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『初音ライダー剣』

第3話

“不死”

 

初音ミク/仮面ライダーブレイドと巡音ルカ/仮面ライダーカリス、2人のライダーが山道の池の畔で面と向かって対峙する。

ミク「あなた…一体何者なの?私たちと同じライダーみたいだけど…」

ルカ「…」

ブレイドはカリスに問う。しかし、カリスは無言でブレイドを睨む。

ミク「…もしライダーなら、私たちの仲間になって、一緒に戦って!」

ルカ「…クク。」

ミク「な、何?」

ルカ「そんなものはいない。私には全てが敵だ。お前もな!」

ブレイドはカリスに共闘を呼び掛けるが、カリスはそれを容易く一蹴し、カリスアローを振るってブレイドに斬りかかる。

ミク「うッ!?」

ブレイドはカリスの斬撃を正面から受け、思わずよろけてしまう。カリスは容赦なく、次の一撃をブレイドに浴びせようとカリスアローを振り下ろす。ブレイドはこれをブレイラウザーで受け止めようとするが、受けきれずに直撃をくらってしまう。

ミク「く…」

カリスの圧倒的な力の前にブレイド/ミクは歯噛みする。ブレイドはカリスの攻撃に押されて防戦一方となり、そして、その中で足を踏み外して崖から落ちてしまう。

ミク「うわあああっ!?」

ルカ「…雑魚が。」

カリスは崖から転げ落ちていくブレイドに興味なさそうに台詞を吐き捨て、その場を去った。

 

MEIKO「ミク!ミク!」

ミク「う…」

崖の下の林で倒れていたミクの目を覚ましたのは、MEIKOの声だった。

ミク「…MEIKO姉さん?」

MEIKO「ミク、何があったの?アンデッドは?」

ミク「…ちょっと待って。まだ体が…」

MEIKOは性急にミクから話を聞こうとするが、体のダメージが回復しないミクはそれについていけない。

MEIKO「…ごめん。ちょっと焦ったわね。立てる?」

ミク「…うん、何とか。」

MEIKO「近くに喫茶があったわね。そこで話聞くから、行きましょう。」

MEIKOはミクを気遣い、ミクをバイクの方へ誘導する。そして、2人はバイクを押して進み始めた。

 

喫茶店についたミクとMEIKOは適当な席につくと、そこでMEIKOはコーヒー、ミクはカフェラテを注文して、それらを飲みながら会話をしていた。

MEIKO「黒い仮面ライダーみたいなヤツ?」

ミク「うん。それもすごく強い。」

ミクの話を聞いたMEIKOは、あることが頭に浮かんだ。

MEIKO「…ひょっとして、そいつがカリスってヤツかもしれないわね。」

ミク「知ってるの?」

MEIKO「見たことはないけど、聞いたことはある。アンデッドの中でも高い戦闘能力を持つカテゴリーA(エース)で最強と謳われる、伝説のアンデッドね。確か。」

カテゴリーA。ブレイド、ギャレンのバッテリー源となるアンデッドだ。ブレイドのは♠Aのカードに封印されたカブトムシのアンデッド、ギャレンのは♦Aに封印されたクワガタムシのアンデッドの力がパワーの源、いわば電池となっている。これらのカードがないと、ブレイド、ギャレンに変身できない。

MEIKOはさらに話を続ける。

MEIKO「カリスがライダーに似てるのは分かるわ。私たちが使うライダーシステムはカリスのデータを参考にして造られたから。」

ミク「そうなの?」

MEIKO「そう。知ってるでしょ?ライダーシステムはカテゴリーAを動力源にしてるから。カリスもそのカテゴリーAの1種だし、私たちが使うラウズカードやブレイラウザー、ギャレンラウザーもカリスの武器を参考に造られてる。」

 

ミク「へえー…でも、あのカリスてヤツの目的は何なんだろ?」

MEIKO「さあ?多分、アンデッドなら自分たちの種族の繁栄でも考えてるんじゃない?」

アンデッドは自分たちの種族の繁栄のため、地球の覇権をかけて1万年前にバトルロワイヤルを繰り広げてきた。それはアンデッドの使命であり、本能だ。MEIKOはそう思う。しかし、ミクの言葉がそれを否定しようとする。

ミク「でも、あの時カリスは”全てが私の敵だ!”って言ってた。」

MEIKO「…それを聞くとヤツの目的が分かんないわね。だったら何のために戦ってるのよ?」

MEIKOは呆れた。カリスが全てを敵と見ているなら、自分の同胞でさえ敵になる。それなら、アンデッドの使命・本能はどうしたのか、と思ってしまう。そんなことを話しているとき、横から2人の少女が割って入ってきた。

