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「それで、母さんは精神的に壊れそうになってしまってね・・・。これ以上一緒にいても苦しめるだけだと思って自由にしてあげたんだ。きっと私がどれだけ母さんを必要としても、その時の母さんはどうしようもなかった。母さんを悲しませる為に結婚したんじゃない。笑顔にさせたくて結婚したのにと私が後悔した時はもう遅くてね。もうすべてを手放して、母さんが笑顔になれる人生をまた一からやり直してほしいと思ったんだ」


そして社長も、そんなREIKA社長をこれ以上苦しめたくなくて守りたくて、悲しい決断をした。

母親としての幸せと、自分自身の夢を叶える幸せを、選択出来るように。

離れていても見守れる幸せ・助けてあげられる幸せ。

社長だから出来る幸せを自ら選んで。


「私もそんな理由でお父さんを嫌いになりたくなかった。お父さんはとても尊敬出来る人で、私も樹も、家族をちゃんと大切にしてくれた人よ。だからこそお父さんへのその好きな気持ちも守りたくて、私たちは離れることにした」


REIKA社長を、樹を・・・、自ら離れることで家族を守った社長。

きっとそれをREIKA社長も受け入れて守ってもらった。


想像していた以上の真実と二人の想いに、私まで胸が苦しくなる。


何を選べば正解なんてきっとわからない。

お互い想い合っているのに、一緒に幸せになりたいはずなのに、それぞれの想いがうまく交わらない。

だけど想い合ってるからこそ、二人で決めた幸せのカタチ。


「オレ、母さんがそんな風になってたの全然知らなかった・・・」


こんなに切ない真実。

私でさえその話を聞いてこんなに胸が苦しいのに、今そのことを知った樹はどんな気持ちでいるんだろう・・・。


「自然とね、あなたの前ではそんな姿は見せることはなかったから。でも実は私がどうしようもない時もホントはあってね。そんな時は、お父さんがあなたに心配かけないようにわからないように守ってくれてたのよ」

「えっ・・・」

「だから離婚してお互い離れることになった時、私がそんな状態だったから、樹は最初はお父さんの方が引き取ることになってたの。私がまた夢を叶える為に一人になって集中してその夢を追いかける方がいいだろうと。経済的にもお父さんのが当然余裕はあったし、本来ならそうすべきだった」

「オレが母さんに懐いてたから・・・。もしかしてオレが母さんの負担になってたってこと・・・?」


REIKA社長の言葉に樹が反応して、切なそうに呟く。


「いいえ。そうじゃないわ樹。私が樹が必要だったの。私がお父さんに樹を引き取らせてほしいってお願いしたの」

「母さんはそれだけは絶対譲らなかった。何もかも自由にしてやろうと思ってたのに、それだけは大丈夫だからと」


REIKA社長の強い決断と、ずっとそんなREIKA社長を支え続けようとする社長。

どこまでも社長の大きな愛が伝わって来る。


「母さん、どうしてそこまでしてオレを・・?オレがいない方が母さんは幸せになれてたかもしれないのに」


樹の言葉がまた切なく響く。


「当然でしょ。私のお腹を痛めて産んだ愛した人の愛する息子よ。あなたの存在があったから、私はそこからどんなことがあっても頑張れた。一人じゃないって思えたの。樹が常に支えてくれて応援してくれた。あなたがいてくれたことでどんどん私の想い描く夢が形になっていったのよ。私にとってあなたがいることが一番の幸せだった」


REIKA社長は、そんな樹の不安な気持を振り払うかのように、幸せそうに優しく微笑みながらそう告げた。


そういえば、REIジュエリーの記念パーティーの時の挨拶。

あの時、REIKA社長が今まで続けられてきたのは、REIKA社長の夢に力を与えてくれる存在が背中を押してくれたからだと、そう言ってた。

きっとそれは樹であり、社長であり、家族の存在があったからなのだろう。


「オレが母さんの夢の邪魔をしたワケじゃなくて・・?」


だけど樹は不安そうにまた尋ねる。


「そんなのあるはずないでしょ。お父さんも樹も私の夢を信じて応援してくれた。だから私は今夢を叶えてこうしていられる」

「樹。お前は母さんの夢にも母さん自身にも必要だったんだ」


ほら、やっぱり。

二人の存在があったからこそ、REIKA社長の夢は実現出来た。


「だけどね。私の我儘で樹には不自由させてしまった。あなたが私を助ける為に学生の頃からバイトして苦労かけないように応援してくれた。だからこそあなたにはちゃんとした将来を歩んでほしかった。だから、私の仕事も順調になり始めて、あなたが社会人になると同時にお父さんに樹を任せたの」

