テラーノベル
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「俺昼寝してたんだけど母さんがmf君の声聞いて起こしに来てくれたんだー」
「あぁ、あの時茂みから俺のこと見てたのはdnのお母さんだったのか」
「そー、呼ばれてるって言われてびっくりしちゃった。…mfくん帰ってくるの早かったね?」
この前みたいに一緒に川辺に座ってから俺はどうしてこんなに早くここへ来れたのかを説明した。用意していたお土産を渡すとdnさんはとても喜んでくれてこちらも笑顔になる。もっとdnさんと話をしていたいけど、家に戻らなくては。
「そろそろ帰らないとマジで母さんキレそうだから帰るとしましょうかね、dnまた明日」
そう言って立ち上がるとdnさんは小さくあっ、と言いきょときょとと目を泳がせた。なんだなんだ。
「なに、どうかした?」
「もらった果物冷やしておくから夜一緒に食べませんか、こんなにいっぱい、母さんと二人じゃ食べきれないし…」
「え、いいの?俺は嬉しいですけど…」
その言葉にdnさんはうんうん頷いて、また夜ここで待ってるねと俺に手を振って山へ戻って行った。しばらくその背中を見送って俺も腰を上げる。さて母さんに怒られないうちに戻って仕事しますかねー。
家に帰ると、両親が何やらたくさんの書類を囲んで話し込んでいるみたいだった。さり気なく横に座り話しかけてみる。
「ごめん遅くなったー、何話してんの?」
「mf遅かったじゃない、…おじいちゃんの書類を確認してるのよ、解約しなきゃいけないものとかあるかもしれないでしょ」
「ああー、じいちゃん亡くなるの急だったもんな」
「この山もどうするかなぁ、手放すにしても田舎だからなかなか買い手つきそうにないし、」
「待って待って待って、この山ってじいちゃんの山なの!?」
「そうだよ、だからおじいちゃんmfつれてあの山で色々採ったりして遊んでくれただろ?他の人の山だったら不法侵入だよ」
父さんが笑いながらこぼした言葉に俺は目を丸くした。じゃあじいちゃんの山でdnさんはずっと暮らしていたってこと?それで偶々山から下りた時にじいちゃんに会って二人(って言っていいのか分かんないけど)は仲良くなった?それにしては、何かが引っかかる。その違和感の正体があともうちょっとで分かりそうな時、父さんがあれっ?と声を上げた。
「…これmf宛だ、おじいちゃんから」
「俺?」
「読んでみな」
渡された封筒には確かに見覚えのあるじいちゃんの達筆な字で「mfへ」と書いてある。しっかりと糊で封がされていて大切な手紙だということが分かった。俺は両親から離れてソファに座り手紙を開封した。
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