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その後の授業中、俺は先輩の事を考えていた。
(これからどうすればいいんだろう…)
そう思った時、昼休みの先輩の言葉を思い出す。
″ 迷惑とかそんなの、気にしなくていいよ。俺は迷惑なんて思わないし。俺はただ、春人くんといれればそれで…″
(俺だって、先輩といれればそれでいいよ。周りの事なんて気にしなければいい)
そして放課後、俺は図書室へ向かう。先輩はまだ来ておらず、俺はカウンターで座って待った。少しして先輩が来る。先輩が隣のイスに座ると、俺は先輩を見て言う。
「昼はすみません。俺、冬馬先輩の気持ち全然分かってませんでした」
俺のその言葉に先輩はニコっと笑う。
「もしかして、授業中ずっと俺の事考えててくれたの?」
「まぁ、ずっとではないですけど考えてましたよ。俺、冬馬先輩の事好きですし」
そう言ってから俺はハッとする。
「あ、すみません。こういう事、今は言わないほうがいいですよね」
「まぁ、そうかもね。でも、すごい嬉しいよ。俺みたいな人気者には興味無かった春人くんが今は自然と好きって口に出ちゃうくらい俺の事好きになってくれたんだもんね」
「まぁ…てか、興味無かったの結構気にしてます?」
「ちょっとだけ。別にそんなに気にしてないよ。俺に興味無い人くらいいるだろうし」
「でも、ちょっとは気になるんですね」
「まぁ、好きな人に興味無いって言われたら多少はね」
先輩はそう言ってニコッと笑う。そんな先輩を見て、俺の心臓がドキッとする。
(好きな人…)
友達としての好きだと分かっているのにドキッとしてしまった俺は、不意に目を逸らした。
次の日の昼休み、図書室のカウンターで座っていると、図書室に入ってきた生徒が俺たちを見て言う。
「あれ、噂の2人じゃん」
「ホントだ。ゲイカップル〜!ヒューヒュー!」
冬馬先輩はそんな生徒達を呆れた顔で見る。
「くだらない。あんなのほかっとけばいいよ」
「そうですね」
次の日からもそういう事を言う人がいたが、俺達は気にせず、一週間の当番を終えた。
それから俺達はいつも通り接するようになった。そんなある日、先輩の教室に行くと、委員長が俺の元へ来る。
「今日冬馬休みなんだよね。なんか、熱出ちゃったみたいで」
「あ、そうなんですね。ありがとうございます」
「うん」
委員長はそう言って席に戻る。俺もその場を去ろうとしたが、教室から聞こえてくる声で俺は足を止める。
「また来たよ。ホント迷惑。自分のせいで冬馬くんに迷惑かかってるって分かんないのかな」
「ね。冬馬くん優しいから気使ってるだけなのに勘違いしてさ。今回の熱も気遣い過ぎたのが原因なんじゃない?」
「たしかに、そうかも〜」
そう言ってアハハと笑う生徒達を背に、俺は歩き出した。
いつも歩く廊下がなんだか今日は居心地が悪い。みんなに見られている気がする。周りから聞こえるボソボソ声が全部自分に向けられたものだと思ってしまう。
俺は足早に教室に戻った。その後の授業中、ノートを取りながら俺は考える。
(冬馬先輩、俺に気使ってるのかな。でもたしかに、俺のせいで色々言われてるのには違いないし…)
そう思いながらノートを取っていると、シャーペンの芯がポキっと折れる。その瞬間、心に不安な気持ちが込み上げた。心がずっとモヤモヤして息もしづらい。
(俺が先輩といなければ、先輩も何も言われなくなるんだよね)
そして授業を終え、帰りの挨拶をすると、俺は下駄箱に向かった。3年生がまだ帰っていないのを見て、俺は下駄箱で待つ。しばらくして委員長が来る。委員長が俺に気付き、こっちへ来る。
「柳くん、誰か待ってるの?」
「はい。委員長に聞きたいことがあって」
「俺に?」
「はい。ちょっと冬馬先輩に話があって。だから冬馬先輩の家教えて欲しいんですけど、いいですかね?」
「もちろんいいよ。俺もこのあとお見舞い行こうとしてたし、一緒に行こっか。冬馬も喜ぶと思うよ」
そう言って委員長はニコっと笑った。
その後学校を出て俺は委員長の横を歩く。しばらく歩いて一軒家の前で止まる。
「ここ。冬馬の家」
そう言った後、家のチャイムを鳴らす。少ししてドアが開き、冬馬先輩が出てくる。
「どうしたの?二人して」
「何って、お見舞いだよ」
委員長がそう言うと、冬馬先輩はふふっと笑う。
「1日休んだくらいで別にいいのに」
「冬馬が風邪引くなんて珍しいからさ。来ちゃった」
(珍しいんだ…やっぱり、俺のせいなのかな…)
「なるほどね。まぁ、春人くんも来てくれて嬉しいからいいけど」
そう言って冬馬先輩はニコっと笑う。そんな先輩を見て委員長は言う。
「ちょっと。俺が来たことにも喜んでよね」
「はいはい。嬉しい嬉しい」
「全然嬉しそうじゃないじゃん」
「まぁまぁ、とりあえず入って」
「お邪魔しま〜す」
委員長はそう言いながら中に入る。そんな委員長に俺も続いた。
「お邪魔します」
「どうぞ」
冬馬先輩はそう言った後、歩き出す。委員長は既に奥の方へ進んでいた。俺が冬馬先輩について行くと食卓に出る。食卓では委員長が椅子に座っていた。
「冬馬。客だぞ。茶を出せ」
「あのさ愛斗。俺病人」
冬馬先輩がそう言うと、委員長はふふっと笑う。
「冗談冗談。ちょっと様子見に来ただけだし、すぐ帰るよ。柳くんも話あるみたいだし」
「話?なに。春人くん」
そう言って冬馬先輩は俺を見る。
「えっと…」
俺がそこで口を噤むと、委員長が立ち上がる。
「俺、もう帰ろうかな。勉強したいし」
「まだ来たばっかじゃん」
「ほんと、ちょっと様子見に来ただけだからいいの。元気そうだし」
「まぁ、熱ほぼ下がったし今日寝れば大丈夫だと思う」
「良かった。じゃあ、また明日学校でね」
そう言って手を振った後、委員長は玄関に続く扉を開けて出ていった。
「帰るの早っ。まぁ、いいけど。それで春人くん、どうしたの?」
「あぁ…えっと…」
俺がそこで再び口を噤むと、冬馬先輩は椅子に座る。
「話しづらいことかな。とりあえず座って」
そう言いながら冬馬先輩は机をポンポンと叩く。そんな先輩に促され、俺は椅子に座った。
冬馬先輩は俺の事を笑顔で見つめ、俺の言葉を待つ。そんな先輩を見て、俺は口を開く。
「冬馬先輩」
「なに?」
(俺の好きと先輩の好きは違って、俺は絶対いつかボロを出す。そのせいで先輩にもっと迷惑がかかるのは絶対に嫌だ。だから…)
俺は深呼吸をした後、口を開く。
「俺達、しばらく距離置きませんか?」