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「あっ、まだ起き上がらない方が…」
重い身体を起こし、辺りをキョロキョロと見回す。まずは、状況把握から。
まず私が今いるのは多分、彼の部屋だろう。
ツッコミは置いといて。
彼の部屋はちゃんと整理されていて、私が寝やすいようにしてくれていたのか、元々置いていたのか。それは分からないけど、ベッドの横にはアロマが焚かれていていい匂いがした。
彼の机の上にはPCが1台置かれてて、その横の棚にはゲーム機や、漫画や、フィギュアとかが色々置かれている。並びも綺麗で、私の部屋とは真逆だった。
よし。本題。
私、なんで渡会く……雲雀の部屋にいるの?
目眩がしてから、記憶が無い。
というか、私、雲雀の部屋のベッドに寝ちゃっていいの?
『わ、私っ、かっ、帰る…』
「ええぇ!?歩けないでしょ!?高熱だったよ?!」
『な、なんで体温知って』
「あ、えっと…勝手に測っちゃってごめん…。その、別に変なことはしてないから!大丈夫!」
それは分かってるよ。変な聞き方してごめんね。
自分の不器用さに何度も怒りをぶつける。
『私…雲雀に何度も迷惑かけちゃってる』
「何度も?そんなことないよ。てか、もっと迷惑掛けていいのに!」
『そんなことできないよ。てか…私、雲雀のベッドに寝ちゃっていいの…?』
ほんとに、ベッドに寝るとか、そんな、私…。雲雀に対して下心めちゃくちゃあるのに。
「あぁ…それは俺も思ったけど…。だ、大丈夫!瑠花が嫌なら俺、洗濯するから!」
『い、嫌じゃないって…言ったら…?』
シーンと、静まり返る。
気まずい。言わなければよかった。
「……えっと…。」
彼が、俯いてしまった。
困らせてしまった。
『あ、いや、その、』
「じゃあ、洗濯しない。」
『え?』
「俺、瑠花の匂い嫌いじゃないし。」
なんという、まあ………え?
私が言いそうなそんな変態的な言葉が雲雀の口から出るなんて。
「…あ…!!!いっ、いや!その、」
我に返ったのか、顔を真っ赤にした雲雀。頭を搔きながらなんとか言い訳を考えているのか、眉をひそめる彼。
『…あははっ、』
そんな、見た事がない彼の顔がなんだか面白くて、笑いが堪えきれず笑ってしまう。
「…は、はは、あはははっ、ははははっ」
笑う私を見て、釣られて笑う彼。
八重歯がチラッと見えて、キュン、とする。
「はあ…笑った笑った。もう、なんか瑠花の笑いつられるんだけど!」
『そんな、私に怒られても…ふふふっ、」
「もー!笑わないで!はははっ…は〜ぁ…」
笑いの沸点がどこか分からないのに、いつまでも笑える。
この時間が、ずっと、ずーっと続けばいいのに。
でも、そんな時間は長くは続かなかった。
「…………日森?」
ガチャ、と、ドアが開く音がしたと同時に見覚えのある顔の男が、部屋に入ってきた。
『え……ひ、ヒム…?』
イブラヒム。
なんで、なんでヒムが雲雀の家にいるの?
「イブ!!!帰ってたんだ!おかえり!」
目をキラキラとさせる雲雀。
状況説明をして欲しい。
「あ、瑠花。紹介するね!こいつはイブラヒ」
「そんなこと、日森がいちばん知ってるから。説明いらない。」
そう言って、雲雀を押しのけてヒムは早歩きでこっちに向かってくる。そうして、ベッドの縁に座り込んだ。
ヒムの手がこっちに向かってきて、思わず目を瞑る。そしたら、暖かいものが私の両頬を包む。
目を開けると、それはヒムの手で。
「元気に、してたか?」
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涙をグッと堪えた彼の顔が、私の目に映る。
『ヒム……。うん、元気にしてたよ』
ヒムと喋ったの、いつぶりだろ。でも、最近かな。中3以来だっけ…。そんなこと今はどうでもいっか。
あぁ、ヒムの顔を見たら私まで涙が出てくる。
「ちょ、なんで2人とも泣いてんの…?し、知り合いだったの?」
「知り合いも何も…大親友だよ。な、日森」
『ちょっ、ヒム、待って、雲雀の前で…!』
ヒムは私の腕を引っ張ったとおもったら強く抱き締めた。
好きな人の前でこんな姿、見せたくない!!!
