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私はその日、ヨレヨレのワンピースに着替え、髪を適当に束ね、もちろん化粧などせずに、薬部屋で調合していた。
そろそろ、ゆず酒が出来上がっている頃だ。
私はゆず酒をコップに注いで味見する。
うーん、少し濃いかな?
そんな事をしている時、女官のサリーが薬部屋のドアを叩いた。
「まぁ!
マリーナ様!
そのような格好で!
今日はシャルルダルク様がこちらに遊びに来る日ですのよ!」
「構わぬ。
シャルルダルク様は私のこのような格好は見慣れております。
この格好のままで良い。」
「はぁ…」
サリーは眉間にシワを寄せて、ため息を吐いて薬部屋から出て行った。
やはり、薬を煎じている時が一番楽しい。
そう思った。
しばらくすると、またドアが鳴った。
「はい!
お入りくだされ!
今手が離せぬゆえ!」
すると、シャルルダルク様が入ってきた。
「とんだ出迎えだな。」
「シャルルダルク様はお酒は飲まれまするか?」
「あ、あぁ、まぁ、強い方だ。」
「では、今から酒会といたしましょう!」
私はゆず酒の大瓶を持って薬部屋から出て、大理石のテーブルの上に乗せた。
「なんだか、嗅いだ事のない匂いだ。
その酒は何というのだ?」
「ゆず酒にございます。」
私はコップに注ぎながら、答える。
「ほぉ。
ゆずを酒に、か。」
「えぇ、貧血や低血圧に効きまする。
ゆず酒は多少強いので、水と蜂蜜で薄めましょう。」
「そなた、飲めるのか?」
シャルルダルク様は尋ねる。
「割と飲めまする。」
そして、女官は席を外し、シャルルダルク様と私の酒会が始まった。
「うむ、旨い。」
「…そうでございますか。」
「何か言いたそうだな?」
「シャルルダルク様こそ、何か言う事があるのでは?」
「あ、あ、あるわけなかろう!」
シャルルダルク様が言い、グイッと酒を飲む。
「レガット様から、シャルルダルク様は女子に本気にならぬと聞きました…」
「…そんな事はない。
実際の俺の言葉よりレガットの噂を信じるのか?」
「…では、お尋ねしまする。
あの時の…口づけは…何故なのですか…?」
「あ…れ…は!
その…!
あれだ!
その…」
シャルルダルク様は困った顔で俯いた。
「もう、分かりました。
シャルルダルク様のお遊びに過ぎぬのですね。」
「お遊び…?
俺が女遊びで口づけたと申すのか…?」
「…酔いが回ってきました。
今日はこれにて酒会はお開きにいたしましょう。
サリー!
シャルルダルク様がお帰りです!」
「そなたの様な可愛いくない女子は知らぬ!」
「可愛く無いのは、お互い様でございましょう!」
私達はまたしてもケンカ別れした。