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今回もほんっとに最高でした!!!毎回続きが楽しみになっています!!!これからも頑張ってください!!!
今回もすっごく面白かったです!!!続き楽しみに待ってます!!!頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧
真一郎くんのバイクに乗って、たどり着いたのは横浜の海沿いの商業施設。海とはいえ海岸といった雰囲気ではなく、整備されていた運河のような印象だが、潮の香りでやっぱり海なんだぁと感じる。
ダウンコートに包まれているとはいえ、この時期に潮風が吹きさらす野外で待ち合わせとか……どっちが言い出したのか知らないが、もう少し考えてほしかった。2人で背中を丸めて震えながら待ち合わせ相手が到着するのを待った。ベンチに座って、ポケットの中のカイロを握りしめていると、向こうからこちらに向かって歩いてくる人影が見える。
……あれがイザナくんだろう。行き交う人はいるもののこんな寒さの中で遠回りする人は少ないので、道から少し外れたこのベンチに向かってくるのは待ち合わせ相手だけだろう。
「キリコちゃん、これ弟のイザナ」「こんにちは、手塚桐子です」「………」「イザナ!わざわざ来てくれたんだから挨拶くらいしろ!」「…………んなもん、頼んでねぇよ」
水面と同じように光を反社してキラキラ光るの白銀の髪に、エキゾチックな肌の色が印象的な美人さんだ。最近はイケメンのエンカウント率が異常に高いが、アジアンビューティータイプは初だったので思わず見入ってしまった。
ふむ…イザナくんは人見知りと聞いていたが、今日も乗り気ではようだ。それでもちゃんと時間通りに来るなんて…意外と律儀なのかな?文句だって思ったまま発言しちゃうとか素直だし…………この人、可愛いな。
「キリコちゃん、ゴメンね。悪い奴では無いんだけど…」「いえ、大丈夫ですよ」
それからベンチに座って話しをした……というか真一郎くんがずっと喋って、私が多少の相槌を打つだけで、イザナくんは一言も話さない。それでも「帰る」とは言い出さない。
私はすでに帰りたい…いや、楽しくないという訳ではない。
とにかく寒い!!!集合するまではまだ許すとしても…なんでそのまま外で話をしてるの!!!!どこかカフェとか入ればいいのに……誰か監視カメラに映ったらダメなの?それとも感染症対策か?真一郎くんの話が途切れたら切り出そうと思うのに、真一郎くんの喋りが止まらない……。
「あー喋りすぎて喉渇いたな。ちょっと飲み物買ってくるから、二人でここで話して待ってて」
そりゃ一人であんだけ喋れば…と思っている間に、颯爽と席を外してしまった。
話しててと言われても、さっきまで私達は一切会話していないので話題もないんですけど…。喉が渇いたなら皆でカフェとか行こうよ……なんで外で待機指示してったの??
真一郎くん…だからモテないんだね。
会話の糸口もないので、黙って待ってればいいかなと、寒くて顔をダウンの襟元に埋めたままボーッと穏やかな海に視線を移す。
「おい……お前は真一郎の女なのか?」
久しぶりにゆっくりと流れる時間を一人で堪能していると、隣からポツリと小さい声が聞こえて振り向く。
「…違いますよ。真一郎くんは……えっと、友達?」「好きなのか?」「んー好きか嫌いかでいうなら、好きですよ」「そうか……」
「イザナくんも真一郎くんのこと好きですよね?」「あ゛?」「え?…もしかして自覚ないですか?普通は好きでもなきゃこんな寒い中付き合わないですよね?」
「はぁ?……あんな奴好きじゃねぇよ」「でも真一郎くんはイザナくんのこと大好きですよ」「…………アイツが好きなのは俺じゃねぇ」「ん?…好きな人って一人じゃないとダメですか?いっぱい居てもいいんじゃないですか?」
「アイツは俺のこと好きじゃねぇ…」「それはないですね!だってその証拠に私がこんなとこまで呼び出されてる訳ですし…。イザナくんの友達になってあげてほしいって呼ばれたんですけど…過保護なお兄ちゃんすぎて笑っちゃいました」「俺に友達なんて必要ない…」「そんなこと言うからお兄ちゃんが心配しちゃうんですよ…。本当に距離置きたいのなら、もっと上手く立ち回ればいいじゃないですか。勝手な想像だけど…イザナくんはそういうの得意そうだし、他の人には出来てるんじゃないかと思うんです。なのに真一郎くんの前ではそういう態度ってことは…気付いて欲しいんじゃないですか?」「………違う」
「……そうですか、勝手な想像で話してゴメンなさい」
どっからどう見てもそうとしか見えないが、本人が認めたくないなら否定はしない。別に兄弟の関係に首突っ込んで解決してあげるほど私はお人好しではない。真一郎君が買い出しに行った方向を見るが、まだ姿は見えないな。
「真一郎が好きなのは…大事なのは……………万次郎だ……俺じゃない」「私から見ると、真一郎くんは周りの人全部大事って見えますけど……イザナくんからはそう見えてるんですね」
正直この話はもういいんだけど…せっかくの休日にこんな寒いとこで重い話とかしたくない。そんな気持ちが言葉にも乗ってしまって、冷たい言い方になってしまう。
「俺は孤独 ひとりなんだ……」「ひとりだと寒いですよね……」
真一郎くんが居なくなった分二人の間に空いた空間を詰めるように横に腰をズラして、ポケットの中で握りしめていたカイロをイザナくんの膝の上に放る。
「なんで寄ってくるんだよ………俺が何者なのかも知らないくせに…」「カイロ渡したので私も寒いんだから、風除けくらいになってくださいよ。……何者って、今更何言ってるんですか?真一郎くんの弟でしょ?」「違う!俺とアイツは……………血も繋がってない」
「へー……、で?」「はぁ?俺は真一郎の弟なんかじゃないんだ!家族じゃない!」
「え?だから何なんですか??血縁関係とか……それって大事なことなんですか?」
物凄い剣幕で睨まれてる……あ、なんか地雷踏んだ?