『ちょっとヒム、離れ「イブ、離れて」』
威圧的な声が、私の耳に届いた。
雲雀の声だ。
ヒムは大人しく私から離れる。顔を覗き込んでみると、眉を下げて目をうるうるさせたヒムの顔が見える。
可愛らしい。
チラ、と横を見たら、眉間に皺を寄せ、怒りの感情をモヤモヤと出している雲雀の姿が目に映った。
『ひ、雲雀?』
「…あ、えっと、ごめん!…その、瑠花!」
『あっ、はい…!』
「えっと…もう、体調は大丈夫?」
『う、うん。看病してくれてありがとう、雲雀』
さっきの怒りはどこへ行ったのか。
満面の笑みをうかべた彼が私の前に立っている。
「えっと…」
ヒムが困ったようにこちらを見る。
『というかヒム、なんで雲雀の家にいるの?』
「あぁ、それは知らなかったんだね!」
ふふん、私が説明しよう!と言って、自慢げな顔をする雲雀。
「イブはね、俺の同居人なんだ!」
「お前が住まさせてもらってるんだろ。」
『あはは…』
「た、確かにそう…だね…。……俺の親、ちょっと特別な仕事しててさ。会える回数が少ないんだよね〜。だから、イブの家に泊まらせてもらってるの」
そういうことだったのか。だから、2人1緒なのね
「親同士が仲良いんだよ。俺自らこういううるさいやつ家に住まさせると思うか?」
「うるさい奴ってなんだ!!!」
『あははっ。仲良いね』
思わず笑みが溢れる。
私が笑っているところを見たヒムは頭を掻きながら私の前に屈んだ。
「日森、体調悪かったの?」
『まあ、そうらしいね…。」
『…そっか。またそんなことが起きたら俺呼んで。はい、連絡先。』
『えっ、ちょっと』
スルッ、と私のポケットからスマホを取られ、パスワードをスラスラと解くヒム。
なんでパスワード知ってるの?って聞いたら、「どうせ自分の誕生日にしてるんでしょ?昔っから変わってないね」とかいいながらスマホをいじる彼はどことなくムカつく。
しばらく経ち、ヒムにスマホを返された。急いでスマホを見ると、勝手にLINEの連絡先を追加されていて、ヒムの方をちらっと見たらニヤニヤとしている。
「これでいつでも連絡できるね。今度は逃げるなよ、日森」
『別に逃げた訳じゃないし…理由あったし!』
「はいはい分かりましたよー。じゃ、またね、日森。高校頑張って。」
そう言って、ヒムは部屋から出て行った。
「イブ、嵐のように去ってったね…」
『ふふ、そうだね。』
スマホの画面をゆっくり閉じて、ベッドから立ち上がり荷物をまとめる。
さすがに、雲雀にはお世話になりすぎた。
雲雀はああ言ってるけど、これ以上迷惑をかけれない。ポリシー的にも。
「……ねえ」
彼が口を開く。
『ん?』
「…すう〜………」
大きく息を吸う彼。
可愛い。好き。
「前言ってたさ…好きな人。当ててもいい?」
『え、なんで急に?』
ドキッと、心臓が飛び出たかのような衝撃が来た。急に彼の口から、好きな人という単語が出てきたから。
もしかして、バレた?
ドキドキしながら、『うん、いいよ。』と、言ってみる。
バレたはバレたで、どうもしない。
笑って誤魔化そう。
誤魔化せられなかったら、当たって砕けよう。
どちらにせよ雲雀との関係が崩れることを覚悟しながら、雲雀の言葉を待つ。
「好きな人ってさ、もしかしてだけど…」