「母さんと私が離婚したことで、お前にはどちらにも甘えることをさせてやれなかった」


きっと樹は樹なりに心配をかけたくなかったんだろうな。

夢を叶える為に頑張っている姿を、誰より近くでずっと見てきたのは樹だから。

いつの間にか、樹も自分一人が頑張るようになって、どちらにも甘えることが出来なくなったのかもしれない。

なんとなく、それは私も分かる気がする。

私も両親ずっと二人の夢を叶える為に頑張っていたから。

だから出来るだけ負担をかけないように、その夢に集中してほしくて、私は私なりに弟の面倒を見たり、家のことをしたり、手伝いをしたり、自分の出来ることを自然とするようになっていた。

でもそれは自分がやりたくてやっていたこと。

きっと樹もお母さんの夢を応援したくて、樹がそう望んでしていたはず。


「私が引き取ったのに、いつからか樹が大人になっていくにつれ、私の方が樹に甘えてしまって、今度は私が仕事中心になってしまった」

「それはオレが望んだことだから。オレはずっと母さんがデザイナー目指してキラキラしてる姿が好きだったし、夢を叶えようとしている母さんの力になりたかった」


REIKA社長が樹に頼っていたのもこの言葉を聞いてよくわかる。

だけど、樹はやっぱりそれを負担に思わず、力になることで喜びも感じてたはず。


「ホントなら私があなたをもっと甘やかしてあげなきゃいけなかったのに・・・」

「でも確かに。いつの間にかオレ、誰かに甘えること出来なくなってたかも。母さんには甘えちゃいけない、オレが早く一人前になって頑張らなきゃいけないと思ってたし心配かけてオレが負担になりたくなかった」

「そうね。樹はずっと私を応援してくれることで、自分のそんな欲も抑えてしまうようになった」


樹、一人で頑張ってたんだな・・・。

REIKA社長と同じように、きっと樹も気持ちを抑えて、言葉にせずに一人抱えて。


「だけどさ、やっぱりその反面、早くに離婚した二人を見てたから、オレは誰か他人に対しての愛情っていうのもわからなかった。正直ガキの時に離婚ってなって、親父が母さんを見捨てたんだと思ってた。だから母さんはオレが守らなきゃって」


きっと樹はこの想いがずっとあったからこそ、何も言えなかった。

樹が頑張るしかないと信じてた。


「樹。それは違うの。樹が私を嫌わないように、お父さんが悪者になってそう信じさせてたの。本当は私の我儘でお父さんは悪くないのに」

「私が頼んだんだ。樹の愛情は母さんだけが受け取ればいいと。お前にそう思わせることで、私がいなくてもその分母さんをお前がちゃんと守ってやってほしかった」


こんなにもお互いを樹を想い合っているのに、言葉にしなければ、こんなにもここまですれ違ってしまうものなんだ。

樹はこんなにも二人から愛されていたのに。


「だけどお父さんが私を守ってくれたせいで、樹は誤解してお父さんにも反抗的にさせてしまうことになってしまって・・。そして、誰かを愛するという感情も奪うことになってしまった」


仕方なかった現実なのに、REIKA社長のその言葉にまた胸が切なくなる。


「母さんのせいじゃないよ。ただオレが結局ずっと大人になれなかっただけ。きっと、どこかでオレも親父のこと意識してたんだろうね。自分もさ、親父みたいになるのかなって。ずっとどこか投げやりになってて、誰かに対してそんな気持ちになれなかった。実際自分が誰かを幸せに出来るなんて思わなかったし、そんな未来描くことも出来なかった。だけど、実際は親父は母さんへの気持ちは変わらなかったなんてね。それどころかずっと離れていても守っていたってことか・・・」


お父さんの存在は樹にとっては、きっとどれだけ口で言ってても、大きな存在には変わりなくて。

だけど意識すればするほど、きっと認めたくなかった存在。

だからこそ、今知った父親の愛情を樹はどう受け止めるのだろう・・・。





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