(アイツまじか…!)
「…」(天性の人たらし…!)
【だからこの子は俺が責任をもって目覚めるは預かる】
「僕らも近くにいます」
「これでも俺らの主人なので」
【…好きにしろ
人の子ども】
______________________
続