そして、日曜日。
優菜が時計塔に着くと、奏斗は先に来て待っていた。
「お待たせ、奏斗くん、早いね」
時計はまだ9時を回ったところだ。予定より1時間も早かったが、奏斗は時間を持て余そうとするどころか、早く優菜の家に行きたそうにしていた。
「優菜、僕、そんなに待ってないよ。僕もさっき着いたばっかりだし」
時計塔を後にしようとしたところで、奏斗がいきなり優菜に手を出してきた。
「どうしたの?」
「どうせなら優奈と手をつないで歩きたいなって」
優菜は驚きながらも、奏斗の手を取る。じんわりと伝わってくる彼の体温に、優菜は思わず微笑む。
時間が経つのは本当に早い。何も話せる勇気が出なくて、しばらく無言で歩いているうちに、あっという間に家についてしまった。
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