こちらは ねるさんの小説コンテストの作品となります。
『氷菓と一緒に溶けた君と僕』
「寒…」
大雪が降った後の日
僕は白い息を吐き、雪化粧がされた神社の境内に居た。
塾が終わり、近くのコンビニに寄って温かい飲み物とアイスを買って
何処かでゆっくり食べたいと思い、
人が少なそうな場所だと思い此処に寄ってみた。
僕の予想は正解で、休日の雪の日でも人っ子一人居ない。
(さてと、)
早く食べないと珈琲と一緒に入れているアイスが溶けると思い
コンビニのビニール袋をガサガサと探り アイスを取り出した。
今日買ったのはカップのバニラアイス。量が多くて最後まで満足感のある最高のアイス。
付属の木でできたスプーンでまだ硬い表面をすくい、それを口に入れる
冷たさとアイスのまろやかさが口に広がり、今日はこの為に生きていたのだと痛感する。
寒くても冷たいアイスと温かい珈琲のコンボは最高なのだ。
「アノ…なんですヵ?ソレ…」
「へ!?」
その時、後ろから日本語…だがイントネーションが少し違う声が聞こえ、
思わず変な声を上げて飛び上がってしまった。
振り向くと僕の座っていたベンチの後ろには
季節感が違うツバの大きい帽子とレー スの着いた日傘とワンピースを身に付けた
綺麗な女の子が僕を覗き込んでいた。
けれどただ綺麗な子だと思う前には僕は思わずギョッとしてしまった。
見慣れない白髪。染めている訳でも無さそうな本当に真っ白な髪
明らかに日本人で無い様な全身真っ白な服で身を包みながらも
澄んだ黒色の瞳だけが自分との共通点を強引にでも作る言い訳になりそうだ。
「な、何…?」
「…あ、あなたが食べて…いた、ソレ…なんで、しょう、ヵ?」
「あ、アイスだけど…バニラ味の…」
僕がそう答えると女の子はキョトンとした表情で「アイス… ?」と言った。
アイスを知らない…?そんな事があるのか?
「えっと…氷で凍らせた物…って言ったら良いのかな?」
「氷で…、冬…寒いのに…オイシイですか?」
「まぁ、うん…」
数度瞬きをした後、女の子は僕の手からアイスとスプーンを奪い取り
アイスを口に放り込んだ。
「えっ!?ちょ…!」
いきなりの事に驚きアイスを飲み込む女の子を眺めていると
女の子が頭を抱え、その場にしゃがみ込んだ。
「えっ、どうしたの!?」
「… …痛い……コレ、ドク?」
「あ〜…毒じゃないよ。僕も勢い良く食べるとそうなるよ」
数分後、珈琲を飲ませ、痛みが引いたのか女の子は日傘を折り畳み、僕の隣に座っていた。
「アイス…痛かったけど、美味しかっタデス…」
「そ、そっか…」
アイスを食べられた事を少し根に持ちつつ女の子が話を続けるので聞き役に徹する事にした。
女の子の名前は雪乃 氷麗。(なんか冷たそうな名前だな…)
年齢は僕と同じ15歳。
最近外国から引っ越して来たまぁ、所謂お嬢様ってやつらしい。
「私、日本語あんまり…ダメ…だから、ベンキョー、して、ます」
「そ、そうなんだね」
「あなた、名前…ナニでしょうか?」
「え、僕?季夏 優…だよ、えっと、雪乃さん 」
「氷麗…、でだいじょぶ。優は、私のトモダチ」
友達…、え?友達?いきなり友達認定されて僕が戸惑っているのに勘付いたのか
雪乃…、氷麗は僕の目の前に立ち、にこりと笑いこう続けた
「優、私、まだ日本語、あまり、判らない。だから、私に日本語、…オシエテ」
「な、なるほど…」
まだ寒い風が吹く中僕は風になびく雪の様に白い氷麗の白い髪を見つめた。
続く
コメント
2件
ぇ、、めっちゃ気になるんですけど……… 氷麗ちゃん、、見た目絶対可愛い子だ………