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今回も同期組でないです
花織ちゃんの過去編です どうぞ
あの日、私達は逃げ出した
私から全てを奪ったあの場所から….
《桑島さん視点》
おい!誰か出てきたぞ!
鬼の子供2人だ保護しろ!
桃の研究所が判明したとの情報に俺たち戦闘部隊は突入するタイミングを見計らっていた
すると突然、血まみれの高校生くらいの少年とその少年に背負われた少女が研究所の裏口からフラフラとした足取りで飛び出してきた
俺達はまず少年の怪我を確認しようとした
が少年は必死な声で叫んだ
おりを!妹を先に!
おりとは妹の名だろうかその必死な様子に俺は思わず声をかける
その子は無傷だ お前の方がよほど重傷だ
その言葉にハッとしたように少年は俺を見上げる そしてすぐ、2人の子供は援護部隊のもとへ連れていかれた
2人の子供の避難を合図に突入する
だが建物内の異様な状況に息をのんだ
研究所の桃は全員左足を深々と刺されて悶絶していたのだ
なんだこの状況は
不気味に思いながらもふと数分前の記憶が頭をよぎる
そういや、あのガキも左足怪我してなかったか?
囚われていた鬼たちを助けた後、 俺は援護部隊の医務室に向かった
医務室では先程より顔色が良くなった少年と隣で静かに眠る少女がいた 俺は少年に話しかける
俺は桑島っつーもんだ。お前、名前は?
少年はぽかんとしていたがすぐに花が咲くように優しく微笑んだ
オレは歌踊南久阿(かよう なくあ)です
こっちは妹の花織。保護していただいて本当にありがとうございました
丁寧すぎる態度にタジタジしながらも俺は続けて問いかけた
なぁ、お前の能力って…..
すると南久阿は困ったように眉を下げた
オレもまだちゃんと把握できてなくて…
つい昨日覚醒して、隙をうかがって妹を連れて逃げてきたんです
多分視界にいれた人間と俺の感覚、例えば傷なんかを共有させるって能力だと思います
その言葉を聞き納得したあれはやはりこいつの能力か
ん?だが待てよ ならこいつはあの人数の桃相手に左足を何十回も刺しながら妹を背負って逃げてきたってことか?
だとしたら相当な精神力と根性だな
お前、鬼機関に入らないか?
ふと思いつきそう提案する
南久阿は少し悩んだあとスっと真面目な顔になり逆に問いかけてきた
そこに入れば、妹を守ることはできますか?
…ああ、もちろん
どこまでも妹思いな少年に俺はよろしくなと声をかける すると南久阿はどこまでも人の良さそうな顔で笑った
よろしくお願いします 桑島さん
それから数週間後、羅刹に通うという基本的な段階をぶっとばして南久阿は戦闘部隊の隊員として迎えられた
2年後
《花織視点》
ねえ兄さん、どうして私は鬼機関に所属させてもらえないの?
まだおりには早いからかなぁ~
いつも笑顔を絶やさない兄からのブレない返事にため息が出る
このやり取りももう何回しただろう
昔からこの人は優しすぎる、そして私に対しては呆れるほど過保護なのだ
しかしあいにく私には年相応の愛嬌も兄のような優しさも笑顔も温厚さも持ち合わせていない
仕方がないか、そう決め込んでいつものようにあのゴツくてうるさい隊長のもとへ向かった
桑島さん、稽古つけてください
まぁ~た南久阿にはぐらかされたんだろ?懲りないやつだな
そうはいっても仕方ないじゃないか 私だけタダ飯食べさせてもらうなんて落ち着かない
私がここの居候になってはや2年
何の不都合もなく生活している
どこに不満があるかって?それは単に気がすまないからに決まってる
みんな命をかけて仕事しているのに私だけ…
きっとその劣等感にもこの人達は気づいてる それでも兄との約束か何かだろう
この隊長も頑なに私の鬼機関への所属を許さない
だからせめて….
体術くらいは教えてくれてもいいでしょう?
向上心がありあまってるなー、 仕方ねぇ
やるかぁ
私は強くなりたい
あの人のように誰かを守れる優しさと強さが欲しい
あの日まではそう思っていた
過去編もう1話続きます
お兄さんの南久阿(なくあ)という名前ですが語源はクトゥルフ神話に登場する蜘蛛の神様の名前を参考にさせて頂きました!
それではまた次のお話で!