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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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夜がさらに深まり、部屋のなかの空気は、もはや皮膚にまとわりつく重い熱帯のようになっていた。
エリオットの視界は、自分の涙と、誰のものか分からない汗で完全に遮られている。
耳元で鳴り響くのは、3人の荒い呼吸と、衣服が擦れ合い、肌と肌が過剰に密着して離れる生々しい音だけだ。
「……あ、っ、……チャンス、……は……っ」
エリオットはもう、自分がどちらの名前を呼ぼうとしたのかさえ判然としなくなっていた。
背後から自分を限界まで抱きしめ、引き裂かれそうなほどの力で腰を固定しているチャンス。
彼の腕は強張っており、エリオットをマフィオソから引き剥がそうとする意志と、同時に「もう手遅れかもしれない」という恐怖で狂わんばかりに震えている。
そして正面からは、エリオットのすべてを支配し、その内側に冷徹な楔を打ち込み続けるマフィオソ。
彼はエリオットの乱れた前髪を優しく払いのけ、恍惚と絶望の狭間で果てそうになっているその顔を、ただ静かに観察していた。
「見てごらん、チャンス」
マフィオソが、エリオットの口内に深く指を差し入れ、愛撫しながら低く呟く。
その指に絡みつくエリオットの唾液すら、3人の熱のなかに溶けていく。
「君がどれほど純粋に彼を守ろうとしても、彼の身体はもう、私のノイズなしでは震えることさえできない。君がかつて、私の一部だった時のようにね」
「黙れ……! エリオットに、触るな……っ!」
チャンスが背後からマフィオソに向けて手を伸ばし、その肩を掴んで引き剥がそうとする。
だが、マフィオソはわずかにも動じず、逆にチャンスのその拒絶の動きすら、自分たちの肉体の「重なり」を強めるためのスパイスとして利用した。
チャンスが動くたび、エリオットの身体はマフィオソの強固な胸板へと押し付けられ、逃げ場のない快楽の最奥へと突き落とされる。
「う、あ……っ! んん……!」
エリオットの口から、掠れた悲鳴のような声が漏れた。
脳の回路が焼き切れていく。
(嫌だ、こんなの、俺じゃない)
(でも――気持ちいい。もっと、もっと混ぜてくれ)
脳内で抗う理性を、肉体が、細胞が、圧倒的な速度で裏切っていく。
チャンスの温かい、直線的な愛撫。
マフィオソの冷たい、侵食していく指先。
その2つの刺激が交互に、あるいは同時にエリオットの脊髄を駆け上がるとき、エリオットの身体は、これまで生きてきたなかで一度も経験したことのないような、激烈な絶頂へと導かれていった。
マフィオソは、エリオットの顎を再び強く固定すると、仕上げのように、もっとも深く、もっとも残酷なキスを落とした。
「ん、――ッッ」
言葉にならない声を上げ、エリオットの身体が大きく弓なりに頻る。
マフィオソの口内から、チャンスの残滓と、マフィオソ自身の支配欲が、濁流となってエリオットのなかに流れ込んでくる。
同時に、後ろからチャンスが、耐えきれずにエリオットの首筋に顔を埋め、子供のように強く、縋るように抱きついた。
その瞬間、エリオットのなかで、2人の男の境界線は完全に消滅した。
チャンスの涙の熱さと、マフィオソの唇の冷たさ。
2人の男の気配が、エリオットという一つの「器」のなかで完璧に混ざり合い、一つの巨大な、底の知れない快楽の渦へと昇華する。
「あ、は……っ、あ……!」
腰の奥が、熱い奔流で満たされていく。
エリオットは自身の限界を迎え、ぐったりと2人の男のあいだに身を委ねた。
身体の奥に残る、痺れるような残響。
マフィオソは、果てたばかりのエリオットの濡れた睫毛にそっと唇を寄せ、それから、背後で絶望に打ちひしがれているチャンスへと、勝利を確信した視線を向けた。
「これで、完了だ」
マフィオソの囁きが、暗い部屋のなかに吸い込まれていく。
エリオットは、もう何も考えられなかった
。
隣にあるチャンスの手を握っているのか、それともマフィオソのネクタイを掴んでいるのかさえ、もう分からない。
ただ、この狂った重なりのなかでしか生きられなくなった自分を、心のどこかで冷徹に自覚しているだけだった。