?「あの、ひょっとしてBOARDの方々ですか?」

ミク「へ?そ、そうですけど…」

ミクは少し驚いて、話しかけてきたピンク色の髪をした少女の問いに率直に答える。

?「やっぱし!ねえ、ちょっと話聞かせてよ!」

黄色の髪をした少女がミクに迫る。

ミク「へ?」

ミクはキョトンとする。2人の少女は好奇心旺盛に、ミクたちに話を持ち掛けてくる。しかし、MEIKOはそれに消極的だ。

MEIKO「取材ならお断りよ。守秘義務があるんだから。」

リン「大丈夫、取材とかじゃないから。あ、まずは自己紹介するね。私、鏡音リンっていうの。で、こっちが…」

モモ「桃音モモです。よろしくお願いします。」

リンとモモは揃って自己紹介と挨拶をした。

ミク「私、初音ミク。BOARDで仮面ライダーをやってるの。よろしく。」

MEIKO「ミク!得体の知れない相手に自分がライダーだなんて名乗らないの!」

MEIKOは自分が仮面ライダーだというミクを強く叱る。

ミク「で、でも、もう名乗っちゃったし…それに、この子たち、悪い人じゃなさそうだよ?」

MEIKO「…話なら手短にしてよ?」

ミクのお人好しにはMEIKOも呆れ、リンとモモを受け入れることにした。

 

リン「へえー、そんじゃ、ミク姉はライダーになったばっかしなんだ。」

ミク「うん。訓練はしてたけど、実戦はまだ2回目。それも1人立ちじゃなく、MEIKO姉さんに付いて行ってる。」

リンの持前の明るさに、ミクはすぐに彼女と打ち解けた。リンは早速、ミクの

ことを「ミク姉」と呼ぶようになった。

モモ「でも、大変ですよね?戦闘に出るのって。しかも相手になるアンデッドていうのは人外のバケモノなんですよね?」

MEIKO「そのバケモノと戦うためのライダーシステムよ。」

モモはリンとは逆に大人しめに会話を進めていく。

ミク「確かに給料は高くないし、人外のバケモノと戦ったりで大変だけどさ、この仕事が嫌だと思ったことはないな。」

リン「へ?何で?」

ミク「この仕事で給料以上のモノをもらってるから。自分が戦うことで誰かを守れるなら、それも悪くないな、てさ。」

リン「へー…」

モモ「立派なんですね、ミクさんって。」

MEIKO「…」

ミクはライダーとして戦うことにある種の「誇り」を抱いていた。自分がアンデッドという人外のバケモノと戦うことで誰かの”生命(いのち)”を守り、助けられるなら、それは凄いことだ。胸を張って誇っていい。ミクはそう考えている。モモはそれが立派だと思った。リンとMEIKOはそんなミクが少し眩しく感じた。そんな折、BOARD支部から通信が入ってきた。

ウタ「街中にアンデッドが2体出現!ギャレン、ブレイドは現場に急行してください!」

ミク「へ!?」

MEIKO「今日3回目ね。ミク、行くわよ!」

ミク「うん!」

MEIKOとミクは通信を聞いて席を立った。

リン「ミク姉…」

モモ「ミクさん、MEIKOさん…」

ミク「ありがと。でも大丈夫。」

リンとモモはミクたちを心配そうに見遣る。ミクはそんな2人に礼を言うと、ブレイバックルを取り出す。

ミク「特別に見せてあげるね。」

ミクはそう言って、ブレイバックルを腰に装着した。そして、変身のポーズを取る。同時に、MEIKOもギャレンバックルを装着する。

ミク「変身!」 MEIKO「変身!」

「TURN UP」 「TURN UP」

ミクとMEIKOは変身と叫んだ後、バックルの中央を回転させ、オリハルコンエレメントを投影させる。そして、2人はそれぞれのオリハルコンエレメントを潜り、ミクはブレイドに、MEIKOはギャレンに変身する。その後、ブレイドはブルースペイダーに、ギャレンはレッドランバスに跨り、それぞれマシンを走らせてアンデッドが現れた現場へ向かっていく。

 

ブレイドとギャレンはバイクでアンデッドの現れた街へ来た。アンデッドは2体出現したと聞いたため、2人は手分けしてアンデッドを追うことにした。そして、ブレイドはショッピングセンターの付近で通行人を襲っているジャガーアンデッドを見つけた。

ミク「見つけた!」

ブレイドはジャガーアンデッドを見つけると、ブルースペイダーを降りてブレイラウザーを抜刀し、戦闘態勢に入る。しかし、ジャガーアンデッドはブレイドを見るなり、ブレイドに背を向けて、垂直な壁を駆け登って行き、ビルの駐車場の中に消えた。

ミク「…ッ!」

ブレイドは再びブルースペイダーに乗ってジャガーアンデッドを追撃する。しかし、それこそがジャガーアンデッドの罠だった。ブレイドがブルースペイダーで駐車場を走っているその時、ジャガーアンデッドはブレイドの横から奇襲をかけてブレイドをブルースペイダーから降ろし、転倒させた。

ミク「うッ!?」

ブレイドはすぐに体制を立て直し、ブレイラウザーを抜刀し、ジャガーアンデッドに斬りかかろうとするが、ジャガーアンデッドはまたもや逃げてしまった。

 

同じ頃、ギャレンはビルの間の路地に入り、ドラゴンフライアンデッドの縄張に入っていた。ドラゴンフライアンデッドは配下の蜻蛉を飛ばして情報を収集し、ギャレンが自分の縄張に入ってきたことを確認すると、ギャレンの背後から襲いかかってきた。

