テラーノベル
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騎乗位に最近ハマった
薄暗い玄関に、重たい靴音が響く。
「……ただいま」
返ってきたのは、消え入りそうなほど微かな声だった。
リビングのソファで本を捲っていた太宰治は、顔を上げることなく口角を上げた。時計の針は既に午前二時を回っている。ポートマフィアの最高幹部という肩書きは伊達ではなく、ここ数日の中原中也は、敵対組織の掃討と事後処理に追われ、まともに帰宅すらできていなかったのだ。
「お帰り、中也。随分と遅かったじゃないか。蛞蝓の歩みは相変わらず遅いね」
嫌味を投げかけながら太宰が視線を向けると、そこには信じられないほどボロボロの相棒が立っていた。 トレードマークの帽子は手元の鞄に突っ込まれ、髪は乱れ、肩で息をしている。普段なら「誰が蛞蝓だ!」と怒鳴り返すはずの男が、反論する気力すらなさそうに、ふらふらとリビングへ入ってきた。
「……悪いな、太宰。今日はもう、マジで限界だ。風呂もいい……飯も……寝る……」
「おや、それは困るな。私は君が帰ってきたら、たっぷり可愛がって『もらおう』と準備していたのだけれど?」
太宰がソファから立ち上がり、期待に満ちた瞳で中也に歩み寄る。数日ぶりの同棲生活。太宰はこの夜のために、わざわざ仕事の手を抜き、自分を「受け入れる」準備を万端に整えて待っていたのだ。
だが、中也はその手をすり抜けるようにして、そのままリビングの中央に敷かれたラグの上に膝をついた。
「ねぇ、中也?」
返事はない。中也はそのまま崩れるように倒れ込み、あろうことかフローリングの上で、いびきをかいて眠りに落ちてしまった。
「はぁ!?」
太宰の声が、静かな室内に裏返って響いた。
完全に意識を飛ばしている中也を見下ろし、太宰は絶望に近い不機嫌さを露わにする。 準備していた媚薬まがいの期待も、潤していた自身の身体も、すべてが行き場を失って熱を帯びたまま放置されたのだ。
「……全く、君という男は。恋人を待たせておいて、勝手に一人でログアウトかい。不敬だよ、中也。万死に値するね」
太宰の瞳に、昏い愉悦と我儘な光が宿る。 普通なら寝室へ運んでやるのが優しさだろう。だが、太宰治という男はそこまで物分かりが良くない。むしろ、自分の欲望を蔑ろにされたことへの報復を、実行力で解決しようと思いつくタイプだった。
「いいよ。君が起きてくれないなら、その『立派なモノ』だけ、勝手に使わせてもらうからね。文句は言わせないよ」
太宰は手早く自分の服を脱ぎ捨てた。既に準備は済ませていたが、念入りに指で自身の後ろを解き、中也の剛直を受け入れるための「入り口」を広げる。 次に、床に転がる中也のベルトを外し、スラックスと下着を力任せに引き抜いた。 疲労困憊で眠っているとはいえ、男の身体だ。剥き出しになった中也の熱源は、主人の意識とは裏腹に、太宰の指先が触れるだけで、生存本能のようにその硬さを増していく。
「ふふ、身体はやる気満々じゃないか。薄情な主人に代わって、私が可愛がってあげよう」
太宰は中也の太ももを割り、その上に跨がった。 自分の蕾を、中也の熱い先端に宛がう。中也のそれは、眠っている男のものとは思えないほど凶悪な硬度を保っていた。太宰はゆっくりと、慎重に、だが確実に腰を下ろしていく。
「……っ、あ……ぅ、ぐ……っ」
自重で沈み込む感覚。中也の熱が、太宰の狭い内壁を無理やり押し広げ、奥へと侵入してくる。 太宰は中也の肩に手を突き、震える呼吸を整えながら、一気に根元まで飲み込んだ。
「は、ぁ……っ。……っふ、すごい……。中也、いないのに……中に、いる……っ」
自分一人で勝手に繋がった背徳感と、数日ぶりに埋められた充足感。 太宰は中也の胸板に手を置き、自ら腰を上下に動かし始めた。 中也の無意識な拍動に合わせて、中が締め付けられる。太宰は恍惚とした表情で、眠る男を見下ろしながら、勝手に快楽を貪り続けた。