だって血縁関係とかって遺伝子的には関係あるかもしれないけど、人間関係築くのには全く作用するもんでもないんだし…。
もしかして移植とかそういうこと?確かに遺伝子情報が近いと拒絶反応少ないのは事実だからな。
「あの……踏み込んだ質問で申し訳ないんだけど、イザナくんって何か病気してたりするんですか?」「は?」
突然の斜め上からの質問に怒りが薄まって怪訝な視線になった。
違う…のか?もう地雷踏んでるみたいだから、足離して爆死する前に全部聞いてしまおう!悔いのない死を!!
「血の繋がりを気にしてたから、移植手術でも受けるのかと思ったんけど………違うっぽい…ですね」「なんでそこで移植とかの話が出てくるんだよ……お前、ふざけてんのか?」「いやいや、真面目に話してますよ。私には血の繋がりをなんでそんなに重要視してるのかわかんなくて。…だって血縁ってただの遺伝子情報でしょ?大事な人かどうか決めるのに毎回血液検査とか受けないじゃないですか…まぁ一部には血縁至上主義的な古いタイプは検査したりするみたいですけど。イザナくんもそっちのタイプなんですか?」「………んな訳ねぇだろ!!!!!」
「ですよね。真一郎くんもそういうタイプじゃないだろうし…それなのに何で血縁を重視するのか私にはさっぱりわかんないですね」
あれ?黙り込んじゃった…シンキングタイムですか?それとも地雷の起爆準備とかしてます?
「……真一郎は……俺の兄じゃねぇ………俺の理想の兄じゃ……ねぇ………」
理想?もしかして理想通りじゃなかったから嫌いってこと?……………まさかのメンヘラちゃんですか????アジアンビューティーな上に地雷持ちのメンヘラ属性持ちって…イザナくんステータス盛りすぎですよ!
あっでも真一郎くんはメンヘラホイホイっぽいな。メンヘラホイホイの特徴は確か優しくて、責任感強くて真面目で押しに弱い……あっ、真一郎くん全部該当するなw
地雷系メンヘラちゃんの対応とか私わかんないんだけど…。
「理想と違うから真一郎くんのことが嫌いってことですか?イザナくんの理想の兄ってどんなですか?」「………お前には関係ないだろ」「おっしゃる通りですね…じゃあイザナくんはマイキーくんやエマちゃんの理想のお兄ちゃんになれてます?」
「うるせぇええ!!!」
ベンチから立ち上がってこちらを睨みつけてくる。あっ…地雷踏み抜いちゃった………。
いや、私、メンヘラ爆弾の処理とかできないし……解除するよりも爆発させちゃった方が早くない???
そうだ、爆破の被害を防ぐには着弾と同時にこっちも爆発すれば威力を相殺できるって前世で物理の先生が言ってた。
「ほぉら、他人の理想なんて知ったことじゃないでしょ!自分だって出来てない癖に真一郎くんに理想押し付けてんじゃないですよ!!」「てめぇ…誰に向かってそんな口聞いてんだ?」「理想のお兄ちゃん欲しがって拗ねてるイザナくんですけど」「あ゛ぁ、女だから手出されねぇとか思ってんのか?」「確信つかれて手を上げるなんてガキですね」
………殴られた…んだと思う。顔がジンジン痛いし、戻ってきた真一郎くんにイザナくんが滅茶苦茶怒られてる。
物理の先生の嘘つき……全然相殺できなかったじゃん…もっとキレ散らかさなきゃダメだったの?
寝かされていたベンチから起き上がって、二人の元に向かう。
「あっキリコちゃん!!大丈夫???本当にゴメンね………ほら、イザナも謝って!!!」「…………ちっ」
おや、謝罪じゃなくて舌打ちですか?
