なんと絞り出した言葉は
若井さんの名前だった。
大森さんは一瞬驚いた顔をした後、少し眉を上げてにやりと笑った。
…..
「若井かぁ〜。」
その声が妙に引き延ばされていて、完全に楽しんでいる感じが伝わる。
「そっかそっか。うんうん。若井ね。」
わざとらしくうなずく彼の態度に、なんだか見透かされてる気分になる。
「い、いや、あの、 若井さんも好きなんですけど、、、その……、、」
もう、本人に伝えれる機会もないだろうし、
慌てて訂正しようとするけれど、
本人を前に、言葉が詰まって出てこない。
そんな私をじっと見つめていた彼の視線が、机の上のスマホに向かう。
「ねえ、それ、ちょっと見せて。」
低くて甘い声。
彼は、 ただ 話をしてるだけなんだろうけど。
艶のある声に ドキッとしてしまう。
彼はスマホケースの背面に
挟まっているカードに
最初から気づいていたらしく、
人差し指をそっとそこに滑らせ
ニヤリと笑った。
「……これ、何?」
彼の口元に浮かんだ笑みが、意地悪で胸がギュッとなる。
スマホケースに挟まれていたのは、大森さんのフォトカードだった。
「若井が好きって言ってたのに、
これ……完全に俺じゃん。」
彼は楽しそうに私を見下ろした。
その余裕たっぷりな態度に、
恥ずかしさで頭が真っ白になる。
「あっ、ち、違……! それは……!」
「違うって何が?」
「………っ」
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コメント
3件
やばぃ、好きです、
お見通しな感じまじで好きです
全部知られてる感じほんと好き