しかし、その衝撃と、粘膜が擦れ合う卑猥な音、そして自分を締め付ける熱い肉壁の感触。それらが「獣」としての本能を呼び覚まさないはずがなかった。
「……ん、……ッ、が……?」
中也の喉が、微かに鳴った。 太宰は腰を振るのを止めない。
「あ、起きた? おはよう、蛞蝓くん」
中也の瞳が、ゆっくりと、だが焦点が合うにつれて驚愕に染まっていく。
「……おま、……太宰……? なに、して……っ、あ……!?」
視界に入ってきたのは、自分に跨がり、涙目で、それでいて勝ち誇ったような笑みを浮かべて腰を振る恋人の姿だった。
「なにって、見ての通り。君が寝ちゃうから、勝手に挿れさせてもらったよ。気持ちいいよ、中也」
「ふざ、けんな……っ。俺は、寝……っ、あぐぅっ!」
中也が起き上がろうとした瞬間、太宰がわざと深く腰を落とし、中也の最奥にある一番敏感な場所を自ら潰しにいった。
「あ、はぁ……ッ! ああああッ!」
「おまっ……、勝手に、ッ、動くんじゃ……ねぇ……っ!」
中也の脳内が、一気に覚醒した。疲労による睡魔など、この異常な状況と直結した快楽の前では無力だった。 中也の瞳に、野生の光が宿る。
「……てめぇ、勝手な真似しやがって……!」
「ひゃっ……!? あ、ぁ……っ!」
中也の大きな手が、太宰の腰をガッシリと掴んだ。もはやそれは、介護でも愛撫でもない。獲物を逃さないための、マフィアの「手」だった。
「寝てりゃいい気になりやがって。……そんなに欲しかったんなら、最後まで付き合えよ」
「あ、が……ッ! まっ、待って、中也……っ、はや……いッ!」
形勢は一瞬で逆転した。 仰向けのままの中也が、下から突き上げるように腰を跳ねさせる。太宰の自慰のような緩慢な動きとは違う、力強く、容赦のない「攻め」の衝動。
「あ、ぁ、ああああああああッ!!」
太宰の視界が火花を散らす。中也の重力が、太宰の全てを支配していた。
「奥……っ、突きすぎ、だ……ッ! 中也、中也……ッ!」
「うるせぇ。自分で挿れたんだろ。……責任、取らせてやるよ」
中也は太宰の背中に腕を回し、逃げられないように密着させると、さらに激しく、深く、自らの熱を叩き込んだ。 床に後頭部を打ち付けながらも、中也は止まらない。溜まりに溜まった数日分の欲求と、叩き起こされた怒り、そして太宰へのどうしようもない愛着が、一気に「掘る」という行為に変換される。
「あ、ひ、っ、ひぐ……っ! ごめ、なさい、中也……っ、もう、無理……ッ!」
「嘘つけ。締め付けが、酷くなってんぞ……ッ!」
中也の声もまた、情欲で掠れている。 リビングには、肉と肉がぶつかり合う激しい音と、太宰の理性を失った鳴き声だけが響き渡った。
何度も何度も、地獄を見せるような激しい突き上げが続く。 太宰は白目を剥き、よだれを垂らしながら、中也の首にしがみつくしかなかった。 自分から仕掛けたはずなのに、今や中也という暴風に飲み込まれ、ただ蹂躙されるだけの存在に成り果てていた。
「あ、が……ッ! 出る、中也、出る……っ! ああああぁぁぁッ!!」
「……一緒だ、太宰……ッ!」
中也が太宰の身体を強く抱きしめ、最奥を貫いたまま、熱い塊を解き放った。
静寂が戻ったリビング。 繋がったまま、荒い息を吐きながら二人は重なり合っていた。 中也は再び、極限の疲労と賢者タイムの波に襲われ、太宰を抱いたまま目を閉じる。
「……ったく、……次は……、布団で、させろ……」
「……地獄、だったよ……。中也、……力、余りすぎ……」
太宰はぐったりと中也の胸に顔を埋めた。 同棲生活のルールに「寝ている相棒を無理やり使うべからず」という項目を追加すべきだと、太宰が震える足で痛感したのは、もう少し後の話である。 結局、中也の腕の中で眠る安心感に勝てるものはなく、二人はそのまま床の上で、朝まで深い眠りにつくのだった。
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