短編「」

私達はそんな愚かしい生き物だ。

私達の前には道がある。だが、それは常に正しいとは限らない。

私達が迷う時もあるのだ。

私達が進むべき方向を教えてくれる者はいない。

私達に教えてくれそうな者はいるかもしれないが、誰も何も知らないだろう。

しかし、進むしかない。それが正しいのか間違っているのか分からなくても。

それでも前に進まなければならない。それが私達の性なのだ。

だから、立ち止まってしまう。

自分なりのやり方では上手くいかないことがあると知るまでは。

「愛」とは、最も優れた表現のひとつだ。

だが、「恋」という言葉の方が優れていると思わないかい？

「恋」とは、ただ単に相手に夢中になることじゃない。

相手のことばかり考えてしまうことだ。

そして、相手に振り回されることでもある。

そうさ、まさに恋の醍醐味じゃないか！ どんな時だって、それは素晴らしい経験だった。ああ、そうだね、確かに君は間違っていたよ。

でも、それは僕も同じだ。

だから僕は君を愛しているんだよ。

愛は盲目というけれど、それこそが真実だと思わないかい？ 恋なんてものは結局、惚れた方の負けだよ。

それが運命というものじゃないのか？ 恋というのは不思議なものだよね。

まるで魔法のように人を虜にする。

だけど、決して解けない呪いでもある。

それでも僕らはその呪いを解くことを諦められないんだ。

たとえそれが茨の道であってもね。

恋とは恐ろしい病であると同時に救いでもあるんだ。

病めるときも健やかなるときも、 共に歩むことで絆が生まれていくものだと思うんだ。

この世で最も強い絆といえば、やはり家族だね