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他の作品のことをここでいうのは不本意ではあるのですが、ねこアーサーねこの方が思い付かないです
セカアサ短編だったら思い付くんですけど
え、一旦保留でいい?
ありがとうございます(言われてない)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキリトリーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
髭の手をとり、足の動くままに広場を抜ける。
脳が動かずとも記憶が足を動かし、人通りの少ない路地へ抜けた。
「ーここは…それに、君…」
“あっ…”
パリと言えど、ここの道を知るものは少ない。
ましてや初めて訪れた若い娘が知るような道ではなかったはず。
うかつだった。
なんとか切り抜けたいが……
“ …兄が…手紙を送ってくれたんです。
パリで画家をやっていて…大したものではないですけれど、作品が完成したから見に来て欲しいって。
添付されてた写真に、ここが写っていたんです
手紙、置いてきちゃったんですけどね “
ここ、パリの街は画家を夢見る若者が訪れる地としても有名である。
今考えうる言い訳としては、もっとも自然だろう。
「携帯は?
もしそのお兄さんの連絡先がわかるなら、今から迎えに来て貰えば… 」
” 兄は、懐古主義、といいますか…
電子機器を使いたがらないんです。
連絡も必ずアナログで、スマホなんて1ヶ月に1回見るかどうか… “
” …あ、ごめんなさい自分語りばかり…”
“私、ロージー・ホームズです。
名字で呼ばれるのは好きじゃないから、ロージーと呼んでください。
先程も言ったけれど、ここには初めて来たわ。
普段はロンドンに住んでいるの…あなたは?”
「ん?あぁ、俺はフランシス・ボヌフォワ。… それにしても…ロージー…うん、いい名前だね。
ところでロージー、君、今日は泊まっていくのかい?
もう大分日が沈んでいるけれど…」
“えっ”
気がつけば辺りはもう夕暮れ。
先程の男達など見る影もなく、寂しい路地には夕焼けのオレンジが映った。
パリの夕暮れは嫌いじゃない。朝焼けも、夜景だって、俺の家と負けず劣らずだ。
それなのに素直に『好き』と言えないのは、俺の性格のせいなのか、はたまた
相手がこいつのせいなのか…
“考えて…なかったわ…
どうしましょう…こんな都会に泊まれるほど私、お金持ってないわ。”
嘘、といいたいところだがこれは事実で、財布の中には10ポンド程度しかない。
あぁ、少し前にこいつとやけ酒をしたのが原因だ。
それにしても朝から何一つ、料理を口にしていないことに気がついた。
それに気がついてしまったのも、あいつの驚いた顔と自分の腹から聞こえる音のせいだ。
“…ぁ……ごっ、ご飯…そうだわ、この辺りに美味しいレストランなんかはあります?
ごめんなさい、私ったら…”
これはレディーの礼儀、というよりも英国紳士として恥ずべきもので、こいつの前では屈辱以外の何者でもない。
誰か俺を殺してくれ…
「…ははっ…ロージー、お金持ってないんじゃないの?
生憎俺も、お気に入りの店を2人分奢れるほどの手持ちはないかな…
…もしよければ、なんだけど」
「うちの料理、食べてく?」