テラーノベル
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「さて、結界も張り終わりました。少しくらいなら暴れられますので、いつ始めてもいいですよ」
片手で杖を持ち、2人の前に立ちはだかるジャヌス。
剣を構えるフィニス。ニティアは上空へ飛び上がった。
ジャヌスはくすりと笑みを浮かべ、魔力を込める。
「先生!怪我しても知らねーからな!」
そう言いながらジャヌスを凝視するフィニス。
「……?!」
起こりを見極めようと凝視していたはずのジャヌスが……消えていた。
「それは頼もしいですね」
後ろからジャヌスの声。振り返ろうとした瞬間……
ゴツン!
杖で頭を叩かれた。
「いってぇぇぇ!」
「魔法は攻撃魔法だけではありませんよ?素早さや攻撃力を向上させる、自己強化魔法を使う敵もいますので、注意してください」
頭を抑えているフィニスを見下ろすジャヌス。上空に魔力を感じて上を見ると、今度はニティアが大きな水の塊を精製していた。
「ふむ……」
フィニスから距離を取ったジャヌス。
「どうなっても知りませんよ!」
上空の水を破裂させる。破裂した水は雨のように広範囲に広がっていく。
そして次の瞬間……ニティアの杖が強く光る。
「なるほど」
術式を見て感心したジャヌスは杖に魔力を込め始めた。
「サンダーフロウ!」
バチチチ!!
大きな音と共に、水で濡れた床を電流が流れていく。ジャヌスの手前まで電流が流れてきたところで……
コン
杖を地面に突き刺すと、電流はジャヌスを避けるように流れていった。
「え!なんで?!」
と驚いた瞬間、自身の体に電気が流れる。
バチチチ
「キャッ!」
落下しそうになるも、なんとか踏みとどまるニティア。
「戦略としては悪くありませんが……水の中の不純物を取り除けば電気は流れなくなりますからね。そして逆に……電気が流れやすいルートを作り、あなたに導けば……勝手に自滅してくれます」
そう言い、杖を地面から抜くと、地面からニティアへ続いていた微細な金属粒子がジャヌスの元に集まり、四散した。
「くっそ……杖で殴るなんて聞いてねぇぞ……」
そう言ってジャヌスへ走り出すフィニス。
「それは流石に無謀ですね」
魔力を込めて手をフィニスに向けた瞬間、フィニスはニヤッと笑みを浮かべ、剣を思いっきり投げつけた。
「!」
少しだけ驚くジャヌス。
「それは予想外でしたが……」
魔力を込めながら杖で剣を弾く。
カン!
弾かれた剣は落下……せずに、空中で動きを止める。
「タイミングが雑ですね」
指をくるくる回し、フィニスの方へ向ける。その指の動きに合わせるかのように、剣がフィニスに向かって飛んでいった。
ストン
「あっぶね!!」
尻餅をついたフィニスの足と足の間の地面に剣が突き刺さった。
「なにやってるのよ!」
「うるせーな!」
上から大声を出すニティアに対し、剣を抜き、立ち上がりながらフィニスも叫び返した。
そんなやりとりにため息をつくジャヌス。
「ほらフィニス。そんなんじゃ……守れませんよ?」
「!!」
「?」
その言葉で火がつくフィニスと、首を傾げるニティア。
その顔を見て微笑むジャヌス。今度は攻撃魔法をフィニスに撃ち込みはじめる。
ニティアほど早くはないが……それでもその辺の魔法使いに比べたら術式構築から発動までは遥かに早い。
「ニティアの速さに比べたら……!」
108
緑山 紫苑
それにもかかわらず、フィニスは基本魔法を全て回避をしながら接近をしてくる。
そしてその後ろでは、ニティアが膨大な魔力で術式を組み始めていた。
⸻
テーブルを囲む3人。
「黒い魔女の不在……そして……分かりませんが白い魔女の出現の可能性。あくまで憶測ではありますが……不確定要素が多すぎますね」
不安そうな顔でフィニスを見ながら、ニティアがジャヌスに問いかける。
「それに……なんで魔族がこんなところに……」
確かに……またいつ魔族がニティアを狙って襲ってくるかもわからない。自分がいればまだなんとかなる敵であっても、今回のように、留守中に巻き込まれることだってあり得る。
「ふむ……」
情報も少ない……どうしたものか……
そう考えながら傷だらけのフィニスを見たジャヌスは、何かを思いついたように口を開いた。
「……シゴきますか」
「え?」
「は?」
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