MEIKO「ッ!?」

ギャレンはドラゴンフライアンデッドの奇襲を受け、転倒してしまう。しかし、すぐに体制を立て直し、ギャレンラウザーを向けるが、ドラゴンフライアンデッドは空を飛び、ギャレンの銃撃を難なく回避する。

MEIKO「ッ!」

歯噛みするギャレンはギャレンラウザーのオープントレイを開き、ラウズカードを取り出そうとする。しかし、その隙に横から出てきたジャガーアンデッドがギャレンに体当たりを仕掛ける。

MEIKO「うッ!?」

転倒するギャレンはすぐに体制を立て直そうとするが、ジャガーアンデッドは両腕のクローでギャレンを攻撃してくる。さらに、ドラゴンフライアンデッドもダガーを持って空中からギャレンを襲う。ギャレンは紙一重でドラゴンフライアンデッドの攻撃を回避するが、直後にジャガーアンデッドがクローで攻撃を仕掛けてくる。2体のアンデッドは連携こそ取れていないが、素早さと飛行能力でギャレンを追い詰めていく。だが、それも束の間、ブレイドがブルースペイダーで路地を走ってそのままジャガーアンデッドに突っ込み、ジャガーアンデッドを弾き飛ばした。

MEIKO「ミク…」

ミク「ごめん、コイツは任せて!」

ブレイドはブルースペイダーを降りると、ブレイラウザーのオープントレイを開いて♠5と♠6の2枚のラウズカードを取り出す。「KICK」と「THUNDER」のカードだ。

「KICK」

「THUNDER」

ブレイドは2枚のカードをブレイラウザーにラウズすると、左腕でブレイラウザーを逆手に持って体を捻り、ブレイラウザーを天に掲げた後、地面に突き刺す。

「LIGHTNING BLAST」

音声の後、ブレイドは高くジャンプして空中で前転した後、電撃のエネルギーを纏った右足を突き出し、ジャガーアンデッド目掛けて飛び蹴りを敢行する。

ミク「らあああッ!」

ブレイドはジャガーアンデッドを蹴り飛ばす。ジャガーアンデッドはブレイドの蹴りをくらって大きく弾き飛ばされ、その場に倒れ転げ、アンデッドクレストを開いた。ブレイドはすかさずそこに空のラウズカードを投げ入れ、ジャガーアンデッドを封印する。

その後、ブレイドとギャレンは残ったドラゴンフライアンデッドを睨むが、ドラゴンフライアンデッドは空を飛んで逃げてしまった。

ミク「逃げられた…」

MEIKO「…こっちも疲れてるし、追撃は少し待ちましょう。それに空を飛んでたら捕まえられない。」

ブレイドは追撃を考えたが、ギャレンは制止する。ダメージもおあるが、空を飛んで逃げられることを考えると、断念せざるを得ないと考えたからだ。

 

逃げたドラゴンフライアンデッドは山岳に身を隠そうとしていた。その様子をバイクで走る巡音ルカが見かけ、ドラゴンフライアンデッドを追撃する。当然、ドラゴンフライアンデッドはその追撃に気づかない。

ルカ「変身!」

「CHANGE」

ルカは♥Aのカードを取り出し、カリスラウザーにラウズしてカリスへと変身し、そのままドラゴンフライアンデッドを追う。

ドラゴンフライアンデッドが山の崖に着地したそのとき、視線を感じた。カリスだ。カリスはカリスアローを振るい、ドラゴンフライアンデッドに斬りかかる。ドラゴンフライアンデッドはカリスの圧倒的なパワーとスピードに押され、空中に逃げようとするが、カリスはそれもさせまいとさらにパワーを発揮し、ドラゴンフライアンデッドを追い詰めていく。そして、ドラゴンフライアンデッドが飛ぶ力もなくなる程疲弊したとき、カリスはカリスラウザーをカリスアローに装着し、♥5と♥6、2枚のラウズカードを取り出してカリスラウザーにラウズする。

「DRILL」

「TORNADE」

2枚のラウズカードの絵がカリスにオーバーラップされ、音声が鳴る。

「SPINNING ATTACK」

カリスは高くジャンプし、竜巻を纏って空中で体を縦に回転させ、そのままドリルキックを繰り出し、ドラゴンフライアンデッドに突っ込む。ドラゴンフライアンデッドはこれの直撃を受けてその場に倒れ伏し、アンデッドクレストを開いた。カリスはそこに空のラウズカードを投げ入れ、ドラゴンフライアンデッドを封印する。

ルカ「…」

戦闘が終わった後、カリスはルカの姿に戻り、山を後にした。

 

ユキ「お帰り、お姉ちゃん!」

ルカ「ただいま。」

ルカはユキの家で居候になっていた。ユキがルカになついて以来、ユキは何かとルカを家に呼びたがる。ルカもそれに乗り気で、ユキの誘いを受けて、現在ではユキの家に居候になっている。だが、一方でルカは何故自分がそういう気になったか、未だ自分に問うても答えの出ない疑問を抱えていた。


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