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前編をよんでいない方は是非そちらから読んで頂けると嬉しいです。

※加筆修正版の後編です。シーンの追加、一部表現の変更がされています。大筋は変わらないとか言ったくせにちょーっと変わってます。すみません。


あれから怪盗キッドの自死は公にされず、元の日常に戻りかけていた。一部の人間を除いて。

中森警部は心にぽっかりと空いたようにまるで精力がなくなり、新一もまた怪盗キッドの行方を追い続けていた。

そんなときにピロン、と携帯に一通のメールが届いた。

「To︰工藤くん

From:目暮

急に連絡をよこして申し訳ないんだが、今から時間があれば◯△ビルまで来てくれんかね?」

もしかして、昨日の件についてか…

メールを受け取った瞬間、いてもたってもいられなくなった新一は身なりすら気にすることなく慌てて家から出ていった。


「おお、工藤くん!来てくれたか!」

「警部、お久しぶりです。早速現場に案内して頂けますか?」

その場には一課だけなく、二課の刑事もいた。恐らくキッドが関わっている可能性があるからであろう。

いつものように現場へと足を踏み入れ観察をしていると、とある違和感に気づいた。

一見、これ以上ないほど完璧な自殺現場に見えるが、地面の微妙な傷つき具合などを見るとひと悶着あった可能性が高い。

しかし、昨日あいつはここから一瞬で消えてみせた。誰かと争う時間があったとは思えない。

“全ての不可能を除外して最後に残ったものが如何いかに奇妙なことであってもそれが真実となる”

シャーロック・ホームズはこの言葉を遺しているが、 まさかオメーは”怪盗キッド”としての目的を果たしたのか?

昨日キッドあいつが言っていた「幻の舞台」はもう会わないことを暗示しているのか、或いは死後の世界の話を表しているのか。

そして自分自身がしなければならないこと、それは何か…

「怪盗キッドは消えた」

要するに、”もう怪盗キッドとして表舞台に立つことはない”ことを伝えなければならない。特に、今まであいつを追いかけ続けていた二課の警部に。

「工藤くん、何か分かったかね?」

「はい。目暮警部、そして中森警部…」

最後まで、俺は怪盗キッドオメーに勝つことができなかった。

今までの借りは返したからな、キッド。


「あいつの正体を突き止めちまおう」

思いついたのはいつのことだったか、父である工藤優作がまとめた怪盗1412号についてのファイルや他にも様々な文献を漁ってみたが、確固たる証拠はでてこなかった。

しかし、気になる部分はあった。黒羽盗一の事故死と怪盗キッドの活動が途端になくなった時期が合致するのだ。

これだけではただのこじ付けレベルになってしまうが、東洋の魔術師と謳われた彼ならと納得できる部分がある。

しかし、怪盗キッド=黒羽盗一だと仮定して、彼はもう死んだはずだ。

ここ最近犯行に及んでいた人物は偽物? いや、黒羽盗一ほどの頭脳やパフォーマンス能力を持っている人はそうそういない 。

黒羽盗一の弟子か、或いは年齢的に見て…息子か?

そういえばあいつ落ちる前に「───ですよ」ってもしかして「2代目ですよ」か?

もしかして、俺にヒントをくれてたのか?

ものは試しだ。 試しにコンタクトを取ってカマをかけてみるのも悪くない。

しばらく黒羽盗一の弟子や息子についての情報を集めていると、「黒羽快斗」という人物が浮かび上がった。

黒羽快斗、17歳、江古田高校在学中

キッドあいつが何故急にやめることにしたのか。ヒントを与えてくれたのか。聞きたいことは山ほどあるんだよ。

明日1回行ってみよう。覚悟しとけよ、怪盗キッド。

覚悟を決めた新一は明日に備えてベッドへと潜った。


かくして、冒頭へ戻る。

「有名人の高校生探偵さんがわざわざ江古田まで来ちゃって…オレに何の用ですか…?」

「白々しいぞ。オメー、俺と何度も対峙してきただろ?」

「な、なんのことだか…」

快斗は白馬に対してでさえポーカーフェイスを保ってきていたというのに、名探偵に詰められると己の座右の銘を忘れたかのように感情を表に出しすぎてしまう。

また、新一はこの反応は明らかにビンゴなはずなのに、怪盗の気配を全く感じないことに焦りを感じていた。

怪盗キッドなら気配を隠すくらい余裕だろうが目の前のやつはどこからどう見ても普通の高校生。

それに、誰でもいきなり探偵に押しかけられたら驚くだろう。

ああ、これは一体どっちなんだよ!と頭をフル回転させるが無論答えは見つからない。

「まあいいでしょう。なぜ俺がここにきたか、分かりますか?」

「オレを怪盗キッドだって疑ってるから来たんじゃねーの?さっきそうやって言ってただろうがよ」

「それより、オメーに聞きたいことがたくさんあんだよ」

幾分か落ち着いたのか先程とは態度が一変した目の前の相手に多少怯みながらも話を続ける。

「っつーか、普通わざわざ高校まで来るか?」

「すみません。これしか思いつかなかったんです。

「名探偵も所詮は高校生か」

そう悪態をついた快斗からは怪盗のときのようなオーラが垂れ流されていた。

「や、やっぱりオメー!?」

カッと目を見開いた名探偵にそっと耳打ちをする。

「ぜってー後で行くから、外で待っててくれ。」

「…ああ。待ってるから忘れんなよ。」


数年後、この二人が最強で最凶のバディとなり暗躍することを、まだ誰も知らない。

名探偵コナン・まじっく快斗 短編集 【快新・K新・Kコ・快新快・Kスペ・快青】

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コメント

7

ユーザー

シャーロックホームズのそれ絶対お前の好きな言葉だろ笑笑

ユーザー

ああああああ!!!!!「最強で最凶のバディ」って言葉めっちゃ好き😖💕 快斗は見つけて欲しくて耳元で囁いて、新一は見つけたくてわざわざ高校まで行って、っていうのが本当に最高!!

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