2ndラウンドのゴングが脳内で鳴った。
「私謝罪はいらないです…なので、一発だけ殴っておあいこってことでいいですか?女の力だし一発でチャラなら安いもんですよね?」「あぁ、そんな細腕のパンチなんて痛くもねぇし、さっさとやれよ」「ちょっとイザナ!!キリコちゃんも…………………ぁっっ……」
両手を広げて殴れと言うイザナくんの肩に両手を乗せると、馬鹿にした顔をジッと見ながら右膝で思いっきり股関を蹴り上げた。突然の衝撃に腰を折ったイザナくんから距離を取った。
「これでチャラで♡」
微笑みを浮かべながらイザナくんを見下ろして、精一杯の可愛い声で言い切った。
顔を歪ませて悶絶しながらもイザナくんはギッと私を睨みつけてくる。なぜか真一郎くんもイザナくんと同じような体勢になっていた。
おや、真一郎くんはエンパスなのかな?
しばらくそのまま様子を見ていたが、一向に回復しないのか……ちょっと心配になってきた。急所だとは認識していたが、攻撃するのは初めてだったので…もしかしたら力加減を間違えたかもしれない。
もし機能しなくなってたらどうしようか…泌尿器は専門外だけど、闇医者は総合医みたいなもんだし何かあれば私が治療しよう。
「…………あの…イザナくん、大丈夫?」「くっ…そ………てめぇ……全力で蹴りやがったな……」「………そこまで痛がるとは思わなくて。もし機能上の問題とか出たら……ちゃんと責任取るから…」「…………責任って……それ…」
イザナくんの顔が赤くなった気がする。褐色肌なので見間違いかもしれないが…たぶん女に治療されるのが恥ずかしいと思ってるんだろう。確かに泌尿器科の女医って少ないし、敬遠されがちだろうし…。
「やっぱ…私じゃ嫌かな?それなら専門の…」「……………………お前がいいなら…」
腕で顔を隠して恥ずかしそうではあるが、了承してくれた。まぁ一時的なもので、機能不全になる程ではないだろうが…一応泌尿器の勉強もしておこう。
真一郎くんが買ってきてくれたコーヒーはすっかり冷え切っていたが、殴られて口の中が切れてしまっていたので熱いものよりはマシかなと皆でベンチに並んで飲んだ。寒空の下でアイス(になった)コーヒーは体感温度を更に下げる。
ブルブル震えながら座っていると、暖かいところに行こうと言い出してくれたのはイザナくんだった。ベンチから立ち上がって商業施設の方に向かおうとすると、カイロを持った手を差し出された。返却してくれるのかと手を伸ばすと、カイロを受け取った手を上から掴まれて、そのままカイロごとイザナくんの上着のポケットに収納された。
……これは一体どういうことなんでしょうか?
さっきこの手で私の顔殴ったよね?なんでポケットの中で手繋いでんの?なんかバカップルみたいな状態なので恥ずかしいんけど…。
強い力で握られてる訳じゃないので振り解くのは簡単そうだが……温かさに負けて、現状維持を選択した。
そういえば血縁関係はないって言ってたけど、こういう突然訳わからない行動とるところとかマイキーくんにそっくりだよ。
口に出したら、また殴られそうなので言わないけど……。
手塚桐子(てづか きりこ)
親にも殴られたことないのに…イザナを煽りすぎて殴られて瞬殺された。寒さでイライラ度高めだった。寒いの嫌い…。
念のため、泌尿器の勉強を始める。
黒川イザナ
真一郎の呼び出しだから行ったら、変な女がいた。確信をつかれて思わず殴った。女なので手加減はしたのに一発で伸びて、雑魚すぎてちょっと驚いた。戻ってきた真一郎に叱られたが反省しなかったら、まさかの反撃をくらった。あまりの痛みに悶絶していると、責任を取ると言われた。
「……責任って、やっぱそういうことだよな?」育った環境のせいで女性と絡むことが少ないので…
念のため、帰った後で鶴蝶に報告したら頷かれたので、キリコを嫁認定した。(ちなみに鶴蝶も同じような環境で育っているので異性スキルは同レベルだということには気付いていないイザナであった)
佐野真一郎
メンヘラホイホイだが、色々残念なのでモテない。3人でいると俺ばっか話てるからと席を外した。戻ってきたら、キリコちゃんの顔面腫れて失神してた。何があったか聞くまでもなく、イザナを叱りつけた。キリコちゃんが目を覚まして心配するも、まさかの金的に……自分がやられた訳じゃないけど股間を押さえた。その後で急に仲良くなった二人に、昨日の敵は今日の友っていうからなと不良理論で納得した。
念のため、キリコを病院に連れて行こうとしたが、キリコにこんな傷くらいで治療は不要だと言われた。(ちなみに間医院に連れて行ってたら、間先生は隠れキリコセコムなので、真一郎とイザナは社会的に滅されていた)
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